kotoba日記                     小久保圭介

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2022年01月12日 | 生活詩
  


『あ』

生まれた時から

と発語してきた
暮らしの中で
一日一度は発語する


あなたを初めて見た時
胸の中で言う

目が醒めた時
言う

おいしいものを食べた時
おなかの中で言う

悲しみの時
言う

驚いた時
嬉しい時
まず


胸で言う

わたしたち
毎日

ばかり言っていて

と言ってるあいだに
次の言葉がやってきて
口の中から
こぼれて発語
「そうか」「なるほど」「ちがうでしょ」
そのうち
発語は終わり
また

と言って
次の言葉を
連れてくる



機関車だ
短い客車と
長い貨物列車を
引っ張って
暮らしのレールを走ってく

時に
「うるさい」
とか
「わかってる」
と大きな汽笛を鳴らし
もくもく煙を吐きながら



のことなど
気がつかず


わたしたちを
前進させてることなんて
気にもとめず
平気な顔で
仕事にでかけ
洗濯をする



胸の中で
発語しながら
生きてゆく



暮らしと暮らしの
接続詞


までゆく
その日まで
わたしたち



胸で
発語して
毎日毎日
進んでく


まで行ったら
さようなら
ありがとう
またね

胸で言い
最後の発語は
やっぱり

が良いね


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