黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『草葉の陰で見つけたもの』大田十折(光文社)

2008-08-06 | 読了本(小説、エッセイ等)
貧乏だったことから、オダというホトトギスを殺すのがうまいらしい殿様の屋敷に無謀にも盗みに入った“俺”は、あっさり捕まり、首を刎ねられた。しかし気がつくと生首だけになりさらされている俺は、声も出せないものの、意識ははっきりとしている状態。
人々が侮蔑と嘲笑を浴びせかける中、ひとりだけ俺に向かってくる日もくる日も接客の練習に励む少女がいた。彼女の家は酒場兼小料理屋を営んでおり、人と接するのが苦手な彼女は裏方を手伝っていたが、少しでも父や姉らの助けになるべく、接客の練習をしているのだった。そんな彼女を届かぬ声で密かに応援する俺。
やがてその努力が実り、父から店に出ることを許された彼女だったが……『草葉の陰で見つけたもの』、
16年前に製造された、型の古いロボットである“私”は、立川ヒサシという人物に雇われることに。仕事の内容は、彼の2人の娘……15歳のマユミと10歳のエナの世話をすること。ところがマユミは反抗的な上、父があまり評判の良くない仕事をしていることを揶揄されたことから登校拒否していた。子供たちは次第にロボットの存在を受け入れ、私は不可思議な思いに捕らわれ始めていた日々が過ぎ、やがて契約終了の日が近づいて……『電子、呼ぶ声』の2編収録。

表題作は、第1回小説宝石新人受賞作。装丁に惹かれて手に取ってみました。
舞台設定が両極な2つの中編が収録されています。『電子~』の方は、菅さんのピィシリーズあたりを思い起こさせるような感じ?
どちらの作品も、ちょっと切なさを感じさせつつも、どこか温かな感じが好印象。
まだお若い方なので(このデビュー作を書かれたのが20歳の頃)、これからの活躍が楽しみ♪

<08/8/6>