ジジババのたわごと

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死刑廃止の気運を高めるためには

2007年12月31日 | Weblog
国連総会で、死刑執行の一時停止を求める決議案を採決した。
EUなどが中心になって提案したものだが、賛成108、反対54、棄権29ということであった。
日本、米国、中国、インド、北朝鮮などは反対した。
国連総会の決議には法的拘束力はないが、死刑廃止に向けた国際的な世論が高まっていることを裏付けた決議である。日本でもすこしづつ死刑廃止に動いていくことだろう。

さて、決議でも触れているが、死刑に反対する理由としては、おおよそ次のようなことが指摘されてきた。
① 犯罪の抑止力が死刑を容認する根拠とされているが、死刑が犯罪抑止効果を持つことは証明されていない。
② 誤って処刑されることがある。 司法のミスで執行されると「取り返しがつかない」。 最近米国で死刑判決を受けた受刑者の中から多数の冤罪が明るみにでた。日本でもいまだ冤罪がなくなっていない。
③ 歴史的に死刑は政治的な弾圧の手段として用いられてきた。支配層に反対する者や社会的弱者が合法的に処罰される傾向がある。 死刑を振りかざし人々に恐怖を与え、沈黙させている国家は現在も多数存在する。
④ 究極の人権侵害という側面がある。

この主張の部分に対してはかなりの人が、その通りだと受け止める内容だろうと思う。 だからこそ、世界的な趨勢となってきているのだといえる。
しかし同時に、日本ではこの説明だけでは、死刑廃止に共感させるエネルギーとしては十分でないように感じる。
被害者の心理という視点で分析が必要に思う。

被害を受けた者の心境としては、加害者を厳罰にしてほしいという欲求がある。憎しみがベースなのであるが、被害者自身の奥に「救われていない」という心理が残るからだ。 加害者がのうのうとしているように感じると我慢が出来ない。加害者がつらい目にあうことが見えて、被害者が癒されるという面がある。こういう心理とどう調和させるかが課題だ。

加えて日本のマスコミの取り扱い方は、お涙ちょうだいの報道姿勢が基本にある。
それと、人気ある者や手ごわい相手は持ち上げるが、弱みのある者や反抗できない者に容赦しない傾向がある。一旦落ち目になったりすると、手のひらを返したようにこき下ろすことなど珍しくない。
つまり加害者を断罪し、被害者に同情を寄せる記事報道が多くなるので、加害者を厳罰にせよという声が強まる。
いずれにしても、死刑廃止を広めるには、被害者の立場に立った心理分析をしなくては、なかなか輪が広がらないのではないかと感じる。


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