黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『不連続の世界』恩田陸(幻冬舎)

2008-08-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
音楽ディレクター・塚崎多聞は、大学時代の先輩である人気放送作家・田代から、彼が貧しい生活を装う為の“70年代ハウス”で眠るといつも見るという、連続した同じ夢の話を聞く。別れ際、また聞かせて下さいといった多聞に、田代は“コモリオトコにでも聞かせてもらうんだな”という謎の言葉を残す。その後出会った少年も同じその名を口にし、彼が見ていた視線の先を見ると、そこには木のてっぺんにしがみついた謎の男がいて……『木守り男』、
聞いたものは、死にたくなるという音楽を歌うという謎の歌手・セイレンの話を聞いた多聞は、真偽を確かめる為、日本オタクなイギリス人・ロバートとともにN市にやってきた。件の歌は『山の音』と題されたもので、その歌が流されたミニFM局にいつの間にか紛れ込んでいたというMDに収録されていたという。その局のDJ・高瀬から、どうやら出所はかつて高校の数学教師だったという土地の名士・神津良祐ではないかという情報を得、彼の元を訪ねた多聞。歌は、5年前に行方不明になった彼の娘・麻子が歌っているようなのだが……『悪魔を憐れむ歌』、
メジャーデビューが決まったインディーズ出身の3人組バンド・ネバーモアを手がけることになった多聞。ミュージッククリップのロケハンを彼らの故郷であるH県で行うことになったのだが、撮影場所であるO市出身の杉原保は、何故かそれを嫌がっている様子。多聞が理由を尋ねると、彼がその町で映画のロケ現場を見ると、人が死ぬのだと聞かされる……『幻影キネマ』、
フランス人作家・べシャールの、エッセイでもあり紀行文でもあり研究書でもあるという著書の翻訳を手がけることになった、翻訳家・楠巴。そこには、彼が日本のT砂丘を訪れた折に“砂丘が消えた”光景を目撃したと記されていた。その謎を知る為に、多聞と共にその地を訪れた巴。砂丘を訪れた後に立ち寄った、写真家Uを記念した美術館で、ミニシアターに入ったはずの若い男が消えたという場面に遭遇した2人は……『砂丘ピクニック』、
友人の黒田、尾上、水島と共に、東京発高松行きの夜行列車で旅をすることになった多聞。そこで怪談話をすることになった多聞は、1年前にフランスに里帰りしたまま音信不通の妻・ジャンヌが、各地を旅行しながら、意図不明な写真を送ってくる謎について語る。そんな中、彼の元に無言電話がかかってきて……『夜明けのガスパール』の5編収録の短編集。

(『月の裏側』に登場した)塚崎多聞が遭遇する、謎の数々を描いたミステリ。
全体的に怪談…というか、都市伝説風なホラーテイスト?
『砂丘~』に登場した巴さんの名前に見覚えがあったものの、どこで見たか思い出せず、思わずあとで確認したり(『中庭の出来事』でしたね/笑)……黒田さんは、綺麗さっぱり忘却の彼方でしたが(笑)。

<08/8/25>