【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

「空海と密教美術展」(於:東京国立博物館 平成館)2011年7月20日~9月25日

2011-08-19 00:02:06 | イベント(祭り・展示会・催事)

           

 宗教には関心がありますが、その本当の理解は容易ではありません。かつてラジオ番組で、仏教の講義をある大学の先生がおこなっていましたので、聴いたことがありましたが、内容が専門的でほとんど理解できませんでした。大学の仏教関係の学科には、このような講義がずらっと並んでいるのでしょうが、そうなるとその履修と単位取得は簡単ではないと感じました。

 そのことはそれとして、真言密教の祖、空海と関連した美術の展覧会が上野の国立博物館で開催されていたので、鑑賞してきました。

 密教は来世より現世を重視し、究極の理想はこの世を「密厳浄土」と化すこと、人間のひとりひとりが即身成仏を達成することです。

 「密厳浄土」とは本尊大日如来の絶対の悟りがあまねく満ち溢れる楽土です。また即身成仏とは、現在生きているこの身のまま仏の悟りを得ること、おのおのが即身成仏を達成すれば、この世はおのずから密厳浄土へと昇華することになります。

 密教は古代インドの呪術的宗教儀礼に淵源があり、教義を言葉だけでなく、曼荼羅に託して密教の真髄を伝えようとしているところに特徴があります。曼荼羅には無数の仏が描かれ、エキゾチックなデザインで目をひきます。

 真言仏像は、当時それまでになかった怒りの仏像が登場しているのが革新的です。仏像を仔細にながめると、リアリズム的手法が確信的に定着していることに驚かされますが、当時としては非常に前衛的であったのではないかと推察されます。

 展示会では、空海が中国から持ち帰った絵画や仏像、法具のほか、空海の構想によって造られた東寺の講堂の「立体曼荼羅(りったいまんだら)」を構成する諸像を観ることができます。空海自筆の書「聾瞽指帰(ろうこしいき)」なども展示されています。

 金剛峯寺、神護寺、東寺、醍醐寺などから数々の仏像や法具が提供され、一同にかいしています。

 圧巻は展示の最後の部分の仏像曼荼羅です。曼荼羅が空間的に再現されています。居並ぶ仏像は、金剛法菩薩坐像、梵天坐像、帝釈天騎象像、持国天立像、増長天立像などなど。京都の東寺から借りてきたものですが、東寺の講堂には21体並んでいるのですが、そのうち8体が陳列されています。

 本展のみどころは、以下のように宣伝されています。
 ① 密教美術1200年の原点―その最高峰が東京国立博物館に大集結
 ② 展示作品の98.9%が国宝・重要文化財
 ③ 全長約12mの「聾瞽指帰(ろうこしいき)」を始め、現存する空海直筆の書5件の展示
 ④ 東寺講堂の仏像群による「仏像曼荼羅」の体感
 ⑤ 会場全体が、密教宇宙を表す"大曼荼羅"

 第1章 空海-日本密教の祖
 第2章 入唐求法-密教受法と唐文化の吸収
 第3章 密教胎動-神護寺・高野山・東寺
 第4章 法灯-受け継がれる空海の息吹
 「仏像曼荼羅」


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