商店街活性化のシンボルとして復活する「キハ603」
御坊市の本町商店街振興組合(坂井和夫代表理事)が「りんこう」の愛称で地域住民や鉄道ファンに親しまれている紀州鉄道(株)の廃車両「キハ603」を譲り受け、商店街の活性化、まちおこしのシンボルとして活用する計画が、国の補助金交付決定を受けた。紀伊御坊駅近くの商店街に「キハ603」を置き、車両内に持ち帰り(テイクアウト)のたこ焼き店、丼物店の2店が入店し、絵本などを置いた子ども文庫を設置するほか、各種作品展示やキハ市、イベントなどを行い、世代を超えた地域交流の場とする。9月から整備工事等にかかり、12月オープンをめざす。
「キハ603」は昭和35年製のディーゼル車両で長さ20メートル、幅2・7メートル、高さ3・6メートルで定員120人(座席数76席)。昭和50年に紀州鉄道が大分交通耶馬渓線より購入し、延べ走行距離76万キロ、延べ約331万人が利用したが、老朽化等で平成24年に廃車になった。全国で運行している鉄道車両の中で最も古い型式のため、全国の鉄道ファンや地域住民から引退を惜しむ声が出ていた。
現在は紀伊御坊駅で保管しているが、解体の話も出ていたため、坂井代表理事は「キハ車両は御坊市にとって貴重な文化遺産。商店街の活性化、まちおこしのシンボルとして活用したい」と、市商店街振興組合連合会や御坊商工会議所地域活性化・観光推進委員会の全面支援を受け、活用計画を進め、28年度に国の補助事業を受けて高校生以上の地域住民、観光客を対象にアンケート調査を行い、おおむね賛同が得られた。今年度に入り計画を確定させ、国に補助金申請し、22日に交付決定を受けた。
紀伊御坊駅近くの踏切そばにある本町3丁目商店街の空き地(元ガソリンスタンドほか約240平方メートル)を借用し、そこにレールや砕石を敷き、紀州鉄道から無償譲渡された「キハ603」を置いて車両を保存する。車両内は改装して半分を持ち帰り(テイクアウト)の店に利用。公募で出店者を探し、美浜町の27歳男性がたこ焼き店、市内の22歳男性が丼物店を出店することが決まった。
残りの半分は地域住民が交流できるコミュニティースペースとして活用。「キハ603子ども文庫」として本棚を置いて絵本やマンガ、単行本などを揃え、絵本の読みきかせや各種作品展なども行い、高齢者や子どもら地域住民が集える場にする。敷地内には5台分程度の駐車スペース、トイレもあり、キハ市などイベントやクリスマスなどで車両をイルミネーションで飾ったり、店を利用すれば商店街で特典が受けられるサービスも考えている。
9月から敷地の整備、車両の塗り替えや内装、スロープ設置など工事を行い、12月中に完成、オープンをめざす。事業費は1830万円で、うち国の補助は1201万円、市の補助は295万円。坂井代表理事は「キハ車両をシンボルに商店街の集客につながるように頑張りたい。鉄道ファンや寺内町を訪れている観光客に対しても昭和レトロの車両でくつろいでもらえるように寺内町観光の拠点化も図りたい」と意欲を見せている。
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