街の染井吉野が散ってしまった頃の午後、慧君はいとこの舞さんから璋子という女性を紹介される。まだ今年のお花見をしていないという璋子と、バーテンダーの九鬼さんらとともに吉野山で花見をすることになった慧君だったが……『桜花変化』、
死んだ者たちはどこへ行くのだろうか。死者を集めておく世界があるとしたら月がふさわしい……そんなことを考えてしまう満月の夜。地上でお月見をするよりも、月に乗ることを想像した慧君に、九鬼さんは赤い月を思わせるカクテルをつくり、それを飲んだ慧君は、広寒宮…いわゆる月宮殿へとやってきて……『広寒宮の一夜』、
前回の月で別れたきり、バーから九鬼さんが消え、酒を飲むことが少なくなった慧君。そんな中、舞さんから九鬼さんに似た人を見た人がいると聞いた慧君は、そのバーを探して、バーMAKIという店にたどり着いた彼は、女性バーテンダーの真希さんに出会う。九鬼さんの行方を尋ねるが……『酔郷探訪』、
バーMAKIをバーテンダーの真希さんごと買い取ろうという思いつきが頭から離れず、バーは買い取ったものの肝心な真希さんは行方不明で、結局そこに住み始めた慧君。そんなある4月の午後。真希さんに教えられて飲んだ“竹葉”という緑色の酒が届いた。そこには“竹葉の酔いが発した頃にお迎えの者を参上させます”という彼女のメッセージがあり……『回廊の鬼』、
台風が次々と接近してくる間、雨が降り続いていた。カウンターの向こうには九鬼さんと真希さん。九鬼さんの作ったブラックレインというカクテルを飲んだ慧君は、自分の姿が、闇が凝縮された不定形な塊のようなものに変わってしまったのだとの中で気づく。そんな彼に2人は……『黒い雨の夜』、
春。真希さんが作った桃の花めいたカクテルを飲んだ慧君。彼女曰く、長い春の日みたいにのたりのたりと効き目が続くという。そんな慧君が歩いていると、春の野に出た。そこで、久実と名乗る美しい女性に出会い……『春水桃花源』、
熱帯夜が続く夏。以前行ったことのある臨湖亭へ、真希さんとともに避暑に出かけることにした慧君。翌日の昼前、一人で散歩に出かけた真希さんが拾ってきたのは、丸みを帯びたひとつの不思議な石。水を滴らせているその石の中から玉を取り出した真希さん。その中には生まれたままの姿の美女がいて……『玉中交歓』の7編収録の連作短編集。
2005年に亡くなった倉橋さんの幻想作品集。
九鬼さんの作る魔酒を飲んだ慧君が、あの世やこの世、幻想世界を行き来する『よもつひらさか往還』の続編です(というか桂子さんシリーズ?)。
倉橋さんご本人も今ではあちらの世界の住人となって、楽しんでいらっしゃるのではないかという気がしますね(笑)。
<08/8/14>
死んだ者たちはどこへ行くのだろうか。死者を集めておく世界があるとしたら月がふさわしい……そんなことを考えてしまう満月の夜。地上でお月見をするよりも、月に乗ることを想像した慧君に、九鬼さんは赤い月を思わせるカクテルをつくり、それを飲んだ慧君は、広寒宮…いわゆる月宮殿へとやってきて……『広寒宮の一夜』、
前回の月で別れたきり、バーから九鬼さんが消え、酒を飲むことが少なくなった慧君。そんな中、舞さんから九鬼さんに似た人を見た人がいると聞いた慧君は、そのバーを探して、バーMAKIという店にたどり着いた彼は、女性バーテンダーの真希さんに出会う。九鬼さんの行方を尋ねるが……『酔郷探訪』、
バーMAKIをバーテンダーの真希さんごと買い取ろうという思いつきが頭から離れず、バーは買い取ったものの肝心な真希さんは行方不明で、結局そこに住み始めた慧君。そんなある4月の午後。真希さんに教えられて飲んだ“竹葉”という緑色の酒が届いた。そこには“竹葉の酔いが発した頃にお迎えの者を参上させます”という彼女のメッセージがあり……『回廊の鬼』、
台風が次々と接近してくる間、雨が降り続いていた。カウンターの向こうには九鬼さんと真希さん。九鬼さんの作ったブラックレインというカクテルを飲んだ慧君は、自分の姿が、闇が凝縮された不定形な塊のようなものに変わってしまったのだとの中で気づく。そんな彼に2人は……『黒い雨の夜』、
春。真希さんが作った桃の花めいたカクテルを飲んだ慧君。彼女曰く、長い春の日みたいにのたりのたりと効き目が続くという。そんな慧君が歩いていると、春の野に出た。そこで、久実と名乗る美しい女性に出会い……『春水桃花源』、
熱帯夜が続く夏。以前行ったことのある臨湖亭へ、真希さんとともに避暑に出かけることにした慧君。翌日の昼前、一人で散歩に出かけた真希さんが拾ってきたのは、丸みを帯びたひとつの不思議な石。水を滴らせているその石の中から玉を取り出した真希さん。その中には生まれたままの姿の美女がいて……『玉中交歓』の7編収録の連作短編集。
2005年に亡くなった倉橋さんの幻想作品集。
九鬼さんの作る魔酒を飲んだ慧君が、あの世やこの世、幻想世界を行き来する『よもつひらさか往還』の続編です(というか桂子さんシリーズ?)。
倉橋さんご本人も今ではあちらの世界の住人となって、楽しんでいらっしゃるのではないかという気がしますね(笑)。
<08/8/14>