東京都から遠く離れた、美浜島で生まれ育った中学生・黒川信之は、島に1つしかない中学校の同級生である美花に思いを寄せていた。一方、父・洋一に虐待されて育った輔は、信之を慕っていたが、彼はそんな輔を疎ましく思っていた。
そんな中迎えた、昭和62年5月6日。
夜、山の神社で美花と待ち合わせた信之と、そんな彼に付いてきた輔は、そこで津波に自分たちの住んでいた場所や知り合いが飲み込まれていく惨状を目の当たりにする。
彼らの他に生き残ったのは、灯台守の老人と、たまたま舟に乗っていた輔の父と、美花の家のバンガローに泊まりにきていたカメラマン・山中だけ。
島での行方不明者の捜索活動が行われる中、さらなる出来事が起き、信之たちはある秘密を抱えた。
それから20年が過ぎ、それぞれの人生を歩んでいた彼ら。
信之は、公務員となり、妻・南海子と娘・椿と普通の家庭を築いていたが、南海子はある男と浮気していた。
そして、輔の前に現れた洋一の存在が、再び彼らを過去へと向かわせることに……
またちょっとこれまでとは違う傾向で、ダークというか、最後まで緊迫感のある作品でした。
この作品に『光』とつけるセンスがすごいですね。
<08/12/21>