黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ゆくとし くるとし』大沼紀子(マガジンハウス)

2008-08-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
東京で大学生をしているトリコが、年末に実家に帰ると、そこには母とともに見知らぬオカマがこたつでくつろいでいた。
ミカと名乗る彼女(?)は、助産婦をしている母の元で手伝いをしているのだという。あまりの状況に呆然としつつも、ミカの料理の美味さについつい馴染んでしまうトリコ。大学4年生になる彼女だが、何となくダメな生活を送っており、それが本格的にダメな方向に流されつつある現状に悩みつつも、それを母に言い出せずにいた。
そして大晦日。近所の神社が先着100名にくれるという小さな置物“干支さん”(母命名)をもらいにでかけた、トリコとミカは、そこで産気づいた妊婦に出会い、母の元に担ぎ込む……『ゆくとし くるとし』、
僕=大島サムの小学校の入学式の日から、突然言葉をなくした姉・セピア。静かな環境ならば言葉を取り戻すかもしれないという、5番目の父の勧めにより、母・ミーナたちと彼の田舎である岐阜に引っ越してきた僕。そんな僕の心の相談相手は、4番目の父だった“よんちゃん”だ。
雪の降ったある日、誰もいない学校の校庭に出かけた僕は、そこで雪の音を聞いている女の人に出会う……彼女はこの学校の卒業生であるアヤエ。ひとりでパン屋を営む彼女だが、道がわからなくなる病で、糸を手繰りながらでしか出かけられないという。そんな彼女の弟子にしてもらうべく、通う僕。やがて4年生になり……『僕らのパレード』の2編収録。

表題作は第9回坊ちゃん文学賞大賞受賞作品。
どちらもとても素敵なお話でした♪
特に、『僕らの~』は、サムが紺野くんに語る“気持ちの動物”の話とかいろいろ心に響く言葉やエピソードが盛りだくさんでとても良いです(……ただ、若干いろんな要素を盛り込みすぎな感がしなくもないのですが/笑)。
今後の活躍が楽しみな作家さんかも~vv

<08/8/18>