紀州新聞 THE KISYU SIMBUN ONLINE

和歌山県の御坊市と日高郡をカバーする地方紙「紀州新聞」のウェブサイトです。主要記事、バックナンバーなどを紹介。

ジーン・カナモリ氏(NPO敬老CEO)が和田勇氏の肖像画、寄贈 新井氏(フリージャーナリスト)使者として届ける 〈2022年1月18日〉

2022年01月18日 08時30分00秒 | 記事


寺内町会館で、寄贈された和田勇氏肖像画を手に、片山館長(右)と新井さん


 神奈川県川崎市出身で、米国ロサンゼルス在住のフリージャーナリスト・新井淳蔵さん(47)が15日、御坊市の御坊寺内町会館を訪れ、1964年の東京オリンピック招致に尽力し御坊市名誉市民第1号として顕彰された和田勇氏の肖像画を、同会館に寄贈した。肖像画は、ロサンゼルス在住の画家・坂田英夫氏が2000年に描いたもので、キャンバス裏面には「我等の誇る大先輩 和田勇氏へ捧げます」とのメッセージが添えられている。

「一番弟子」と自称して和田氏を敬愛し、和田氏がロサンゼルス周辺に日系人のための老人ホームを設立する際に日本から協力した小林良廣氏の声かけで、両者を知る新井氏を介し、肖像画を所有する老人ホーム運営NPO「敬老」のCEOジーン・カナモリ氏が応え実現した。当初はジーン氏が肖像画を届けに来日する意向だったが、コロナ禍で海外からの外国人の日本入国が困難なため、新井氏が使者として届けた。
 肖像画を受け取り、片山隆館長は「これを館内に掲示することで、和田さんのことを知り興味を持ってもらえるきっかけになれば。頂いて、大変うれしく思っています」と話した。
 新井さんの今回の日高地方来訪には、もうひとつの目的がある。それは、和田氏が設立した日系人のための老人ホームが不動産会社の手に渡ってしまった現状をどうにか打破し、同様の施設を現地に取り戻そうと活動する日系人組織「高齢者を守る会」を後押しするため、その背景を広く伝えるプロモーションビデオを製作すること。
 現地の日系高齢者が心地よく余生を過ごせる施設がなくなってしまったことの無念や、和田氏のホーム設立を支えた地域の人々の善意の募金の意図が反故にされてしまうことへの懺悔。そんな思いが、和田氏を尊敬し、その家に4年間ホームステイした経験もある新井さんを突き動かし、ビデオ製作へと駆り立てた。
 新井さんは、ビデオ製作のため、昨年10月に来日。日高地方には14日と15日に取材のため来訪し、創立50周年事業で和田勇氏の顕彰活動を行った御坊ロータリークラブのメンバーらの案内で、和田氏に縁ある由良町戸津井や御坊市名田町祓井戸、和田家の菩提寺のある南塩屋の光専寺などまわった。社会福祉法人博愛会の小林隆弘理事長らとも面会した。
 取材から「和田氏のルーツを知り、小林理事長を通じて、分かち合いの精神、相互扶助、奉仕の精神などを感じました」と、新井さん。
 新井さんによると、和田氏が老人ホームを設立した当時、英語もつたなく慣れないアメリカの土地で苦労を重ねた日系1世、2世らに、日本的なサービスを受けられる高齢者施設は重宝された。しかし、3世、4世と世代が代わるにつれ日系人であることへの意識は薄れ、日系人同士の結びつきも弱くなり、日系高齢者施設へのニーズは減少。その一方で、新1世と呼ばれる、日本から米国へと新たに移住した人からはやはり日本的サービスを受けられる高齢者施設が求められており、その施設がない今、晩年は日本に帰国して余生を送る新1世も少なくないという。
 新井さんは、日系人が晩年をおだやかに快適に暮らせる施設を現地に取り戻したいとの一心で、ビデオ製作に力を注ぐ。


 その他の主なニュース

 ひだかチャンネルで上初湯川廃校キャンプ場PR

 17日 広域消防が山野地内で林野火災訓練実施

 17日 印南町 園・小・中学校で避難訓練実施

 松本秀司日高町長は尾﨑タカヱさん100歳の誕生日祝う