kotoba日記                     小久保圭介

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そんときゃ覚悟しとけ

2020年08月16日 | 生活
  


あの野郎
どこ行きやがった

俺は完全に頭来た
せっかく弁当を作って
いざ
チンしようと思ったら
パックの蓋がいない
あのくそたわけ
どこ行きやがった

俺は探したわ
隅から隅まで
戸棚
机の上はもちろん
ベランダも
ソファーの下も
労働場に持ってゆく鞄の中も
ありとあらゆるところを探した
白い蓋だ
あいつがいねえと
玄米入りご飯
ひじき
えのき
菜っ葉
ネギの連中を
加熱できねえ

てめえ馬鹿野郎
どこ行きやがったんだよおおおおおお
俺は完全に頭に来た
出てこい馬鹿野郎
俺が出てこいって言ってんだよ

おいおめえら
あいつどこだ!
みんなしらねえ
って言う
くそたわけ
俺は舌打ちした

絶対にどっかにいるはずだ
冷蔵庫の裏とか
炊飯器の横とか
俺は全部探した
全部だ

わかった
あいつの仕業だ
風だ
窓を開けた時
飛んだんだ
でも
網戸を突き破った跡もねえ
ってことはだ
この家のどこかに隠れてやがるに決まってる

いいか

俺は怒ってない
おまえがちゃんと職務をまっとうしてくれれば
鬼ごっこも許す
だから出てこい


今のままだと

おまえな
職務放棄だぞ
わかってんのか
みんなぞれぞれの
役割でここにいるだろうが
てめえだけが
ぶらぶら遊んでるってことは
どういうことだ
和をもって尊しとする
わかるな
万障繰り合わせの上
助け合おう
俺は怒っていない
本当だ
だから出てこい

・・・

  ・・・・・・
・・・・・・

俺は待った
しょうがない
俺はタッパーに他のタッパーの蓋をかぶせた
多少大きいけど
まあないよりましだ
加熱した

ところが
弁当は加熱して食えるけれど
タッパーの蓋が
ぐにゃぐにゃになった
ああああ
って俺はすぐに
水で冷やした
でもだめだ
形状記憶シャツみたいにはならねえ
すまん
俺はタッパーの蓋に謝った

おい白い蓋
てめえどこ行きやがったんだ馬鹿野郎くそたわけ
出てこい
俺は怒ってない
本当だ
今出てきたら
君の行いはすべて
許す
どうだ
仲間がぐにゃぐにゃになっても
君は出てこないのか
和をもって尊しとする
それが我が家の家訓だ
俺が作った言葉だ


俺はため息をついた

そんで八百屋とスーパーと図書館に行った帰り
同じお弁当用の加熱可のタッパーを
ダイソーで買ってきた
てめえと同じ兄弟だ
だからといって
おまえが出てきたら
それはそれで歓迎する
交代で職務をしてくれればいい
出てこいよ

俺は待つから
もう探さない
忘れたころに出てくる
それだ

俺は怒ってない
本当だ

蓋よ
出てこい
怒らないからさ

絶対に怒らない
迷子になっているかもしれないしな
怒らないいずれにしても
絶対
怒らない
絶対だ

思う




コメント
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