16年半ぶりに黄金に輝く姿を現した北面秘仏(左側)を拝観する
日高川町鐘巻、道成寺本堂の北側にまつられ、33年に一度の春33日間だけしか公開されない秘仏・千手観音像(重要文化財)が20日、同像や二代目釣鐘を寄進した豪族、逸見万寿丸(1321~1378)の生誕七百年に合わせて初の中開帳として公開された。普段は開くことのない本堂北側の門扉が16年半ぶりに開放され、黄金に輝く姿を現した。
秘仏の千手観音像公開は1972年から33年ぶりだった前回の2005年以来のこと。20日午前9時から開扉法要が始まり、檀家ら約50人が参列する中、小野俊成住職による読経で北面秘仏の扉が16年半ぶりに開けられると、正面の本尊に比べると頭部が大きな特徴のある高さ3メートル60センチの黄金に輝く千手観音像が姿を現した。関係者らが手を合わせたあと、午前10時から一般拝観が始まり、11月28日まで午前9時から午後3時まで拝観できる。
北面秘仏は、南北朝時代の1357年に万寿丸が道成寺本堂を建て替えたのと同じ時期に第3期の千手観音像として造られ、本堂正面の千手観音像の背後に北側を向いた状態で鎮座。道成寺を建立した文武天皇の后で、平城京の母とも言われる「宮子姫」を想い平城京のある北(奈良)を向いているという説もある。
昭和61年の本堂解体修理で同秘仏を修理した際、内部にバラバラになった初代本尊が納められていることが判明。初代の像を隠す胎内仏(鞘仏)として造られたことが分かった。初代本尊が修理され、北面秘仏の中に収まらなくなったため、現在は初代を本堂の正面にまつり、北面秘伝の観音像は初代を守るように北向けにまつられている。「絶対秘仏」として扱われたと伝えられ姿を隠していたが、その後本堂北側に扉が設けられ、江戸時代初期から33年に一度のご開帳が始まった記録が残っている。
今年は、同秘仏や二代目釣鐘を造った万寿丸の生誕700年にあたり、10月24日には紀の国わかやま文化祭2021の地域文化発信事業で、二代目釣鐘が平成16年以来17年ぶりに京都市の妙満寺から里帰りし、11月18日まで一般公開。万寿丸の功績を伝えようと、命日の昨年12月22日に民間有志が万寿会を発足させ、秘仏中開帳を実現するなどPR活動を展開していく。
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