賢者の帰宅

今日
八百屋に出かけた
自転車で

いつものように
青いバスケットかごに
野菜と果物を入れ
イチゴが安かったので
買った
レジを済ませて
「これイチゴ用です」
と大きなレジ袋の他に
小さなレジ袋をもらった
いつものように
レジ袋は野菜の上にひらりとのったまま
外に出て
野菜を詰め替えるための台に歩いた
その時
風が吹いて
イチゴ用のレジ袋が
ひらーりと
飛んだ
あ
と思って
見ると
乳母車を押すおじいさんが
それを拾った
ああ良かった
と思ったのも
束の間
「これ」
おじいさんは
近くの「若い」奥さんに拾ったレジ袋を渡すではないか
おかしいぞそれは
「あどうもすみません」
と
「若い」奥さんも受け取る
おかしいぞそれは
そのレジ袋は
わたし小久保圭介のものだ
返せ庶民
と思ったけれど
いずれにしても
リュックに入れるので
レジ袋は余る
大きなレジ袋にイチゴを入れ
自転車を押した
これがいわゆる
「ついてない」
というやつだ
こういう時は
ともかく
用事を済ませて
すぐに家に帰るのが賢者
それからスーパーに行って
食材を買い
賢者は帰った
疲れた