今月から「あにめぞん感想」記事を月一で更新しようと思います。
さすれば今年の12月には終わる筈…終わらせたいなら、終わらせる意思を持って当たらねば!!
そういうわけで今度こそざっくばらんな感想を目指して(汗)、前回の続きでアニメめぞん第90話のレビューです。
何だかんだ90話まで来ましたよ~!残すは6話!!
・第90回「響子さん引退!一刻館は遠い想い出?」脚本:小西川博 コンテ・演出:茂木智里 作画監督:河南正昭
前回、五代と大喧嘩した響子さんは、翌日も明けない内に、黙って出て行った――惣一郎さんを連れて。
朝になってその事に気が付いた一の瀬さん、朱美さん、四谷さんは、揃って五代の部屋に詰め寄る。
住人達から管理人さんが居なくなった事を聞かされた五代は大いに焦った。
一体何故!?何処へ!?…いやいや原因はどうせまたお前だろうと住人達。
そうですね、この頃の響子さんが怒る理由って五代関係の他に無い以下略。
「やっぱいたたまれなくなったんじゃないの~?手玉に取ってた積りの男が、他の女にプロポーズしたんだから」
朱美さんの的を射た意見(笑)が五代の胸を鋭く抉る。
が、彼にとって今回の騒動は事実無根の濡れ衣。
疑惑の目で詰問する住人達に対し、五代は「自分はこずえちゃんにプロポーズなんてしていない、あれは彼女がそう思い込んでるだけ」と丁寧に釈明した。(…思い込みプロポーズで彼女にフラれるって、まるでうる星第1話みたいね)
話し終えた五代をそれでも白い目で見詰める住人達。
「…いつまで呑気に座ってんだい?――釈明ならここであたしらにしてないで管理人さんにしな!!そして一刻館に連れて帰ってくんだよ!!」
響子さんを連れて帰って来るまで一刻館の敷居を跨がせない、と一の瀬さんから叩き出された五代は、慌てて彼女を迎えに行くのだった。
朱「あいつ、三鷹さんが居なくなって安心してんじゃないのォ?」
一「ったくも~!一緒になる気有んのかねぇ?あの二人!」
…終盤、朱美さんの言葉が一々的を射ていて感心する。(笑)
朱美さんが居たから「めぞん」は大団円を迎えられたと言えよう。
一方の四谷氏は話が重くなった際の癒し役…煮え切らない2人にやきもきしてる朱美さん一の瀬さんの後ろで、五代が食べずに置いてったカップ麺を啜るマイペースな彼の姿に和んだ。(笑)
一方、響子さんの実家では、いきなり飼い犬連れて帰って来た娘に、実母がブツブツと文句を零していた。
家はマンションだから犬は置いとけない、毛が飛び散って困るからベランダに出せと、ゴロゴロ転がる娘の周りで掃除機をかける母親に、「当分は家族で居るんだから優しくしてよ」と甘える響子さん。
その言葉から家に居付く気配を覚った母は、掃除の手を止めて正面から問い質した。
「あんた、あそこ出て来たの?管理人を辞める気なの?」と訊かれ、「どーしよっかなー」と言葉を濁す響子さん。
「だからさっさと三鷹さんと結婚してりゃ良かったのよ!!大体ね!あんたみたいに未亡人で若くもなくて、学歴も技術も無い我儘な子を貰ってくれる人なんて、金輪際、未来永劫、現れないかもしれないじゃないのォ!!」
「自分の娘つかまえて、よくもそこまで言えるわね!」
「見合いしなさい!」
「飛躍しないでよ!」
「お母さんはね、あんたの幸せ考えて言ってんの!」
「結婚なんてしない!!」
「またこの子は!」
…痛い痛い、言葉が刃になって身を切り裂くよ、お母さん!!
この辺りの容赦無い母娘の会話は真に迫って聞えた。
作者も相当言われた事で、その経験を活かしたのかもしれない。
個人的には響子さんの様に美人で家政力高い女性なら引く手数多に感じるけど、若さの点でそろそろエマージェンシー点灯してるかもしれない。
お見合いでも結婚相談所でもアラサーくらいから難有りな相手しか選んで貰えないって聞くから。
つうか理想的なパートナーなんて、見合いする前に売り切れてます。
横道に逸れた話を戻して――母ちゃんの辛辣な言葉を聞き、余計意固地になる響子さん。
胸に浮かぶは五代に泣いて縋るこずえちゃんの「せっかく五代さんがプロポーズしてくれたのにィ~~~!!!」の言葉。
『誰が結婚なんてするもんですか!!あんないいかげんな男…!!』
嫌な記憶にむかっ腹を立ててたそこへ、母親の火に油を注ぐ様な一言が降って来た。
「こうやってぐずぐずしてるから、フラれるのよ!」
「あたしがふったのよ!!あんないいかげんで愚図な奴!!」
「何言ってんの!三鷹さんははっきりあんたに意思表示――」
「誰の話してんのよ!?」
「誰って…誰の話してんの?」
起き上がり、むきになって言い返す娘を、母はきょとんとして見詰める。
どうやら娘は三鷹さんではなく、他の男を対象に話してたらしい事に気が付いた母は、確信を持って尋ねた。
「あんた…好きな人居るのね?」
母の追求を逃れ、犬の惣一郎とじゃれる娘。
「ちょっと…居るのね?居るなら居るで…」
そこへピンポーンと呼び鈴が鳴り、タイミング良く五代が訪ねて来た。
「貴方…確か一刻館の…」
「五代です、お母さん!」
未だに名前を覚えないお母様に、五代が名乗る。
何度も会ってるのに、お母様の中では一刻館の住人の1人って認識なのね。(笑)
アニメは原作ほど顔を合わせていないとはいえ、ここまで眼中に入れて貰えないのは流石に気の毒。
一方の響子さんは襖の陰に隠れて息を潜めるのだった。
そんな娘の行動を不審に思う母親。
「あんた、そこで何やってんの?」
「…帰って貰って!」
何だか訳が解らないが娘は会いたくないらしい…仕方なく母はその旨を男に伝えて謝った。
すると男は一言断りを入れた後、玄関から娘に向かい大声を張り上げた。
「響子さん!!話だけでも聞いてください!!僕はプロポーズなんかしてません!!あれは彼女の思い違いで――」
話終えるのを待たずにクッションが――ボスッ!!!と飛んで来て男の口を塞ぐ。
「帰って!!!みっともない真似しないでください!!!そんな下手な言い訳聞きたくないわ!!!」
クッションアタックに怯んだ男が声を失い立ち竦む。
その隙を突いて娘は男を外へ叩き出すと鍵までかけてしまった。
2人の一部始終を見ていた母親は、遅ればせながら理解する――娘の想い人が誰なのかを。
「…響子…あんたの好きな人って、今の…?」
「冗談じゃないわ!!あんないいかげんで愚図な人!!」
「何て言う人だっけ?今の人…」
「五代ってのよ!!いつになったら覚えるの!?」
娘の返答を聞いて「……覚えとこう」と呟く母、現金だなぁ~。(笑)
もし未だ三鷹の芽が残ってたら、きっと五代ではなく「三鷹さんにしなさい」って言ってたろうと思うとね。(笑)
娘アラサー、他に候補が居なくなり、「この際貰ってくれる男なら誰でも良いわ」モードになりつつある母だった。
五代が響子さんを連れ帰る為四苦八苦している頃、スナック「茶々丸」では朱美一の瀬四谷が酒を呑んでダベっていた。
「まったく管理人さんらしくないわねェ~!職場放棄じゃないのォ?これ!」
客として来店した住人2人相手に正論を披露する朱美さん、そこへマスターが困り顔で声をかけた。
「お~い朱美ちゃん!働いてよ~~!」
「煩いわねェ!!今大事な話してんじゃないのォ!!」
…偶に忘れるけど朱美さん…ここの店員だったね…職場放棄…どの口が。(笑)
温和なマスターが珍しく眉間に皺を寄せる、店内には住人3人の他にも数人客が居て、それなりに忙しかった。
「大体、職業婦人としての自覚が無いのよねェ~!」
「まぁ~良いじゃないか!暫くは気兼ねなくて!」
「宴会やれるし、家賃も払わずに済みますなぁ」
「それに何てったって、今回の家出は痴情の縺れなんだからねぇ」
「温かく見守ってやらねば」
…以前管理人引退騒動が勃発した時と比べ、五代を除く住人達は落ち着いていたが、それは響子さんがいつかは戻って来ると信じていたから故。
しかし事態は思わぬ方向へ転がるのだった。(とよくある前振り)
夜が更けて、響子さんの実家に、父親が帰宅する。
帰って来て早々、娘は居るか尋ねる夫に、「暫く居付くみたいよ」と返す妻。
その言葉を聞いて満足気に「そうかそうか!」と頷いた夫は、お土産のたこ焼き片手に娘の元へ駆けつける。
何処までも娘に甘い夫に対し、妻は呆れを隠さず言った。
「何であのアパート出て来たか気にならないの?」
しかし夫からすれば訳なんてどうでもいい、娘が己の元にさえ居れば充分だった。
「いつまでもここに居なさい。お前1人くらい、父さん面倒見てやるから」
「有難う!お父さん!」
父親の愛情がたっぷり詰まったたこ焼きを前に、娘がにっこりと微笑む。
可愛い娘の喜ぶ姿にお父さんはイチコロ、デレデレに溶けて形無しだ。
響子さんだけでなく大型犬もセットで付いて来ますが、そちらも面倒見る積りだろうか?(笑)
すっかり娘に篭絡された夫に、妻が横から冷たい一瞥をくれる…う~~ん典型的な一人娘家庭だ。(笑)
頼りにならない夫に代わり、妻は娘に語気を強めて尋ねるのだった。
「管理人を辞める!再婚はしない!どうする積りなのよ!?…何て言ったっけ?昼間来た男の人!」
「誰だそりゃ!?わしゃ知らんぞ!!そんな男!!」と慌てる夫、彼からすれば「三鷹」と言う一難が去ってまた一難、青天の霹靂な娘を狙う新たな男の登場だった。
「お父さん、何度も会ってんじゃないの?」
「会ってる!?どんな男だ!!」
――会ってます…近い所で第84回では一夜を共にしてますよ、お父さん!
母は母で相手の男の職業年齢学歴人柄を聞きたがる、両親の追求に嫌気が差した響子さんは、全力で相手の存在を否定した後、自室へ引っ込んだ。
「おい…!その昼間来たって男…」「どうも怪しいのよねぇ~」「何が怪しいんだ!?」「ひょっとすると、ひょっとするかもね」「ひょっとするとはどういう事だ!?許さんぞ!!今度来たらわしが叩き出してやる!!」
自分が居なくなってもリビングで相手の男について両親が話すのを、明かりを消した自室でネグリジェに着替えながら響子さんは聞いていた。
「もう…何決め付けてんのよ!」
ストーブを消して布団に倒れ込む。(電気ストーブを消す描写がリアル)
「あ~あ~、結婚結婚、そればっかり…」
独り言を零す彼女の隣には、亡くなった夫の名を継いだ犬が、新聞紙の上で横になっていた。
「あんな奴最低よね!!そう思うでしょ!?」と同意を求めるも、犬の惣一郎さんはそっぽを向いて寝てしまう。
答えて貰えない寂しさから逃れる様に、響子さんは布団の中で目を瞑るのだった。
『百回迎えに来ても帰らないんだから…!』
一方、夜のバイトを終えて一刻館に帰って来た五代は、空になった犬小屋を見詰め溜息を吐いていた。
惣一郎さんを連れて、居なくなってしまった彼女。
明日また迎えに行って、彼女は戻って来るだろうか?
どうしたら彼女は会って話を聞いてくれる?
そんな風に悩みつつ玄関扉を開けようとして――鍵が閉まってる!!!
五代の頭に過る、一の瀬さんの「管理人さんを連れ帰らない限り、一刻館の敷居は跨がせない」との言葉――まさか本気で響子さんを連れ帰らない限り、自分を中へ入れない積もりか!?
焦った五代が扉の嵌め込み硝子より中の様子を確かめると、目に飛び込んだのは、例の如く玄関で宴会を開いた末、酔払い寝落ちしたと思しき一の瀬朱美四谷の姿。
3人は五代が幾ら「開けろ」と怒鳴っても、決して瞼を開けようとしなかった…。
仕方無く五代は庭へ回り、1号室に居る賢太郎に窓から中へ入れてくれるよう頼んだ。
――すんごい久し振りの登場!(いや、台詞は無いが、アニメでは前回登場したか)
忘れた人に解説すると、一の瀬さんの1人息子である。
ちなみに亭主も居て、1号室は3人家族で住んでる筈だが、毎日残業で帰るのが遅いのか、亭主は滅多に登場しない。
五代の呼び掛けに賢太郎しか答えなかった事を考えると、今夜も未だ帰ってないらしい。
それはそれとして、原作ではここの役目、確か二階堂が担ってた筈。
アニメでは二階堂が登場しない為、賢太郎に役目を振った改変に文句は無いが、登場時から成長しない子供のままに描いたのは、考え無しだったと思う。
第1回で小学1年だとしても、今は高学年に差し掛かってる筈じゃない?
親に似てチビなのは原作も同じだが、「五代のお兄ちゃん」呼びはないだろう。
「あんた何してんだ?」みたいなタメ口きいた方が、時の経過をリアルに感じられたと思う。
それはさて置き話を戻して――1号室の手摺をよじ登り、中へ入ろうとしたが、建物が古くてぼろい為に、手摺が外れてしまった。
大きな物音と悲鳴を耳にして、一の瀬さんが部屋に戻って来た、その後ろには朱美さん四谷氏も居る。
一「どうしたんだい?」
賢「五代のお兄ちゃんが窓の手摺壊しちゃったんだよ」
一「何やってんだい、こんな所で…帰ったら声かけりゃ良いだろ!」
五「かけました!!」
一「聞いたぁ?」
四「さ〜あ?私、熟睡しておりんしたから」
朱「私もよォ」
五「あのねえ…」
一「ま〜とにかく今晩は入んな!」
意外にも優しい言葉をかけられ、窓から入ろうとした五代の足元に、一の瀬さんが工具セットを投げた。
一「こいつ(窓の手摺)を直してからだけどね!」
言うが早いか、呆気に取られる五代の前で、無情にも窓が閉められ、カーテンまで引かれる。
手摺を修理し終えるまで閉め出しを喰らった五代は、力無く地面に崩折れるのだった…。
――ここでCM挟んでBパートへ。
Bパート開始時の「響子さんにプロポーズする三鷹と五代」のアイキャッチも、いいかげん物語の展開に準じて変えて欲しい。
三鷹さん離脱後は、ぶっちゃけ作品タイトルのみのアイキャッチに統一した方が良かった。
それはさて置きBパートの話――五代はその後も響子さんの実家を訪ねていた。
玄関での五代と響子さんの母親の会話から数日経っている事が解る。
毎回袖にされても諦めず娘の元に通う五代に、母はすっかり同情していた。
足繁く通った事で好感度アップに繋がったな。(笑)
「まーったく!あんたもしつこい性格ね!もう五日目よ!話くらい聞いてあげたら!?」
「煩いわねぇ!!」
五代が帰った後の母娘の遣り取りも五日目のもよう、そりゃ母ちゃんが切れるのも解るわ。
母の文句から逃れ、ベランダに立つ響子さん。
下に降りた五代が振り返り振り返り帰って行く…その様子を見詰めながら、彼女は思うのだった。
『今更話す事なんて無いわよ…何度迎えに来たって……いつまで続くのかしらねぇ?』
無自覚で男の愛を試すなんて、響子さんも悪い女よのぉ。(笑)
その夜、響子さんの父は一刻館の大家でもある惣一郎さんの父親宅を訪ねていた。
客間に据えられた火鉢を火箸で掻き回しもてなす惣一郎さんの父こと大家に、突然の来訪の訳を尋ねられた響子さんの父親は、思い切った様に告白した。
「実は……響子が管理人を辞めたいと…申しまして」
「そりゃ突然な…どうしてまた?」と驚く大家。
「は…それが響子のやつ、既に実家へ戻っておりまして…もう、一刻館へは帰りたくないんだそうで」
話を聞いて残念がる大家に、父は「何れ本人を連れて御挨拶に伺います」と言って首を垂れた。
娘を自分の元に置いときたい父親のエゴが暴走しての行為は、響子さんとの間に亀裂を生む切っ掛けになるのだが、それについてはまた後程。
一方、響子さんが居なくなった一刻館は、見るも無残にゴミ屋敷化していた。
四「あらあらあら…まったく管理人さんが五日居ないだけで、随分歩き難くなりましたね」
朱「本当、困っちゃうわね」
一「何でこんなに汚れてるんだろうね?」
四「管理人さんのお帰りが待ち遠しい」
困った困ったと陽気に笑いながら、ゴミに埋没した廊下で宴会を繰り広げる住人3人。
困り者揃いな一刻館は、今日も平和だった。
響子さんの実家では、遅く帰宅した父がリビングで晩酌をしていた。
「残業でしたの?」と尋ねる母に、「うん、ちょっとな…」と言葉を濁した父は、話を逸らす様に近頃娘の身辺に現れた男について訊いた。(近頃じゃないんだけどね)
「あの何とか言う男、未だ通って来てんのか?」
「五代さん?ええ!毎日!…やっぱりあの人と何か有ったのよ!」
「何だその嬉しそうな顔は!?うちの娘に付き纏いおって!!響子もあんなに嫌がってるじゃないか!!」
「そ~お?その割には五代さんが来る時はいつも家に居てさ!実は待ってんのよ、あれは!」
「適当な事をぬかすな!!」
自分の男の話で盛り上がる両親の会話に、風呂から上がった響子さんが聞き耳を立てていた。
「冗談じゃないわ!何にも知らないくせに!…誰があんないいかげんな男!」
タオルを巻いだけの姿でドレッサーに腰掛け、化粧水を肌に染み込ませる。
ふと頭に浮かぶ、五代が自分を迎えに来た時の必死な顔と声――僕の話を聞いてください!!僕はプロポーズなんかしてません!!
ドレッサーの鏡に映った自分の顔に問い掛けるよう、彼女は呟くのだった。
「…明日、少しだけ、話を聞いてみる?」
…良かったな~五代、101回もプロポーズするまではいかなくて。(笑)
ちなみにあのドラマ、当初は男が女にフラれて終わるバッドエンドを予定してたらしい。
実は一度も観た事無くて、男が1人の女に101回プロポーズをして漸くハッピーエンドを迎える結末だと思い込んでいたが、そうではなく99回お見合い失敗した男が101回目のプロポーズの果てに幸せになる事を、最近ネットで調べて初めて知ったという。(汗)
それはさて置き今回は響子さんが自宅で過ごす気安さから、無防備にセクシーショット連発してくれて、目の保養になりました。(笑)
それはさて置き翌日、昼時の一刻館――日が経つ毎に館内を埋めて行くゴミを、五代は居なくなった管理人に代わって片付けていた。
一「結構溜まったねぇ~!この分じゃ天井に届くのも時間の問題だねぇ!」
四「しかし人間というのは良く出来ていますなぁ。直ぐ環境に適応する」
朱「住めば都よ!…ちょっと五代君!無駄な事してないで、あんたも飲みなさいよォ!」
五「あのねえ!ちょっとは手伝ってくださいよ!!誰が散らかしてると思ってんですか!?」
朱「元はと言えば、あんたのせいじゃない!早く管理人さん連れ戻してよ!」
一「だらしないねぇ~。五日も通って誠意一つ見せられないのかい?」
片付けど片付けど猶、我が暮らし楽にならざり…何せゴミを始末する横から、住人3人が新たなゴミを生み出すのだから、さながらウロボロスの如しゴミの循環である。
それについて文句を言えば、「管理人を連れて帰らないお前が悪い」と逆に責められるので、五代は黙ってゴミを片付けるしかなかった。
そこへ突然、一刻館の大家が訪ねて来る。
大家の顔を見るや、「私は無一文です!」と言って、隠れようとする四谷。(笑)
そんな住人の姑息な行動には目もくれず、大家は「これは…想像以上の荒み様じゃなぁ……」と言って、荒廃した館内を見回した。
大家は住人を比較的綺麗な5号室(五代の部屋)に集めると、新しい管理人を置く予定でいる事を説明した。
大「この有様では、早急に決めんと人間が住めんようになってしまう」
四「私は住めますが」
…つまり四谷さんは人間じゃないって事か。(笑)
朱「ちょっと待ってよォ!家出してるだけよォ、管理人さん」
大「家出?」
五「あのぉ、まさか管理人さん本人が辞めると…?」
大「いや、父上が…」
一「やっぱりねぇ〜。辞めるわけないもん!」
大「何か訳が有るのかな?」
一「ま〜ね!」
そう言って一の瀬さんは、五代の顔をちらっと見た。
一「それにしても、やっぱ不便だねぇ〜、いつ帰って来るんだか解んないんだから」
四「どうです?ここは管理人代行を置いてみては?」
四谷氏の提案に、適任者が居るのかを、大家が尋ねる。
四「私に心当たりが有ります!何せその男は貧乏なくせにバイトは夜のキャバレーだけ!日中はブラ〜ブラしてます!」
部屋に居る全員の視線が、五代の顔に自然と向う。
こうして一刻館管理人代行は、五代裕作に決定した。
…あのー、アニメの五代君は未だ大学生なのですが(汗)……脚本家忘れたか、どうでもいいと開き直ったか、終盤の展開はアニメ独自の積み重ねを無視して、ほぼ原作からの引き写しであった。
一方、響子さんの実家では――そろそろ来る筈の五代を待って、響子さんがベランダから身を乗り出していた。
そこへピンポーンと呼び鈴の鳴る音、五代さんが来た!――と思った響子さんは、リビングのソファに座って雑誌を読み始める。(笑)
しかし応対に出た母は、玄関から戻ると、ベランダの洗濯物を取り込みながら、娘にこう言った。
「しつこいから帰って貰ったわよ!」
「…ちょっと!!勝手な真似――」
「新聞の勧誘!」
気色ばむ響子さんに、母がしてやったりの笑顔を浮かべる。
「…少しは会う気になったわけ?」
「誰が!!来なくたって良いわよ!あんな奴!」
母の悪戯に引っ掛かった事が面白くなくて、反抗的になる娘。
そこへ今度は電話が鳴った。
響子さんが出ると、惣一郎さんのお父様からだった。
お義父様が話す、先日、響子さんの父上から、貴女が一刻館の管理人を辞めたがってるとの相談を受けたと。
「私、そんな事、一言も…!」と否定する響子さんだが、「しかし、現に実家に」との指摘を受け、言葉に詰まる。
思い余って「母が急病で」と嘘を吐いたところに、「何処の母が急病だって?」との横槍が入った。
「煩いわねぇ!!大事な電話してんだから黙っててよ!!」
「そんな事言ったって、あたしの何処が病気なのよ!?」
「いいからあっち行っててよ!!!」
「勝手になさい!!!」
電話口での母娘喧嘩は、当然の如く相手側に筒抜け。(笑)
すっかり言い訳を失くした響子さんに、お義父様は労るよう話しかけた。
「…響子さん、無理しなくて良いんだよ。わたしゃね、寧ろ今までよく我慢してくれたと感謝してんだよ。…それにね、取り敢えず新しい管理人を雇ったし。当分の間は代行だけどね」
…確かに響子さんは良くやった。
五日でゴミに塗れる一刻館を、今まで清潔に保って来たのだから。
前任の管理人なぞ、疲れ果てた末に、住人達に一言も告げず、出て行ったのだから。
しかしお義父様の労りの言葉は、響子さんの立場を更に追い詰めるものだった。
『新しい管理人って…それじゃ、あたしの帰るとこが無くなっちゃうじゃないの…!』
同じ頃、一刻館では、急遽管理人を任された五代が、身を粉にして館内を綺麗にしていた。
『今日はもう管理人さんのとこに寄ってる時間無いな』とか考えてるそこへ、一の瀬朱美四谷の3人が帰って来る。
朱「うお〜!床が見える!」
四「これでまた爽やかに宴会が出来ますな!」
帰宅するや早速、宴会を始めようとする3人に、五代がブチ切れる。
しかし3人は「これはあんたが管理人になった御祝いだから」と聞きゃしない。
舐められてんだね、つまり。(笑)
昼間なのに珍しく一刻館に居た賢太郎が、顔を曇らせ五代に尋ねた。
「…お兄ちゃん…管理人さん、いつ帰って来るんだよお?」
そんな事訊かれても五代には答えられない。
暗く重たい空気を弾き飛ばす様に、3人が五代に向かって声を張り上げた。
「さあ!早く迎えに行きなよ!」
「その前に、あたしの部屋の雨漏り直してよ!」
「二階のトイレットペーパー、有りませんよ!」
「物干し場の足場も何とかならないのかい!?」
「やーっぱ管理人が居ると便利ねー!」
注文の多い住人達に囲まれて、五代の人生は今日もままならない。
『管理人さん……明日はきっと、迎えに行きますからね…!』
(個人的評価)脚本☓ 演出△ 作画△ …今回の脚本は原作丸写しなせいで、原作と異なるアニメの設定が、違和感を生じさせてる。
二階堂が居ないから、代わりに賢太郎を幼い子供のまま出した違和感。
一般的な生活リズムを刻んでる賢太郎の父が、夜遅くに一刻館に居ない違和感。
未だ学生の五代を、大家も一緒になって管理人代行に推す違和感。
五代の響子さんの呼び方も、「響子さん」だったり、「管理人さん」だったり、統一されていない。
制作スタッフは雑誌のインタビューで、「第86回から五代のモノローグでの呼び方が、『管理人さん』から『響子さん』に変わった」と、演出上の拘りを紹介してたのに、守られてないじゃないか!
…原作と異なる設定を敷いてるなら、その設定を元に話を展開させてかないと、物語全体の整合性が取れなくなるぞ。
作画は△付けたけど、他2人が上手い為、相対的に評価低くなるだけで、今回の絵も充分綺麗です。
終盤のアニメめぞんの作画は毎回美しかった。
◎か○で評価付け直そうかと考えてる程。
大抵の場合、映画化前のテレビアニメは作画が乱れるのですが(映画の方に優先してアニメーターを集める為)、テレビアニメめぞんの作画は最後まで美しいままでした。
アニメーターのキャラや作品への愛情を強く感じましたです。
次回予告は毎度お馴染み、五代一の瀬四谷朱美の一刻館住人4人組で、タイトル読みは響子さん。
予告で四谷氏がのたまった「入ったから出て来たんでしょーが!」に大ウケした。(笑)
役を演じてる千葉繁さんは本当に巧い。
【続】
さすれば今年の12月には終わる筈…終わらせたいなら、終わらせる意思を持って当たらねば!!
そういうわけで今度こそざっくばらんな感想を目指して(汗)、前回の続きでアニメめぞん第90話のレビューです。
何だかんだ90話まで来ましたよ~!残すは6話!!
・第90回「響子さん引退!一刻館は遠い想い出?」脚本:小西川博 コンテ・演出:茂木智里 作画監督:河南正昭
前回、五代と大喧嘩した響子さんは、翌日も明けない内に、黙って出て行った――惣一郎さんを連れて。
朝になってその事に気が付いた一の瀬さん、朱美さん、四谷さんは、揃って五代の部屋に詰め寄る。
住人達から管理人さんが居なくなった事を聞かされた五代は大いに焦った。
一体何故!?何処へ!?…いやいや原因はどうせまたお前だろうと住人達。
そうですね、この頃の響子さんが怒る理由って五代関係の他に無い以下略。
「やっぱいたたまれなくなったんじゃないの~?手玉に取ってた積りの男が、他の女にプロポーズしたんだから」
朱美さんの的を射た意見(笑)が五代の胸を鋭く抉る。
が、彼にとって今回の騒動は事実無根の濡れ衣。
疑惑の目で詰問する住人達に対し、五代は「自分はこずえちゃんにプロポーズなんてしていない、あれは彼女がそう思い込んでるだけ」と丁寧に釈明した。(…思い込みプロポーズで彼女にフラれるって、まるでうる星第1話みたいね)
話し終えた五代をそれでも白い目で見詰める住人達。
「…いつまで呑気に座ってんだい?――釈明ならここであたしらにしてないで管理人さんにしな!!そして一刻館に連れて帰ってくんだよ!!」
響子さんを連れて帰って来るまで一刻館の敷居を跨がせない、と一の瀬さんから叩き出された五代は、慌てて彼女を迎えに行くのだった。
朱「あいつ、三鷹さんが居なくなって安心してんじゃないのォ?」
一「ったくも~!一緒になる気有んのかねぇ?あの二人!」
…終盤、朱美さんの言葉が一々的を射ていて感心する。(笑)
朱美さんが居たから「めぞん」は大団円を迎えられたと言えよう。
一方の四谷氏は話が重くなった際の癒し役…煮え切らない2人にやきもきしてる朱美さん一の瀬さんの後ろで、五代が食べずに置いてったカップ麺を啜るマイペースな彼の姿に和んだ。(笑)
一方、響子さんの実家では、いきなり飼い犬連れて帰って来た娘に、実母がブツブツと文句を零していた。
家はマンションだから犬は置いとけない、毛が飛び散って困るからベランダに出せと、ゴロゴロ転がる娘の周りで掃除機をかける母親に、「当分は家族で居るんだから優しくしてよ」と甘える響子さん。
その言葉から家に居付く気配を覚った母は、掃除の手を止めて正面から問い質した。
「あんた、あそこ出て来たの?管理人を辞める気なの?」と訊かれ、「どーしよっかなー」と言葉を濁す響子さん。
「だからさっさと三鷹さんと結婚してりゃ良かったのよ!!大体ね!あんたみたいに未亡人で若くもなくて、学歴も技術も無い我儘な子を貰ってくれる人なんて、金輪際、未来永劫、現れないかもしれないじゃないのォ!!」
「自分の娘つかまえて、よくもそこまで言えるわね!」
「見合いしなさい!」
「飛躍しないでよ!」
「お母さんはね、あんたの幸せ考えて言ってんの!」
「結婚なんてしない!!」
「またこの子は!」
…痛い痛い、言葉が刃になって身を切り裂くよ、お母さん!!
この辺りの容赦無い母娘の会話は真に迫って聞えた。
作者も相当言われた事で、その経験を活かしたのかもしれない。
個人的には響子さんの様に美人で家政力高い女性なら引く手数多に感じるけど、若さの点でそろそろエマージェンシー点灯してるかもしれない。
お見合いでも結婚相談所でもアラサーくらいから難有りな相手しか選んで貰えないって聞くから。
つうか理想的なパートナーなんて、見合いする前に売り切れてます。
横道に逸れた話を戻して――母ちゃんの辛辣な言葉を聞き、余計意固地になる響子さん。
胸に浮かぶは五代に泣いて縋るこずえちゃんの「せっかく五代さんがプロポーズしてくれたのにィ~~~!!!」の言葉。
『誰が結婚なんてするもんですか!!あんないいかげんな男…!!』
嫌な記憶にむかっ腹を立ててたそこへ、母親の火に油を注ぐ様な一言が降って来た。
「こうやってぐずぐずしてるから、フラれるのよ!」
「あたしがふったのよ!!あんないいかげんで愚図な奴!!」
「何言ってんの!三鷹さんははっきりあんたに意思表示――」
「誰の話してんのよ!?」
「誰って…誰の話してんの?」
起き上がり、むきになって言い返す娘を、母はきょとんとして見詰める。
どうやら娘は三鷹さんではなく、他の男を対象に話してたらしい事に気が付いた母は、確信を持って尋ねた。
「あんた…好きな人居るのね?」
母の追求を逃れ、犬の惣一郎とじゃれる娘。
「ちょっと…居るのね?居るなら居るで…」
そこへピンポーンと呼び鈴が鳴り、タイミング良く五代が訪ねて来た。
「貴方…確か一刻館の…」
「五代です、お母さん!」
未だに名前を覚えないお母様に、五代が名乗る。
何度も会ってるのに、お母様の中では一刻館の住人の1人って認識なのね。(笑)
アニメは原作ほど顔を合わせていないとはいえ、ここまで眼中に入れて貰えないのは流石に気の毒。
一方の響子さんは襖の陰に隠れて息を潜めるのだった。
そんな娘の行動を不審に思う母親。
「あんた、そこで何やってんの?」
「…帰って貰って!」
何だか訳が解らないが娘は会いたくないらしい…仕方なく母はその旨を男に伝えて謝った。
すると男は一言断りを入れた後、玄関から娘に向かい大声を張り上げた。
「響子さん!!話だけでも聞いてください!!僕はプロポーズなんかしてません!!あれは彼女の思い違いで――」
話終えるのを待たずにクッションが――ボスッ!!!と飛んで来て男の口を塞ぐ。
「帰って!!!みっともない真似しないでください!!!そんな下手な言い訳聞きたくないわ!!!」
クッションアタックに怯んだ男が声を失い立ち竦む。
その隙を突いて娘は男を外へ叩き出すと鍵までかけてしまった。
2人の一部始終を見ていた母親は、遅ればせながら理解する――娘の想い人が誰なのかを。
「…響子…あんたの好きな人って、今の…?」
「冗談じゃないわ!!あんないいかげんで愚図な人!!」
「何て言う人だっけ?今の人…」
「五代ってのよ!!いつになったら覚えるの!?」
娘の返答を聞いて「……覚えとこう」と呟く母、現金だなぁ~。(笑)
もし未だ三鷹の芽が残ってたら、きっと五代ではなく「三鷹さんにしなさい」って言ってたろうと思うとね。(笑)
娘アラサー、他に候補が居なくなり、「この際貰ってくれる男なら誰でも良いわ」モードになりつつある母だった。
五代が響子さんを連れ帰る為四苦八苦している頃、スナック「茶々丸」では朱美一の瀬四谷が酒を呑んでダベっていた。
「まったく管理人さんらしくないわねェ~!職場放棄じゃないのォ?これ!」
客として来店した住人2人相手に正論を披露する朱美さん、そこへマスターが困り顔で声をかけた。
「お~い朱美ちゃん!働いてよ~~!」
「煩いわねェ!!今大事な話してんじゃないのォ!!」
…偶に忘れるけど朱美さん…ここの店員だったね…職場放棄…どの口が。(笑)
温和なマスターが珍しく眉間に皺を寄せる、店内には住人3人の他にも数人客が居て、それなりに忙しかった。
「大体、職業婦人としての自覚が無いのよねェ~!」
「まぁ~良いじゃないか!暫くは気兼ねなくて!」
「宴会やれるし、家賃も払わずに済みますなぁ」
「それに何てったって、今回の家出は痴情の縺れなんだからねぇ」
「温かく見守ってやらねば」
…以前管理人引退騒動が勃発した時と比べ、五代を除く住人達は落ち着いていたが、それは響子さんがいつかは戻って来ると信じていたから故。
しかし事態は思わぬ方向へ転がるのだった。(とよくある前振り)
夜が更けて、響子さんの実家に、父親が帰宅する。
帰って来て早々、娘は居るか尋ねる夫に、「暫く居付くみたいよ」と返す妻。
その言葉を聞いて満足気に「そうかそうか!」と頷いた夫は、お土産のたこ焼き片手に娘の元へ駆けつける。
何処までも娘に甘い夫に対し、妻は呆れを隠さず言った。
「何であのアパート出て来たか気にならないの?」
しかし夫からすれば訳なんてどうでもいい、娘が己の元にさえ居れば充分だった。
「いつまでもここに居なさい。お前1人くらい、父さん面倒見てやるから」
「有難う!お父さん!」
父親の愛情がたっぷり詰まったたこ焼きを前に、娘がにっこりと微笑む。
可愛い娘の喜ぶ姿にお父さんはイチコロ、デレデレに溶けて形無しだ。
響子さんだけでなく大型犬もセットで付いて来ますが、そちらも面倒見る積りだろうか?(笑)
すっかり娘に篭絡された夫に、妻が横から冷たい一瞥をくれる…う~~ん典型的な一人娘家庭だ。(笑)
頼りにならない夫に代わり、妻は娘に語気を強めて尋ねるのだった。
「管理人を辞める!再婚はしない!どうする積りなのよ!?…何て言ったっけ?昼間来た男の人!」
「誰だそりゃ!?わしゃ知らんぞ!!そんな男!!」と慌てる夫、彼からすれば「三鷹」と言う一難が去ってまた一難、青天の霹靂な娘を狙う新たな男の登場だった。
「お父さん、何度も会ってんじゃないの?」
「会ってる!?どんな男だ!!」
――会ってます…近い所で第84回では一夜を共にしてますよ、お父さん!
母は母で相手の男の職業年齢学歴人柄を聞きたがる、両親の追求に嫌気が差した響子さんは、全力で相手の存在を否定した後、自室へ引っ込んだ。
「おい…!その昼間来たって男…」「どうも怪しいのよねぇ~」「何が怪しいんだ!?」「ひょっとすると、ひょっとするかもね」「ひょっとするとはどういう事だ!?許さんぞ!!今度来たらわしが叩き出してやる!!」
自分が居なくなってもリビングで相手の男について両親が話すのを、明かりを消した自室でネグリジェに着替えながら響子さんは聞いていた。
「もう…何決め付けてんのよ!」
ストーブを消して布団に倒れ込む。(電気ストーブを消す描写がリアル)
「あ~あ~、結婚結婚、そればっかり…」
独り言を零す彼女の隣には、亡くなった夫の名を継いだ犬が、新聞紙の上で横になっていた。
「あんな奴最低よね!!そう思うでしょ!?」と同意を求めるも、犬の惣一郎さんはそっぽを向いて寝てしまう。
答えて貰えない寂しさから逃れる様に、響子さんは布団の中で目を瞑るのだった。
『百回迎えに来ても帰らないんだから…!』
一方、夜のバイトを終えて一刻館に帰って来た五代は、空になった犬小屋を見詰め溜息を吐いていた。
惣一郎さんを連れて、居なくなってしまった彼女。
明日また迎えに行って、彼女は戻って来るだろうか?
どうしたら彼女は会って話を聞いてくれる?
そんな風に悩みつつ玄関扉を開けようとして――鍵が閉まってる!!!
五代の頭に過る、一の瀬さんの「管理人さんを連れ帰らない限り、一刻館の敷居は跨がせない」との言葉――まさか本気で響子さんを連れ帰らない限り、自分を中へ入れない積もりか!?
焦った五代が扉の嵌め込み硝子より中の様子を確かめると、目に飛び込んだのは、例の如く玄関で宴会を開いた末、酔払い寝落ちしたと思しき一の瀬朱美四谷の姿。
3人は五代が幾ら「開けろ」と怒鳴っても、決して瞼を開けようとしなかった…。
仕方無く五代は庭へ回り、1号室に居る賢太郎に窓から中へ入れてくれるよう頼んだ。
――すんごい久し振りの登場!(いや、台詞は無いが、アニメでは前回登場したか)
忘れた人に解説すると、一の瀬さんの1人息子である。
ちなみに亭主も居て、1号室は3人家族で住んでる筈だが、毎日残業で帰るのが遅いのか、亭主は滅多に登場しない。
五代の呼び掛けに賢太郎しか答えなかった事を考えると、今夜も未だ帰ってないらしい。
それはそれとして、原作ではここの役目、確か二階堂が担ってた筈。
アニメでは二階堂が登場しない為、賢太郎に役目を振った改変に文句は無いが、登場時から成長しない子供のままに描いたのは、考え無しだったと思う。
第1回で小学1年だとしても、今は高学年に差し掛かってる筈じゃない?
親に似てチビなのは原作も同じだが、「五代のお兄ちゃん」呼びはないだろう。
「あんた何してんだ?」みたいなタメ口きいた方が、時の経過をリアルに感じられたと思う。
それはさて置き話を戻して――1号室の手摺をよじ登り、中へ入ろうとしたが、建物が古くてぼろい為に、手摺が外れてしまった。
大きな物音と悲鳴を耳にして、一の瀬さんが部屋に戻って来た、その後ろには朱美さん四谷氏も居る。
一「どうしたんだい?」
賢「五代のお兄ちゃんが窓の手摺壊しちゃったんだよ」
一「何やってんだい、こんな所で…帰ったら声かけりゃ良いだろ!」
五「かけました!!」
一「聞いたぁ?」
四「さ〜あ?私、熟睡しておりんしたから」
朱「私もよォ」
五「あのねえ…」
一「ま〜とにかく今晩は入んな!」
意外にも優しい言葉をかけられ、窓から入ろうとした五代の足元に、一の瀬さんが工具セットを投げた。
一「こいつ(窓の手摺)を直してからだけどね!」
言うが早いか、呆気に取られる五代の前で、無情にも窓が閉められ、カーテンまで引かれる。
手摺を修理し終えるまで閉め出しを喰らった五代は、力無く地面に崩折れるのだった…。
――ここでCM挟んでBパートへ。
Bパート開始時の「響子さんにプロポーズする三鷹と五代」のアイキャッチも、いいかげん物語の展開に準じて変えて欲しい。
三鷹さん離脱後は、ぶっちゃけ作品タイトルのみのアイキャッチに統一した方が良かった。
それはさて置きBパートの話――五代はその後も響子さんの実家を訪ねていた。
玄関での五代と響子さんの母親の会話から数日経っている事が解る。
毎回袖にされても諦めず娘の元に通う五代に、母はすっかり同情していた。
足繁く通った事で好感度アップに繋がったな。(笑)
「まーったく!あんたもしつこい性格ね!もう五日目よ!話くらい聞いてあげたら!?」
「煩いわねぇ!!」
五代が帰った後の母娘の遣り取りも五日目のもよう、そりゃ母ちゃんが切れるのも解るわ。
母の文句から逃れ、ベランダに立つ響子さん。
下に降りた五代が振り返り振り返り帰って行く…その様子を見詰めながら、彼女は思うのだった。
『今更話す事なんて無いわよ…何度迎えに来たって……いつまで続くのかしらねぇ?』
無自覚で男の愛を試すなんて、響子さんも悪い女よのぉ。(笑)
その夜、響子さんの父は一刻館の大家でもある惣一郎さんの父親宅を訪ねていた。
客間に据えられた火鉢を火箸で掻き回しもてなす惣一郎さんの父こと大家に、突然の来訪の訳を尋ねられた響子さんの父親は、思い切った様に告白した。
「実は……響子が管理人を辞めたいと…申しまして」
「そりゃ突然な…どうしてまた?」と驚く大家。
「は…それが響子のやつ、既に実家へ戻っておりまして…もう、一刻館へは帰りたくないんだそうで」
話を聞いて残念がる大家に、父は「何れ本人を連れて御挨拶に伺います」と言って首を垂れた。
娘を自分の元に置いときたい父親のエゴが暴走しての行為は、響子さんとの間に亀裂を生む切っ掛けになるのだが、それについてはまた後程。
一方、響子さんが居なくなった一刻館は、見るも無残にゴミ屋敷化していた。
四「あらあらあら…まったく管理人さんが五日居ないだけで、随分歩き難くなりましたね」
朱「本当、困っちゃうわね」
一「何でこんなに汚れてるんだろうね?」
四「管理人さんのお帰りが待ち遠しい」
困った困ったと陽気に笑いながら、ゴミに埋没した廊下で宴会を繰り広げる住人3人。
困り者揃いな一刻館は、今日も平和だった。
響子さんの実家では、遅く帰宅した父がリビングで晩酌をしていた。
「残業でしたの?」と尋ねる母に、「うん、ちょっとな…」と言葉を濁した父は、話を逸らす様に近頃娘の身辺に現れた男について訊いた。(近頃じゃないんだけどね)
「あの何とか言う男、未だ通って来てんのか?」
「五代さん?ええ!毎日!…やっぱりあの人と何か有ったのよ!」
「何だその嬉しそうな顔は!?うちの娘に付き纏いおって!!響子もあんなに嫌がってるじゃないか!!」
「そ~お?その割には五代さんが来る時はいつも家に居てさ!実は待ってんのよ、あれは!」
「適当な事をぬかすな!!」
自分の男の話で盛り上がる両親の会話に、風呂から上がった響子さんが聞き耳を立てていた。
「冗談じゃないわ!何にも知らないくせに!…誰があんないいかげんな男!」
タオルを巻いだけの姿でドレッサーに腰掛け、化粧水を肌に染み込ませる。
ふと頭に浮かぶ、五代が自分を迎えに来た時の必死な顔と声――僕の話を聞いてください!!僕はプロポーズなんかしてません!!
ドレッサーの鏡に映った自分の顔に問い掛けるよう、彼女は呟くのだった。
「…明日、少しだけ、話を聞いてみる?」
…良かったな~五代、101回もプロポーズするまではいかなくて。(笑)
ちなみにあのドラマ、当初は男が女にフラれて終わるバッドエンドを予定してたらしい。
実は一度も観た事無くて、男が1人の女に101回プロポーズをして漸くハッピーエンドを迎える結末だと思い込んでいたが、そうではなく99回お見合い失敗した男が101回目のプロポーズの果てに幸せになる事を、最近ネットで調べて初めて知ったという。(汗)
それはさて置き今回は響子さんが自宅で過ごす気安さから、無防備にセクシーショット連発してくれて、目の保養になりました。(笑)
それはさて置き翌日、昼時の一刻館――日が経つ毎に館内を埋めて行くゴミを、五代は居なくなった管理人に代わって片付けていた。
一「結構溜まったねぇ~!この分じゃ天井に届くのも時間の問題だねぇ!」
四「しかし人間というのは良く出来ていますなぁ。直ぐ環境に適応する」
朱「住めば都よ!…ちょっと五代君!無駄な事してないで、あんたも飲みなさいよォ!」
五「あのねえ!ちょっとは手伝ってくださいよ!!誰が散らかしてると思ってんですか!?」
朱「元はと言えば、あんたのせいじゃない!早く管理人さん連れ戻してよ!」
一「だらしないねぇ~。五日も通って誠意一つ見せられないのかい?」
片付けど片付けど猶、我が暮らし楽にならざり…何せゴミを始末する横から、住人3人が新たなゴミを生み出すのだから、さながらウロボロスの如しゴミの循環である。
それについて文句を言えば、「管理人を連れて帰らないお前が悪い」と逆に責められるので、五代は黙ってゴミを片付けるしかなかった。
そこへ突然、一刻館の大家が訪ねて来る。
大家の顔を見るや、「私は無一文です!」と言って、隠れようとする四谷。(笑)
そんな住人の姑息な行動には目もくれず、大家は「これは…想像以上の荒み様じゃなぁ……」と言って、荒廃した館内を見回した。
大家は住人を比較的綺麗な5号室(五代の部屋)に集めると、新しい管理人を置く予定でいる事を説明した。
大「この有様では、早急に決めんと人間が住めんようになってしまう」
四「私は住めますが」
…つまり四谷さんは人間じゃないって事か。(笑)
朱「ちょっと待ってよォ!家出してるだけよォ、管理人さん」
大「家出?」
五「あのぉ、まさか管理人さん本人が辞めると…?」
大「いや、父上が…」
一「やっぱりねぇ〜。辞めるわけないもん!」
大「何か訳が有るのかな?」
一「ま〜ね!」
そう言って一の瀬さんは、五代の顔をちらっと見た。
一「それにしても、やっぱ不便だねぇ〜、いつ帰って来るんだか解んないんだから」
四「どうです?ここは管理人代行を置いてみては?」
四谷氏の提案に、適任者が居るのかを、大家が尋ねる。
四「私に心当たりが有ります!何せその男は貧乏なくせにバイトは夜のキャバレーだけ!日中はブラ〜ブラしてます!」
部屋に居る全員の視線が、五代の顔に自然と向う。
こうして一刻館管理人代行は、五代裕作に決定した。
…あのー、アニメの五代君は未だ大学生なのですが(汗)……脚本家忘れたか、どうでもいいと開き直ったか、終盤の展開はアニメ独自の積み重ねを無視して、ほぼ原作からの引き写しであった。
一方、響子さんの実家では――そろそろ来る筈の五代を待って、響子さんがベランダから身を乗り出していた。
そこへピンポーンと呼び鈴の鳴る音、五代さんが来た!――と思った響子さんは、リビングのソファに座って雑誌を読み始める。(笑)
しかし応対に出た母は、玄関から戻ると、ベランダの洗濯物を取り込みながら、娘にこう言った。
「しつこいから帰って貰ったわよ!」
「…ちょっと!!勝手な真似――」
「新聞の勧誘!」
気色ばむ響子さんに、母がしてやったりの笑顔を浮かべる。
「…少しは会う気になったわけ?」
「誰が!!来なくたって良いわよ!あんな奴!」
母の悪戯に引っ掛かった事が面白くなくて、反抗的になる娘。
そこへ今度は電話が鳴った。
響子さんが出ると、惣一郎さんのお父様からだった。
お義父様が話す、先日、響子さんの父上から、貴女が一刻館の管理人を辞めたがってるとの相談を受けたと。
「私、そんな事、一言も…!」と否定する響子さんだが、「しかし、現に実家に」との指摘を受け、言葉に詰まる。
思い余って「母が急病で」と嘘を吐いたところに、「何処の母が急病だって?」との横槍が入った。
「煩いわねぇ!!大事な電話してんだから黙っててよ!!」
「そんな事言ったって、あたしの何処が病気なのよ!?」
「いいからあっち行っててよ!!!」
「勝手になさい!!!」
電話口での母娘喧嘩は、当然の如く相手側に筒抜け。(笑)
すっかり言い訳を失くした響子さんに、お義父様は労るよう話しかけた。
「…響子さん、無理しなくて良いんだよ。わたしゃね、寧ろ今までよく我慢してくれたと感謝してんだよ。…それにね、取り敢えず新しい管理人を雇ったし。当分の間は代行だけどね」
…確かに響子さんは良くやった。
五日でゴミに塗れる一刻館を、今まで清潔に保って来たのだから。
前任の管理人なぞ、疲れ果てた末に、住人達に一言も告げず、出て行ったのだから。
しかしお義父様の労りの言葉は、響子さんの立場を更に追い詰めるものだった。
『新しい管理人って…それじゃ、あたしの帰るとこが無くなっちゃうじゃないの…!』
同じ頃、一刻館では、急遽管理人を任された五代が、身を粉にして館内を綺麗にしていた。
『今日はもう管理人さんのとこに寄ってる時間無いな』とか考えてるそこへ、一の瀬朱美四谷の3人が帰って来る。
朱「うお〜!床が見える!」
四「これでまた爽やかに宴会が出来ますな!」
帰宅するや早速、宴会を始めようとする3人に、五代がブチ切れる。
しかし3人は「これはあんたが管理人になった御祝いだから」と聞きゃしない。
舐められてんだね、つまり。(笑)
昼間なのに珍しく一刻館に居た賢太郎が、顔を曇らせ五代に尋ねた。
「…お兄ちゃん…管理人さん、いつ帰って来るんだよお?」
そんな事訊かれても五代には答えられない。
暗く重たい空気を弾き飛ばす様に、3人が五代に向かって声を張り上げた。
「さあ!早く迎えに行きなよ!」
「その前に、あたしの部屋の雨漏り直してよ!」
「二階のトイレットペーパー、有りませんよ!」
「物干し場の足場も何とかならないのかい!?」
「やーっぱ管理人が居ると便利ねー!」
注文の多い住人達に囲まれて、五代の人生は今日もままならない。
『管理人さん……明日はきっと、迎えに行きますからね…!』
(個人的評価)脚本☓ 演出△ 作画△ …今回の脚本は原作丸写しなせいで、原作と異なるアニメの設定が、違和感を生じさせてる。
二階堂が居ないから、代わりに賢太郎を幼い子供のまま出した違和感。
一般的な生活リズムを刻んでる賢太郎の父が、夜遅くに一刻館に居ない違和感。
未だ学生の五代を、大家も一緒になって管理人代行に推す違和感。
五代の響子さんの呼び方も、「響子さん」だったり、「管理人さん」だったり、統一されていない。
制作スタッフは雑誌のインタビューで、「第86回から五代のモノローグでの呼び方が、『管理人さん』から『響子さん』に変わった」と、演出上の拘りを紹介してたのに、守られてないじゃないか!
…原作と異なる設定を敷いてるなら、その設定を元に話を展開させてかないと、物語全体の整合性が取れなくなるぞ。
作画は△付けたけど、他2人が上手い為、相対的に評価低くなるだけで、今回の絵も充分綺麗です。
終盤のアニメめぞんの作画は毎回美しかった。
◎か○で評価付け直そうかと考えてる程。
大抵の場合、映画化前のテレビアニメは作画が乱れるのですが(映画の方に優先してアニメーターを集める為)、テレビアニメめぞんの作画は最後まで美しいままでした。
アニメーターのキャラや作品への愛情を強く感じましたです。
次回予告は毎度お馴染み、五代一の瀬四谷朱美の一刻館住人4人組で、タイトル読みは響子さん。
予告で四谷氏がのたまった「入ったから出て来たんでしょーが!」に大ウケした。(笑)
役を演じてる千葉繁さんは本当に巧い。
【続】