ロシアの通貨ルーブルが暴落し、国債が「デフォルト」に陥る。
物価が高騰し国力は衰退していく。プーチン大統領が失脚する。
すると、弾圧されてきたチェチェン共和国が分離し独立宣言をする。
数年後のロシアを描くと・・こんな光景がうっすらと浮かび上がってきた。
ロシア軍はウクライナ侵攻で戦力の10%以上を失ったといわれる。
ロシア軍の将校20人ほどのうち、7人が死亡したという。
ロシア兵の死亡も甚大で1万人規模になるという分析が有力だ。
軍事的にもロシアが必ずしも圧倒的優位というわけではない。
ロシアが劣勢を挽回するために化学兵器使用するかもしれないと危惧されている。
自軍が使ったという証拠を残さないようにできるならば、化学兵器の使用に踏み切るだろう。
いや、言い訳やすり替えで反論出来さえすれば、躊躇なく化学兵器を使うかもしれない。何をするかわからない、予測がつかない不気味さがある。
さすがに、核兵器を使うことはないと見る。
もしも核兵器を使ったら・・・事件は永久に歴史に刻まれることになる。もちろん長期間にわたり世界から孤立することを覚悟しなければならない。
ロシアの虐殺が明るみに出てからは、各国から新たな経済制裁、金融制裁が次々に発動されている。
欧米は今までになく足並みを揃えてロシアに圧力をかけている。
一方、制裁の効果がすぐに表れないもどかしさと悩ましさが指摘される。
ロシアからの天然ガスや石油をすぐに止めることができない国が多い。エネルギー取引が制裁から除外されて、効果を弱める抜け穴になっていることは否めない。
ロシアにとっては太い貿易ルートが確保されたまま外貨獲得ができているわけである。
ロシアでは大方の国民がウクライナ侵攻を大ごととは受け止めていない様子である。
言論統制で外部からの情報が遮断され、脚色されたプロパガンダによって事実を知らされないからであろう。
砂糖や食料品や日常品が値上がりしてしても国民は楽観視しているようだ。
海外からの高額な物品の値上がりは激しいけれど、物価全般が上昇するまでになっていないので安心しているのだろうか。
これまでも何度か似たような苦境を経験してきているからなのか。
だが今回はこれまでとは少し違う空気が流れている。
「ロシアは危険な国」という認識が定着した。
エネルギーをロシアに依存する構造から脱却するために、EUは段階的に縮小していく長期計画を始めた。ロシアとの取引は徐々に縮小へ向かう。元に戻ることはないとみられる
通貨のルーブルは信用を失っている。国債がデフォルト(返済不可)になるのは避けらない。買い手がいなくなるので政府や企業は資金調達が難しくなってくる。
近ごろルーブルが持ち直して高値を付けているのは、天然ガスの支払いをルーブルで行うよう求めたり、ルーブルを買い支えによる一時的なものであろう。
いまは物価上昇が始まったばかりだが、ルーブルの下落とともにじわじわと物価高が進行し、物不足、買い占めがはっきりと感じられるようになると予想する。そして急激なインフレが襲い掛かる。
時間の経過とともにロシアの経済圏が縮小していく。そこへ戦費が重くのしかかる。
さて、停戦協議の進展は実質的にゼロと言ってよい。
ロシアは軍事的に有利な立場を確保しようと、東部・南部に攻撃を集中させる見込みだ。
制圧して支配する領域が広がれば、譲歩する手持ちが増えるので、交渉の駆け引きを有利に進めることができる。
これはウクライナ側も同じで、領土が一旦ロシアの手に渡ってしまうと取り戻すには大変な労力がいる。交渉において不利になる。
ましてや、難癖をつけられて一方的に侵略されたことである。ロシアには1ミリたりとも譲りたくないところだ。
「参りました、降参します。これ以上殺さないで!」とはならない。何としても食い止めようと一丸となる。
最重要と位置付ける領土問題では噛み合いそうにない。クリミア半島とウクライナ東部2州の主権の扱いが焦点となる。
「棚上げ案」も話題に出るが、ロシア軍の完全撤兵には結びつかない。
双方とも譲れないので早期の停戦は実現しない。
ゼレスキー政権は徹底抗戦し、おそらく数年に及ぶ長期の戦争になる。
国民のプーチン支持は外部から想像するよりずっと根強い。正確な情報が国民に知らされていないためであるが、国民の80%がプーチンのウクライナ侵攻を支持している。
ロシア国民にとってプーチンは、崩壊したソ連を立て直し、国内経済を軌道に乗せ、国際社会での地位を向上させたリーダーである。
ロシアの領地が何一つ損害を受けていないという違いも大きい。ウクライナの国土がロシアの攻撃によってことごとく瓦礫になったのとは対照的である。
物価が急騰して生活にひどく困窮する状況にならないと、国民のプーチン離れは起きないのかもしれない。
都市部の若い世代は海外の情報に接して実情を知っているが、戦争反対やプーチン批判は厳しく規制され拘束されるので下火になっているのが現状である。
ただし、戦争が長引けばロシア経済は先細っていく。
たとえロシア軍が東部・南部を制圧して支配したとしても、それで終わりではない。
軍隊を駐留させるには、補給や後方支援の体勢を長期にわたって整える必要が生じる。
また、仮に停戦が成立したとしても、欧米のロシア制裁はすぐには解除されないので尾を引く。
ロシアは戦死者数をなかなか発表しないが、1351人(3月25日)としている。これに対してウクライナや欧米などが報じるロシア兵の戦死者数は1万人~1万5千人と見ている。
「無言の帰国」があちこちで増えていくと、さすがにロシア国内でも事実が知れ渡るだろう。
戦死者の増加はロシア社会に影を落とし動揺が広まっていく。厭戦気分が高まっていくに違いない。
2024年3月には大統領選挙がある。過去20年間大統領の座にあったプーチンが、さらに12年間83歳まで大統領に居座ることができるように「大統領選挙法」改正した。
プーチンを批判してきた野党指導者のナワリヌイ氏は収監されて、有力な対立候補はいないと見られているが、選挙を機に国民の鬱積した不満が噴き出ることも考えられる。
長期の戦争とインフレによって生活が困窮し沈滞した空気に、厭戦気分が重なると大きなうねりになる可能性がある。
プーチンが失脚する可能性が高いのは、ロシア政権内部で不信が高まったときだ。
そうなると政権を支えてきた側近や経済界の新興財閥(オリガルヒ)がプーチンを見放していく。
「プーチンの無謀で強権な船には乗っていられない。一緒に沈没するのはごめん被る」という空気が漂い始めたら案外早い。
その時期は?・・・ 東部・南部の衝突で成果を上げられなかったときが大きな転機になりそうだ。
ロシア経済は静かに破綻に向かっていると見る。
“ひょとして! 30年前のソ連邦崩壊の二の舞に” という予感が漂う。
そのときはロシア南部のチェチェン共和国が分離独立の動きを加速させるだろう。
1991年にソ連邦が崩壊したとき、チェチェン自治共和国が独立を宣言したが、エリツィン大統領は認めなかった。
ロシアからの分離独立を求めチェチェンは1994年以来、たびたび武装蜂起し、ロシアが武力鎮圧することが繰り返された。
1999年の第2次チェチェン紛争は、モスクワでの連続爆破テロを「チェチェンの武装勢力による仕業」と決めつけてプーチンが始めたものであるが、周辺の状況からロシア政府の自作自演と言われている。
プーチンは空爆と地上軍で一帯を無差別に破壊し尽くして全滅させた。
国連は、人口40万人のグロズヌイ市を「地球上で最も破壊された都市」と明言したほどである。
チェチェン紛争を取材し、プーチンの弾圧を ”人道に反する”と批判した女性記者マリア・ポリトコフスカヤ氏が、射殺死体で発見される不審な事件もあった。
昨年ノーベル平和賞を受賞したムラトフ氏は、この女性記者が所属するノーバヤ・ガゼーダ紙の編集長を務めている。
(ソ連崩壊のときソ連邦を形成していた15の共和国は独立した)
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