千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

ヴァイオリンは良い投資先

2011-06-22 23:00:39 | Classic
日本音楽財団が所有するバイオリンの名器、ストラディバリウスが約1600万ドル(約12億7000万円)で落札された!

当該財団は、20日、東北地方大地震被災地の伝統芸能の復興を支援するために、十数挺保有しているストラディバリウスの中でも、「ほぼ未使用で、現存するなかでは保存状態が最も良いストラディバリウス」(最も保存状態が良い=最高の音とは限らないが)の1721年製作レディー・ブラントを、ロンドンの楽器の競売会社タリシオが主催するインターネットオークションに出品され、匿名の入札者によって980万ポンドで落札された。英国の詩人、バイロン卿の孫娘であるレディー・アン・ブラントが所有していたところからこの名前がついたレディー・ブラントが、前回競売にかけられたのは1971年のこと。サザビーズでの落札価格は当時最高の8万4000ポンドで、日本音楽財団がこの楽器を購入したのは、2008年のことで購入価格はあきらかにされていない。

・・・が、日本音楽財団はわずか3年でもちゃんと売買益があったと想像される。勿論、キャピタルゲインを狙って購入したわけではないだろうが、1971年から40年後には、何と116倍になったのだ。
というのも、弦楽器製作者アントニオ・ストラディバリ(1644-1737)による現存している通称”ストラディバリウス”は、およそ600挺。ブランド力というよりも、素人が聴いても、本当にストラディバリウスの音は最高に素晴らしい。佐藤俊介さんののように、健康的な新作楽器を好む方も最近はいらっしゃるが、やはりストラディバリウスは特別だと思う。そんな希少価値性からも、ヴァイオリンの名器は非常に良い投資先と指摘する経済学者もいる。

米マサチューセッツ州、ブランダイス大学のキャスリン・グラッディ経済学部教授は「投資先としてバイオリンのリターン(投資収益率)は美術品と比べても遜色ない。株式よりは低いが債券の平均をわずかに上回る。リターンは安定しており美術品ほど変動しないため、安全性の高い投資先と言える」との見方を示している。さすがに、破損してしまったら、その傷の程度にもよるが価値は劣るが 、自動車を運転するよりリスクは少ないと思う。ちなみに、グラッディ教授が2008年に発表した調査結果によると、力強い音に特色があり、五嶋みどりさんも愛用するイタリアの弦楽器製作者ジュゼッペ・グァルネリが製作したバイオリンの1980-2006年のリターンは年率平均6.9%。S&P500種株価指数のリターンの平均は9%以上、米国債は約6.6%となっている。今の日本経済だったら、ヴァイオリンの名器は株や債権を買うよりも堅実な投資先になるかもしれない。

オーストラリア室内管弦楽団は、芸術監督であるリチャード・トグネッティ氏の発案で新基金を設立し、180万ドル(約1億4000万円)でストラディバリウスを購入した。この楽器で、同楽団のアシスタントリーダー(コンミスのことか?)であるサトゥ・ヴァンスカさんはシベリウスのバイオリン協奏曲の最初の部分を演奏した瞬間、「これこそが自分の求めていた楽器」と感じたそうだ。現在、ストラディバリウスを使用(もしくは所有)されているヴァイオリニストは、諏訪内晶子、竹澤恭子、高嶋ちさと、五嶋龍さんや東京クヮルテットなど、多くの方が愛用されている。海外では、イツアーク・パールマン、ギル・シャハム、ペーター・ツインマーマン・・・次々とうかんでくる。欲しいかどうか、買えるかどうかは別として、やはり名器が演奏者を育てるのも事実。以前、高嶋ちさとさんが、ヴァイオリニストは小金が貯まったら弓を買い、大金が貯まったら楽器を買い換えると言っていたが、ストラディバリウスに手は届かなくとも、演奏家だったら優れた楽器を買うために働いているようなものかもしれない。
それにしても、やっぱりこの楽器はほれぼれとするような美青年じゃけん!

■5年前のストラドヴァリウスのオークション落札価格
ストラディバリウスが3億9千万円で落札!
私だって聴きたい東京都響「矢部の音」