千の天使がバスケットボールする

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日本版ワーキングプア

2007-03-02 00:14:59 | Nonsense
非正規雇用が33%に、年収199万円以下が過半数

総務省が2日に発表した労働力調査結果(2006年平均)によると、雇用者(役員を除く)全体に占めるパート・アルバイトや派遣社員ら「非正規社員・職員」の割合は、前年比0・4ポイント増の33・0%となり、02年の調査開始以来、最高を更新した。

雇用者のほぼ3人に1人が非正規雇用となっている。非正規雇用の割合は、男性が17・9%、女性が52・8%だった。雇用者数は計5088万人で、このうち、正規が3411万人、非正規は1677万人だった。前年に比べて、正規は37万人増、非正規は44万人増で、非正規の増加の方が多かった。ただ、非正規の対前年比伸び率は鈍化傾向がみられた。非正規の内訳は、パート・アルバイトが1125万人と最も多く、次いで契約社員・嘱託の283万人だった。正規と非正規の年収をみると、男性の場合、正規は「500~699万円」が21・2%と最も多く、非正規は「199万円以下」が56・8%と過半数を占めた。
(07/3/2)

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「ハケンの品格」の森美雪の推定時給は、1200円程度だろう。7時間勤務で、一日8400円。一ヶ月168000円。首にならず更新してもらえれば、年収は200万円程度。頑張っても、スキルを磨いても年収200万。アパートを借りて生きていくには、かなり厳しいレベルだろう。このブログをはじめたちょうど2年前、「フリータ潮流」を話題にしていた。わずか二年前の当時は、定職をもたずに非正社員として働くことの是非が問われていた。それは雇用形態の選択肢が、労働者にあるという前提でのオハナシだった。それが今や「ワーキングプア」という単語が活字になって紙面を踊る社会になってしまった。森永卓郎さんの提唱する「年収300万円」には諸々異論があるが、事態はそんなレベルではない。国税庁の調査によると、年収200万円以下の給与所得者は95年は793万人。(給与所得者の17.8%)、10年後には981万人(21.8%)に拡大してるという。

おりしも読売新聞でワーキングプアの実体をルポした記事の連載がはじまったが、その内容を読むと私の想像をこえる悲惨さだった。
A青年(30)が毎晩仮眠する場所は、新宿のファースト・フード店。宿賃は、紅茶1杯の100円。食事はカップラーメン。一泊800円かかる漫画喫茶は、彼にとっては贅沢な宿屋。けれども1月に1万3千円が入った財布を盗まれてからは、一度も漫画喫茶には行っていない。コンビニ弁当もゆとりのある時だけのささやかな楽しみ。彼はひきこもりでも、ニートでもない。バブル崩壊後に高校を卒業して就職活動をしたが定職につけなく日雇いの作業員として働く彼の年収は、百数十万円程度だから。それでも勤め先から仕事の連絡が入る携帯電話代金だけは、命綱だから確保しておく必要がある。
昨秋勤めた運送会社では、作業を見ているだけの正社員に屈辱的な言葉でどなられた。けれども首にならないためには、そのような罵倒にも慣れなければいけない。何か知識を身につけなければと思うが、働くだけで生活が終わる。それでも別れ際に記者に「今日初めて、自分の生き方を話しているうちに、意欲がわいてきた。」とたった一度だけの笑顔がみえたという。
契約を更新されずに、頻繁に職場を変える彼にとっては社会とのつながりをもてる友人ができるわけがない。いつも一人なのだ。人に何かを語る。記者と会話をするだけで、たったそれだけで前向きな気持ちがわいてきたのだろう。

昨年職場の体制がかわったことが契機に、約100人程度の机や椅子が新品に入れ替わったことがあった。月曜日に出勤したら、端末や電話もちゃんと自席にのっている。新聞記者の体験記によるとこのようなオフィスのレイアウト変更による作業は、実際は引き受け先の派遣社員が行い、実働10時間で報酬は9800円。パチスロ機を入れる木枠を組み立てる仕事は、約8時間で日当7000円。交通費を支払うと実額5600円しか残らない。続けて働いても正社員にはなれない。生産ラインには、昨年大学を卒業して働いた会社になじめず、以後派遣で食いつなぐ者もいる。
彼らはみな若く健康である。くりかえすが中学からひきこもりの生活を送っていたわけではない。働く気持ちもある。しかし、正社員になれずに年収が200万円以下。ワーキングプアでせっせとバイトに励むのは、大学生の特権かと思っていたのだが。
「心が折れそうだ」そう語る28歳のひとりの派遣社員の声が彼らの現状そのものだ。
森美雪が多少頑張っても、所詮雇用の不安定な派遣社員である。ワーキングプアというカテゴリーに生きる中に、流行を意識したおしゃれでいつもきれいにしている「森美雪」は本当は存在しない、親にパラサイトしていなければ。