午前二時半、紋付き袴姿の人々と松明を掲げた衆が神社へ向かって行列していた。
松明につけられた鈴がチリーンチリーンと長く余韻を残して鳴っている。
いくつかの町内から集まってくる行列は石座(いわくら)神社にあつまってくる。
↓境内には十メートル以上の巨大松明が二本よこたわっている↓
これは大蛇をあらわしている。
★その昔、岩倉の里に大蛇が出没し里人や家畜に害をあたえるので石座(いわくら)神社に訊ねると、「神前の灯をもって退治せよ」とお告げがあり、それによって災いは除かれた。
この火祭りの起源とされる。
大松明からもうひとつ階段を登ったところにある神楽殿には二台の神輿が用意されている↓
向かって左が新しい。
↓さらに階段を登った薄暗い奥殿に十柱ほどの神々が祀られている。願いを一言だけ聞き届けてくださるという「一言神社」というのがおもしろい。あの岩倉家が奉納したという灯篭もある↓
神前からの火が大蛇をあらわす大松明にむかう↓
↓点火されるや炎はめらめら大きくなってゆく↓
※動画をこちらからごらんいただけます
ここしばらく雨がなかったので勢いがある。
雨で中止になったりしなくてよかった。
↓左右で燃え盛る大蛇を見ながら、村の衆は酒盛りをしている↓
一時間以上、炎をみていただろうか。
ようやく静まってくるとひと足早く子供神輿がよういされていた↓
午前四時過ぎ、子供たちが元気にかつぎだす
埋火のようになった火を
↓最後はきれいに掃出して境内をもとどおりにする↓
空にはそろそろ朝の気配
↓大人の神輿が神楽殿から慎重に運び出される↓
↓午前六時前、門前に威勢の良い声がひびく
日曜の早朝なので街に出ても静かに町を歩く。要所でだけ「わっしょい」となる。
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京都の北、岩倉具視が謹慎させられていた場所も近い。
交通も不便で真夜中過ぎから朝にかけての祭り。まだまだ知られていないので観光客も少ない。
お神輿が出るころまで残っていた観光客は二十人もいなかった。
きけば、鞍馬の火祭はすごい人で近年は立ち止まることも許されないのだそうな。
有名でない場所でも(ないほうが?)見るべき場はまだまだある京都ですね。
千載一遇の機会、プロの京都ガイドさんに声をかけていただいて訪れることができました(^.^)。