旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

「若返りの泉」クラナッハ と ゲメルデギャラリー

2018-02-13 22:31:34 | ドイツ
よれよれの老女たちが画面左から泉に入る↓

↓中央へいくにしたがいだんだんと元気になり・・・

右側で泉から上がる時にはすっかり若返って↓

右奥で開催中のお金持ちとの合コンの席につく

1546年、七十代のルカス・クラナッハが描いたこの絵は、当時は世界のどこかにあると思われていた「若返りの泉」を描いた作品。
今回のこのベルリン、ゲメルデ国立絵画館を見学している時に全員が興味津々となった。
洋の東西を問わず、時代も問わず、人間ならば誰もがちょっとは「あったらいいなぁ」と思う泉なのだろう。
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これだけの名品が並ぶ美術館では、「名品と呼ばれる作品を全部見てやろう」などと考えること自体が間違っている。限られた時間でそれは不可能なのだから。
むしろ、何か一つだけでも、自分の気に入る作品に出会うほうが価値がある。

ゲメルデギャラリーは1960年代に建設された文化センターの中にある↓ベルリンの主要なミュージアムは当時は東側にあったので、西ベルリン地区にも文化的な施設が必要だと考えられ、建設された場所。


ここに飾られている絵画はもともと宮殿や邸宅に飾られていたもの。オリジナルの展示場所とは違う。

それはそれで仕方がないし、作品そのものを標本のように隅々まで観察することができるのは、こういった場所におかれているからなのだ↓
美術館の入口はこんな部屋↓




ルネサンス期の名作もたくさん所蔵されている↓

フィレンツェにある代表作「春」と同じ時期に、三十代の●ボッティチェリによって製作された「歌う天使と聖母子」

●マンテーニャ↓にはやはり師匠のベッリーニからの影響があるのだなぁとあらためて思う


ルネサンス期の作品をみてきた後で●カラヴァッジョの作品に出会うと、ある種どぎついリアルさにぎょっとさせられる。当時の人々がいただいた感覚とはこういうものだったのかもしれない↓

大量のコレクションを持つ美術館が作品群をそのように配置するかは腕のみせどころなのだ。

ヴェネチアの風景画家●カナレットは一見客観的な風景画↓今回、ウィーン、ドレスデンの両都市でもカナレットの描いたそれぞれの町が印象的だった




●フェルメールも所蔵している

●デューラーのデューラーらしくないカラフルな作品↓二十代半ばでイタリア絵画を見に旅した彼が、もろに影響をうけていたことが感じられる↓

三十代前半、未だ自分のスタイルを完成させる途上のデューラー吸収力

●ルーベンスのこの小品に描かれた子は、ウィーンのアルベルティーナで見た彼の息子にちがいない↓

弟子の手が入った大作注文品よりも、こうした小さな作品の方が彼本人の息吹がつたわってくるではないか

●レンブラント?「兜の男」は、1980年代までは真作とされていたが、その後弟子の作と断定されてしまった作品。2003年に来日した時に見て、真贋は知らず、好きな作品だと感じた↓

2007年に大阪でこれとそっくりの作品が見つかり、「こっちがほんもの?」との話も週刊誌に載ったが、真偽は不明。

いつも思うのだが、「真作・名作」とか「世界遺産」とか「ミシュラン★付」といったレッテルに惑わされずに自分の価値観でものごとを判じるのは、思うよりずっと難しい。
それは「思ったままを口にする」という事とは違うのだ。

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一時間ほどガイドさんに解説していただきながら見学。
その後、併設のカフェで軽食↓

どんな場所でも、見所を全部まわるなんてぜったいに無理なのだ…誰でも物事をやり残したままで、いずれ去っていかねばならない。クラナッハの描いた「若返りの泉」など存在しないのだから。


ミュージアムショップ↓




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