黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『泥ぞつもりて』宮木あや子(文藝春秋)

2008-12-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
貞観18年、貞明親王は9歳で即位し、陽成天皇となった。そんな彼にひとめ会って恋をした少女・紀君は、その後念願叶って入内し宣耀殿の女御となったが、貞明は、乳母である紀全子を実母である高子よりも慕い、ことあるごとに彼女の元に足を運び、紀君の元に渡ることはなかった。そして全子の息子で貞明の乳兄弟である源益は、彼に対してある感情を抱いていた。そんなある日、貞明は、全子が他の男と睦み合っているところに遭遇し……『泥ぞつもりて』、
清和天皇(惟仁)の御代。彼の元に召された左大臣藤原良相の娘・多美子は入内し、弘徽殿の女御となった。しかし20歳になっても月のものがない彼女は子供が産めない身体だった為、他の者が入内することを望んでいた。やがて平寛子が登華殿の女御として入内。しかし惟仁は、外で源暄子という女性とも関係を持っており、やがて彼女は惟仁の子を宿す。そんな中、藤原良房の養女・高子は、蔵人・在原業平に心を残していたが…『凍れる涙』、
源益を殺害し譲位した貞明。次の天皇となったのは源定省の父で、仁明天皇の第三子である時康親王だった。即位し、光孝天皇となった彼だったが、3年後に亡くなり、定省が宇多天皇として即位することに。しかし、かつて尊敬していた菅原道真の変わりように失望。一方20年近くに渡り、天皇の摂政を務め、権勢を恣にしてきた基経は、すでに疲れはて、休息を求めていた。そんな中、高子は僧・善祐と関係を持ち、やがてその子を身ごもるが……『東風吹かば』の3編収録。

平安時代……清和天皇から宇多天皇までの4代を舞台とした歴史恋愛モノ。
恵まれているように見えても、それぞれにままならない思いを抱え、思い悩む人々の姿がよく描かれています。

<08/12/11>