木内昇の『球道恋々』を読みました。
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この小説は、日本の野球の草創期を描いた小説です。一高野球部出身の宮本銀平は低迷している母校の野球部のコーチを依頼されます。彼は現役時代は錚々たるメンバーの中では力が劣りレギュラーとして活躍した事はありませんでした。家庭の事情で一高まで行きながら東京帝大にも進学しませんでした。現在は文房具を扱う業界新聞の編集に携わっています。母校の一高野球部は、新入部員も少なく、現有部員の実力も劣り、ライバル三高戦でも敗北していました。
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とりあえずコーチを引き受けた銀平をめぐる、部員や家族、下町の周囲の人々が丁寧に描かれて行きます。ライバル三高には鬼菊池という傑出した投手がいます。銀平は、選手たちの特徴を捕まえて、穏やかにコーチをつとめて行きます。中盤からは、野球を愛好する作家押川春浪との交流がもう一つの軸として描かれて行きます。
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この小説は、日本ハムファイターズの栗山監督が推薦していたので読んで見ました。主人公の銀平はコーチではありますが、一人一人の個性を見分けて指導するところなど、栗山監督に通じるところがあると思いました。時代は違いますが、野球への大きな愛が感じられるいい作品でした。野球が見られなくて悶々としているファンの方々、ぜひ読んでみてください。
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