瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

2011年、クリスマスには歌を歌おう♪その8

2011年12月28日 22時14分57秒 | クリスマス
はぁい♪ミス・メリーよ♪
今年のテーマは「クリスマスの文学」、ここまで紹介して来た中で、何となく共通する特徴とか見えて来ない?
「クリスマス・キャロル」しかり、「青い鳥」しかり…全てではないけど、「夢」の体裁を取ってる物語が多いのね。
クリスマスに見る夢は不思議がいっぱい、何故かというとクリスマスの夜は、過去・現在・未来や現実・幻想が入交じるからよ。
今回紹介する物語も「クリスマスに見た夢」を素材にしてるわ。
「くるみ割り人形」といえば、バレエをやってる人にはお馴染みね。
バレエや音楽に興味無くても、バレエ組曲「くるみ割り人形」を、全く聴いた事が無いと言う人は、少ないんじゃないかしら?
チャイコフスキー作曲の紛れも無い名曲、「行進曲」と「金平糖の精の踊り」と「花のワルツ」は特に有名でしょうね。

「ドイツのシュタールバウム家の大広間で行われるクリスマス・イブ・パーティーで、少女クララはドロッセルマイヤー老人からくるみ割り人形をプレゼントされる。ところが兄のフリッツと取り合いになって壊してしまい、ドロッセルマイヤー老人はそれを修理する。
 パーティーも終り皆が寝静まった夜、(人形の)ベッドに寝かせたくるみ割り人形をクララが見に来ると、時計の針が零時を打ったのを合図にクララの体は人形の大きさに縮んでしまった。驚くクララ、そこへはつかねずみの大群が押し寄せ、クララのくるみ割り人形が指揮する人形兵達と戦いを始める。目の前でピンチに見舞われるくるみ割り人形を、クララはスリッパでもって加勢、はつかねずみ達は退散する。クララに助けられたくるみ割り人形が身を起こすと、その姿は凛々しい王子に変っていた。王子はお礼にクララをお菓子の国に招待する。魔法の城でクララはお菓子の精達により歓待を受けるが、翌朝クリスマスツリーの下で目覚める。全ては夢だったのか?――がっかりするクララの前に、凛々しい王子そっくりの少年が現れて…」というのがよく知られてる粗筋。
ただこれは原作をアレンジした大デュマ版が元になっていて、原作者エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンが書いた内容とは違ってるの。

原題は「くるみ割り人形とねずみの王様」――

クリスマスの日にシュタールバウム家の3人兄妹の末っ子マリーは、名付け親のドロッセルマイヤーおじさんからプレゼントを貰ったの。
中でも気に入ったのが不恰好な容姿ながら、どこか人柄(人形柄?)に惹かれるくるみ割り人形。
ところが兄のフリッツが、大きくて固いくるみを無理矢理割らした為、早々に壊してしまったの。
人形を気の毒に思ったマリーは、自分のドレスの白いリボンを外して包帯代わりに巻いてやり、優しくあやしながら看病してあげたの。

その夜の事、マリーはくるみ割り人形の怪我が心配で、1人遅くまで広間に残ってた。
するとカサコソと鼠の気配がし始め、柱時計が零時の合図にフクロウが止まったかと思うと、7つの頭を持つ鼠の王様が鼠の大群を率いて現れ、隊列を組んでくるみ割り人形やその他の人形達を仕舞ってある硝子戸棚に近づいて来た。
びっくりしたマリーは硝子の戸棚で肘を切ってしまったの。
更に信じられない事に、硝子戸棚の中の人形達が動き始め、あの負傷したくるみ割り人形が指揮をとって人形軍を編成し、王様率いる鼠軍と戦争を始めた。
くるみ割り人形はマリーが巻いた白いリボンを大切そうに肩にかけて勇敢に戦ったけど、人形軍は次第に劣勢となり、くるみ割り人形がピンチを迎えたところで、マリーはとっさに鼠の王様目がけ、自分の上履きを投げつけてやった。
くるみ割り人形達の危機を救ったマリーは気を失い、怪我が原因で熱を出してしまった。
病床でマリーは、お母さんや皆にくるみ割り人形と鼠軍の戦いの話をしたけど、誰も信じてくれず、熱に魘されて幻覚を見たのだと笑われる始末。
そこへドロッセルマイヤーおじさんが、修理して元通りになったくるみ割り人形を持ってやって来たの。
マリーはおじさんにも夜に有った出来事を話したわ、そしたらおじさんは笑わずに神妙な顔付きで、「堅いくるみの話」をし始めた…。
 
「…ニュルンベルグの或る王様に美しい王女様が生まれた。
 そのピルリパート姫は鼠の魔女マウゼリングス夫人の呪いで醜いくるみ割り人形に姿を変えられてしまった。
 何故そんな呪いをかけられたかと言うと、マウゼリンクス夫人を女王に戴く鼠共が王様の大好物の脂身を食べてしまった事に腹を立てた王様が鼠討伐をし、マウゼリングス夫人の7匹の息子や一族郎党を殺してしまったからだ。
 それなのに王様は命令通り鼠捕り機を作っただけの時計師ドロッセルマイヤーに八つ当たりし、姫を元通りの姿に戻せなければ処刑すると言い渡した。
 時計師のドロッセルマイヤーは難を逃れようと必死で調べてやっと呪いを解く方法を見つけた。
 世界一固いクラカーツクのくるみを割ってその実を姫に食べさせれば良い、そしてクラカーツクのくるみを割る事ができるのは、今迄一度も髭を剃った事が無く、長靴を履いた事も無い若者だけ。
 それから15年間、時計師ドロッセルマイヤーは世界中を巡り、その様な若者を探し続けた。
 そしてやっとの事で従兄弟である人形細工師がクラカーツクのくるみを持っており、その息子がくるみを割るのを得意とする上、探していた条件に合う若者であるのをを突き止めた。
 時計師ドロッセルマイヤーは、王様にクラカーツクのくるみが見つかった事のみ報告し、その固いくるみを割る事ができた者を姫の婿にして王国の跡継ぎにする、という約束を王様から取り付けた。
 そして国中から今迄一度も髭を剃った事が無く、長靴を履いた事も無い若者が集まり、クラカーツクのくるみ割りに挑戦した。しかし皆失敗し、歯医者の所へ担ぎ込まれてしまった。
 いよいよ人形細工師の息子の番が来た。若者は見事にクラカーツクのくるみを割り、その実を食べたピルリパート姫は呪いが解けて世にも美しいお姫様となった。ところがそこへ現れたマウゼリングス夫人の呪いにより、代わりに若者が醜いくるみ割り人形となってしまった。ピルリパート姫は泣いて醜いくるみ割り人形との結婚を嫌がり、理不尽にも王様は時計師と人形細工師をお城への出入り禁止にしてしまった。
 占いによれば、若者の呪いを解いて元の姿に戻し、王国を継げるようにする方法が有るにはある。
 それには先ずくるみ割り人形にされてしまった若者が、自らの手でマウゼリングス夫人の7匹の息子の生れ変りである7つの頭を持つ鼠の王様を討ち取らなければならない。
 更に醜い姿にも関らず愛してくれる貴婦人を見つけなければならない。
 いずれも一筋縄ではいかない難問、だから未だに呪いは解けず、若者はくるみ割り人形の姿のままなのだ…。」

おじさんのお話を聴き、マリーは時計師のドロッセルマイヤーはおじさん自身、気の毒な若者とは自分のくるみ割り人形であると考えた。
そんなマリーを皆は空想癖がついたと言って笑ったけど、ドロッセルマイヤーおじさんだけは、マリーの覚悟を知って応援してくれた。
くるみ割り人形を救う決心をしたマリーの枕元には、夜毎鼠の王様が現れ、彼女にお菓子やお人形を差し出せと要求し、呑まなければくるみ割り人形を齧って殺してしまうと脅したの。
マリーはくるみ割り人形こと呪われた少年を助ける為に、自分のお気に入りのお菓子やお人形を差し出したわ。
しかし鼠の王様の要求は留まる事を知らず、マリーは途方に暮れて、くるみ割り人形の前で泣き出してしまったの。
するとその時、くるみ割り人形が「サーベルを授けてください!そうすれば私が自分で鼠の王様を討ち取ります!」と、彼女に向かって叫んだの。
マリーは兄のフリッツに頼んで玩具の兵隊のサーベルを貰い、くるみ割り人形に着けてやった。
その夜くるみ割り人形は無事に鼠の王様を討ち取り、その7つの金の王冠をマリーに捧げたの。
そして戦いによって取り戻した自分の領土である人形の国へマリーを招待してくれた。
甘いお菓子や花の香りがする森や村を通り抜け、人形の国の都へ辿り着くと、そこではありとあらゆる人形達が賑やかに暮らしてたわ。
マリーはくるみ割り人形にマジパン城へ案内され、楽しい時を過ごしていたのだけど、不思議な光の波に攫われたと思ったら、直後に落っこちて気を失ってしまったの。
気が付くととマリーはベッドの上に居た――目覚めてからのマリーは夢中で皆に人形の国の話をしたけど誰も信じてはくれない。
何故かドロッセルマイヤーおじさんまでがおかしそうに笑うだけ、マリーが空想に入り浸るのを心配したお父さんは、遂に彼女が人形の国の話をする事を禁止してしまった。
それでもマリーは心の中にずっと、くるみ割り人形と人形の国の夢を忘れずに抱いてたの。

或る日、ドロッセルマイヤーおじさんが時計の修理をしている側で、マリーはくるみ割り人形にこう囁いたの。

「私がピルリパート姫だったら、貴方が醜いからって蔑んだりしないわ。だって貴方は私の為に醜くなってしまったんだもの。」

その途端にマリーは椅子から落っこちて気を失ってしまい、再び目覚めた彼女の前にはニュルンベルグから来たという、ドロッセルマイヤーおじさんの従兄弟の息子の少年が立っていた。
そして広間でマリーと2人きりになった時、少年は跪いて言ったの。

「私はシュタールバウムのお嬢様の優しい言葉で、やっと呪いを解く事ができました。どうか私と結婚してください。」

マリーは少年と結婚し、人形の国の王妃として、憧れのマジパン城の主となった。
マリーの夢は叶ったのよ。

…如何?双方読んでみて違いが解ったかしら?
先ずヒロインの名前が違うわね。
それと原作では夢と現実が完全に混在してるわ。
原作に登場するドロッセルマイヤーおじさんは、とても普通の人間に思えないわ。

クリスマスは幻想と現実が入交じる不思議な日。
貴方が今年のクリスマスに見たのは、どんな夢だったかしら?
それじゃあ最後にクリスマスソングを紹介して、今夜はこれでお別れ――19世紀頃からオーストリアで歌われていた、ドイツ語のクリスマスキャロル、「Still, Still, Still」!
幼子イエスの為の子守歌、聴けば一夜だけの不思議な夢が見られるかも♪

じゃあ皆、明日も一緒に楽しく歌いましょ♪




             【Still, Still, Still(静かに、静かに、静かに)】




【歌詞】

Still♪ Still♪ Still♪
Weil's Kindlein schlafen will♪
Die Engel tun schön jubilieren♪
Bei dem Kripplein musizieren♪
Still♪ Still♪ Still♪
Weil's Kindlein schlafen will♪


Schlaf♪ Schlaf♪ Schlaf♪
Mein liebes Kindlein, schlaf♪
Maria tut dich [es] niedersingen♪
Und ihr treues Herz darbringen♪
Schlaf♪ Schlaf♪ Schlaf♪
Mein liebes Kindlein schlaf♪
 

【和訳】

静かに、静かに、静かに
幼な子が眠れるように
天使達は祝福し
厩の傍で音楽を奏でる
静かに、静かに、静かに
幼な子が眠れるように

眠れ、眠れ、眠れ
愛しい幼な子よ眠れ
聖母マリアは子守歌を歌い
真の愛で包み込む
眠れ、眠れ、眠れ
愛しい幼な子よ眠れ



(↓から、びょり記)
…原作者のエルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンは、夢か現か定まらない幻想怪奇小説を得意にしてる人。
原作の「くるみ割り人形」に童話らしからぬ、おどろどろしさが漂ってるのも頷ける。
原作通りのオチを考えるに、「ヒロインは夢の世界に連れてかれてしまった」とも解釈でき、ハッピーエンドと捉えて良いものか悩んでしまうのでした。

    

今回紹介する写真は、21日と25日に紹介したのと同様、恵比寿ガーデンプレイスで撮影した物。(記事一番上のスノーマンも同じく…ステッキ折れ曲ってるね)

                   

            クリスマスツリーが立ってる広場から、坂道を下ると、バカラ250灯シャンデリアの煌き。

            

日が暮れるとシャンデリアはより燦然と輝き美しい、硝子の囲いに反射して上手く撮影できないのは残念だが…。

    

更に奥へ進むと煉瓦造りの建物が現れる、いや~益々ハウステンボスを思い出してしまいます。(笑)

    

夕刻を迎える頃、シャンデリアとツリーに明りが点され…

    

煉瓦造りの建物もライトアップされたのでした。

    

広場のクリスマスツリーの周りには人だかり、この日は通り雨が降ったりして、天気あんまよくなかったんすが、大勢の人がイルミネーションを観に来てました。
ちなみに自分らは全く降られずに終わった、建物に入ってる間に止んだらしい、晴れ運万歳♪
左の写真はセレブなマダムの為のスーパー前に飾られたクリスマスツリー。

                   

                   雨に濡れた広場に反射する光も幻想的だった。

    

こちらエビスビール記念館、恵比寿ガーデンプレイスが有る所には、元々エビスのビール工場が在ったんですよ~、と紹介している。
エビスビール――ちょっと贅沢なビールです。

    

全てエビスビール缶で出来てる、エビスビールのオブジェが面白いと思った。
恵比寿ガーデンプレイスのシャンデリア・イルミネーションは来年の1/9迄やってるそうな。
綺麗だから1度行ってみそ、但し物価高いから弁当持参をお勧め。


参考「くるみ割り人形とねずみの王様(エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン、著 種村季弘、訳 河出書房新社、刊)」

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