5/15のトレイルランの時に、SJさんが面白いバイクを持ちこんできました。
BIONICONというドイツ製のMTB。ナンでもとある人から、このMTBのインプレッションとトレイル仲間の感想をレポートにまとめて欲しいと頼まれたそうで。(日本で売れるモノかどうかの判断の参考にしたいみたい。) SJさんがこの話を受けたのは、他のマニアックなドイツ製フレームの話もあったので受けたみたいですけど。
このBIONICON。上記のリンクHPにある通り既に海外では発売されており、日本のサイクルショーでも発表されているので機密ではないとのこと。また依頼者の方とSJ氏との間で機密保持契約も結んでいないので、私のHPで紹介するのも問題なしだそうです。そこでWeb上で検索をかけてみると、少数ですが既に何件かWeb上で紹介されているので、安心して紹介させて頂きます。
さてこのMTB。メーカーHPによると
Bionicon Edison SR というモデルで、2グレードあるうちの下のグレード。持ちこまれたバイクのスペックも、このリンク先のスペック通り。(アッセンブルされているパーツも、このページに載ってます。)
で、面白ギミックとはこの写真のように、登りと下りのポジションが自転車に乗ったまま簡単に変えられる仕掛け。上側が上りポジション、下側が下りポジション。私が仕組みを良く理解しない時にポジションを作って撮った写真なので、あまり劇的に変わってませんが、実際はもうちょっと派手に変わります。
こちらのHPの説明図の方が分かりやすいかもしれません。
メーカーHPにも説明とサービス情報が載っています。ステム部にもチョコっと変わった仕掛けがついています。
ポジションを変えるには、左の写真のオレンジ色のアームに付いている黒いボタンを使います。
下りポジションにするにはパイクに乗車したまま、このボタンを押しながら体重を後ろにググッ~と載せます。丁度マニュアルをするような感じ。但しマニュアルをするほどの勢いも力も要りません。
登りポジションにするにはバイクに乗車したまま、このボタンを押しながら前ブレーキを掛け体重を前に載せます。丁度ジャックナイフをするような感じ。同じくジャックナイフをする程の勢いも力も要りません。
ポジションが変わる仕組みは、大雑把にはエアサスであるFフォークとRユニットのエア室が、2本のホースで繋がっていて、上記ボタンを押しながら体重移動をすると、F、Rのエア室をエアが行き来する仕掛けのようです。ボタンの写真のフォーク上部から出ているホースと、左の写真のショックユニット上部から出ているホースが、前記したホースです。
わたし的にはシンプルな仕掛けで好感が持てます。でも、下りポジションにするとRユニットのストロークが減るってこと?ヘッドアングルを寝かせることと、Fストロークを延ばすことが目的で、RのMINストロークの50mmが下り設定ということであれば、オールマウンテン的フリーライドバイクとしてはOKだと思います。RのMAXストローク145mmにおける登りペダリング時のボビングも気にならないし。(フレームサイズがデカ過ぎてダンシングできなかったので、ダンシング時どうなるかは分かりません。)
これはR廻りの写真。シングルピボットです。ショックユニットの取り付け位置により、ホイールストロークを3通りに変えられるようです。
ところで、みんなの反応はと言うと「面白いけど。」の言葉は出ますが、アッセンブルされているパーツを見て引いてしまっているようです。キワモノ好きの私としては、チョット興味があります。ウソ。かなり興味があります。(別に欲しい訳では無いですけど。)
だれもトレールを乗りたがる人がいないので、私が試乗させて頂きました。トレールを1本走るには、担ぎ上げとかピックアップする時間とかで結構手間が掛かるンですよね。だから余程のバイクでない限り自分のバイクを置いて、他のバイクを担ぎ上げないンです。1本でも気持ち良く走りたいですからね。事実、私も
自分のDMRに乗れば良かったと思ったくらいですから。お陰で
前の記事のムービーが撮れた訳ですけど。
<BIONICON Edison SR インプレッション>
大胆にもヘッポコライテクの私がインプレッションを書かせて頂きます。初心者向けのバイクのようですし、初心者の目で見たインプレもイイかナっと。
あくまで私の主観で書かせて頂きます。プロのように客観的には見れません。関係者の方、もし問題があればコメント下さい。削除します。
・質量
見た目より軽いです。手検討で14kgくらい。レイン2と同等かそれ以下。このパーツアッセンブルから想像されるグレード (初心者向け安価グレード)としては、軽いと言えると思います。
・フレームサイズ
デカ過ぎです。
フレームジオメトリーはこちら。私の身長は160cmと低いのですが、今回乗らせて頂いたサイズはMサイズ490mmです。Sサイズは425mm。レインのSサイズが395mm、Lサイズが460mmですから、これと比べててもかなりデカイと言えます。私がMサイズを乗ると、下りポジションにしてもXCのように腹でサドル後ろを抱え込むようにしないと下れません。激坂のタイトコーナーでは、かなりゆっくり進入しても曲がりきれません。
リア~センターは425mmと短めなので、そこが救いです。フリーライドバイクとして日本で売るならレイン並のサイズ展開が欲しいですね。
・タイヤ
WBTのクロカンタイヤ(Mutano Raptor 2.24)が付いていました。このタイヤのせいでこのバイクのコンセプトがボケているように思えます。転がっているときはマアマアなのですが、ブレーキをかけると全然グリップしてくれません。ちょっとオーバースピードになって「ヤッベ!」ってブレーキをかけたとたん制御を失います。空気圧は、ここのトレールでは「パンクします」と宣言しているようなタイヤだったので、手検討(シュレッダーのエアゲージ持ってないモンで。)で2.2気圧ぐらいにしました。
転がり抵抗、軽さ、仕入れ値等、ナンの目的でこのタイヤを選択したのか分かりませんが、バイク全体のイメージに対してこのタイヤはストイック過ぎる印象があります。初心者にとっては危険だと思います。
気持ち良く走るなら、少し重くなってもマキシスのイグナーターやダイナマイト、タイオガのブルードラゴンぐらいのタイヤが欲しいです。
・リム
アレックスは私としては性能面でみても十分だと思います(私のお気に入りのメーカー)。但し、FD16ではタイヤ同様細すぎます。AlexRimsならいっぱい種類があると思いますので、
FD26、FD28、DP20等くらいの太さは欲しいです。重量増加も120g程度で済むと思います。この程度のリムでフリーライドタイヤには対応出来るでしょう。ダウンヒルタイヤには無理がありますが。
・ハブ
なぜか、
DTSwiss Onyx disc です。日本では高いイメージがあるDTswissですが、ドイツでは安価に入手できるのでしょうか?メーカーHPにもリンクがありますし、繋がりがあるのでしょうか?
QUANDO(ハブを専門としてないメーカーのハブをOEMしているメーカー。この前まで http://www.ktgroup.net/ にHPがあったンですけど無くなちゃった?
Macさん情報です。)等安くて信頼のおけるメーカーのハブを使って、その分のコストをタイヤに振り分けて欲しいです。
・
Fサスペンション
BIONICONブランドですが、SRサンツアー製です。SRサンツアー製ですが、軽くて、見た目も質感も良いです。日本で売るならSRサンツアーのロゴは消した方が良いでしょう。BIONICONブランドで出しているンだし。(SRサンツアーは昔のマニアックなサンツアーとは別物のようです。)
ここから先は現物からの想像です。ポジティブエアのみ、ネガティブエア無しです。ダンピング調整はありません。手で動かした感触では、OILダンピングは付いていないのかもしれません。シールのフリクションが減衰になっているような感じです。
走行時のインプレはRユニットも含め、タイヤ性能が低すぎてナンとも言えません。アッセンブルされたタイヤで走った限りでは、悪くはありません。ポコポコ反発が強い懐かしの90年代テイストを感じますが、タイヤの空気圧を上げているせいかもしれません。
登り時は、シッティングでペダリングしている限り不快なボビングは感じません。但し、SPVのように漕ぎに快感を感じる程の性能ではありません。ダンシングは前記した通りフレームがデカ過ぎて出来ませんでした。
装備的には、最低OILダンピングカートリッジ+リバウンド調整が欲しいです。
・Rユニット
Xフュージョン製です。日本で売るなら、可能であればコレもショックメーカーロゴを消した方が良いと思います。走行時のインプレは、Fサスペンションに書いた通り。
・ディレイラー&シフター
SRサンツアー製です。調整が悪いのか、元々の性能なのか分かりませんが、シフトのキレ、感触、質感どれも良いとは言えません。日本で売っているまともなMTBと比べてしまうと、このままの性能では通用しないと思います。
・ブレーキ
これもSRサンツアー製。タイヤのブレーキ性能が低すぎてナンとも言えません。
・フレーム、フォーク剛性
タイヤ性能、フレームサイズの関係で、どうこう言える程、スピードを出せませんでした。
・カラーリング
これは丸っきり個人の嗜好になってしまいますが、爽やかな配色ではありますが、90年代前半のスキー板って感じ。っと思ったらメーカーさんのイメージカラーだったのですね。失礼しました。スノーボード等も造っていらっしゃるようで。
でも、個人的にはMTBの流行の色に変えると、大分カッコイイ方向にイメージが変わると思うのですが。例えば、
こちらのモデルのようなシンプルな配色が日本人には好まれるような気がするのですが、如何でしょうか?
・総括
乗車したままポジションが変えられるというギミック自体は、日本でも受けると思います。後はパーツアッセンブルとパーツ性能、サスペンション及びフレーム性能&剛性、フレームサイズバリエーション、販売価格、販売戦略次第だと思います。ニッチな市場で更にニッチな所を狙っても採算が取れるか?ってところもありますし、やはりサスペンションのギミックを売りにして、他社と同じ市場にぶつけるのが良いかと。
このままのパーツアッセンブルでドイツ本国販売価格+αでは、勝負にならない気がします。自転車雑誌社に持ち込んでも、やんわりとした言葉でボロクソに書かれるか、「もう少し造りこんでから持って来て下さい。」と言われる気がします。
もう少しハッキリ言っちゃうと、パーツアッセンブルに関しては「ヤッツケ仕事」的な所が感じられます。言いすぎ?
仮定の話ですが
① コンポーネントとタイヤが同販売価格帯の他社同等。
② サスペンションスペックが他社同等から
SPV相当の機能を省いたスペック程度以上。
③ フレームサイズが390mm程度の小さいサイズからある。
④ フレーム、サスペンション剛性がソコソコ。
(フニャフニャでなくて、 耐久上問題無ければ可。)
であれば、自走フリーライド、ツーリング、山サイ、通勤を1台のバイクで済ましたいという人には、食指が動く商品になるのではないかと思います。
いちヘッポコMTBフリーライダーが、色々生意気なことを書いてすみません。
日本市場導入を検討されている方のご健闘をお祈りしております。
いや~。頼まれもしないのに、風呂に入るのも飯も食うのも忘れ、力を入れて長い記事を書いてしまいました。なにせキワモノが好きなもので・・・。キワモノと言っても、このギミックは良いと思いますよ。特にシンプルな所が好き。
<追記>
ちょっと待って!前言撤回。
このHPにある
パーツアッセンブルでこの価格なら、フレームサイズとタイヤ、リム、サスペンションの基本性能の問題さえ解決すれば、他社と勝負になるのでは?まあ、対GIANTは無理としても。
後は、日本に持ってきたとき幾らになるか?販売戦略、販売網ですか。私としてはカラーリングを変えて欲しいンですけど。(バイク持ち過ぎなので、買いたい訳ではありませんが。)