黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『儚い羊たちの祝宴』米澤穂信(新潮社)

2008-12-09 | 読了本(小説、エッセイ等)
素封家である丹山家に引き取られ、跡取娘・吹子の元で働くことになった孤児・村里夕日。吹子を敬愛する夕日は、密かに禁じられた書物を共有しながら育っていた。やがて吹子は大学生になり、家を離れて暮らすようになり、寂しさを感じる夕日。
そして吹子が大学1年の夏。彼女が帰省した折に、不行跡から勘当になっていた吹子の兄・宗太が猟銃を持って現れ、丹山家の人々を襲った。吹子と夕日は、力を合わせ彼を追い払い、彼は死んだものとされたが、それからというもの毎年丹山家の人々に奇禍が襲い……『身内に不幸がありまして』、
母ひとり子ひとりで貧しく育った内名あまり。母が死の間際、父である六綱の家に行くようにと言い残したことからを、そこで暮らすことになった内名あまり。そんな彼女に現当主である異母兄・光次は、別館に住む長兄・早太郎の世話と監視を言い渡す。そんな日々の中、館を出られない早太郎から、酢や麻布、卵やラピスラズリなどさまざまな物を買いに行かされるあまりだったが……『北の館の罪人』、
とある御屋敷で長年働いていた屋島守子。しかしその家が傾いたことから暇を出され、貿易商・辰野が所有する山奥の避暑地・八垣内にある別荘・飛鶏館の管理人の職を斡旋される。それからというもの、いつ客が来てももてなせるようにと万善を期していた、彼女の意に反して1年間誰ひとりとして来ない。どうやらその別荘を使っていた奥方が亡くなった為、足が遠のいているらしい。そんなある日、雪山で怪我をした若者を発見した屋島は別荘へと連れ帰る。やがて、彼を探す捜索隊が別荘を訪れるが……『山荘秘聞』、
駿河灘を望む土地、高大寺。その地の分限者である小栗家の一人娘・純香は、15歳の誕生日の折、家の絶対権力者である祖母から、専属の使用人として同い年の玉野五十鈴を与えられた。そんな彼女と主従関係にありつつも、心を通わせていく2人。何とか祖母を言いくるめ、大学生になった純香だったが、ところが、入り婿である父の実家で不祥事が起きたことから、祖母により父は放逐され、純香は五十鈴と引き離され、幽閉同然の身の上になってしまう……『玉野五十鈴の誉れ』、
良家の子女たちが通う大学で、“バベルの会”という読書サークルに所属していた大寺鞠絵は、会費の滞納から会を除名されてしまう。そんな中、成金である父が“厨娘”と呼ばれる、宴料理を専門とする女性料理人を雇った。その料理の出来は素晴らしいものだったが、何故か出される量に相反して、膨大な量の食材が仕入れられていた……『儚い羊たちの晩餐』の5編収録の短編集。

ブラックなテイストの連作短編集。サブタイトルが“The Babel Club Chronicle”……それぞれの作品に、“バベルの会”に所属している人が登場します。
ラストでのひっくりかえしっぷりが見事。

<08/12/09>