かつては旅行会社で働き、その豊富な知識量から“歩く百科事典”“電源の要らない検索サイト”と呼ばれていた八駒敬典。今では働く妻を支え、家で専業主夫に専念している。
そんな彼の元に、かつての上司から持ち込まれたプラスチックの箱の中身は、“冬の室内”といった趣の舞台装置と、その右の方で行儀よく椅子に腰かけている少女の人形。しかしそのつま先は粉々に砕けていた。上司は、撮影の為に借りてきて破損したのだが、何とかならないかと相談にやってきたのだ。しかもその後、持ち主は敬典が壊したのだと勘違い、家に乗り込んでくるが……『人形の部屋』、
敬典への、妻と娘からの恒例のクリスマスプレゼントは、2日間の自由な時間。今年は銀座の街へと買い物に。
そこでペリカンの万年筆を買った彼に、声をかけてきたひとりの紳士……“ビスマルク”氏。能登からやって来たという彼は、とある食品会社に勤めているという。ずっと仕えていた先代の社長が半年前に急逝し、26歳になるその息子が後を継いだが、古くからの関係を大切にせず、革新的なその態度に危惧感を抱いていた。そんなある日、ペリカンのペンが欲しいといった若社長に、ビスマルク氏は万年筆を贈ったのだが、若社長はそんなものは頼んでないといい……『外泊1 銀座のビスマルク』、
1週間前に隣に越してきた奥さんは花が嫌いだと、敬典に語った。しかも彼女は敬典の大学時代の知人・伊村朝美を知っているらしい。彼女の言葉の真意を確かめるべく、久しぶりに朝美に問い合わせのメールを送った敬典だったが、彼女から届いた返信に記されていたのは「麝香連理草天竺牡丹 菖蒲 飛燕草鶏頭鬱金香」という謎のメッセージで……『お花当番』、
今年の休暇で、奈良に出かけることにした敬典。
筆と墨を買った彼の様子を見込んで、若者・泉田啓輔が声をかけてきた。この前までレンズ製造会社の営業をしていたという彼は会社を辞め、書家・安井樹峯に入門しようと志しているという。そこで安井に渡された“手本”を書き、持参したのだが、安井は受けとらず、それを切り裂いたという……『外泊2 夢みる人の奈良』、
娘・つばめが、グリーン、三日月、星という言葉を書き残して、家出した。原因はどうやら彼が作ったお子様ランチらしい。その行方を案じる敬典は……『お子様ランチで晩酌を』の5編収録の連作短編集。
前作同様、薀蓄盛りだくさんな作品ですが、思春期のつばめちゃんとの関わり方がちょっとほのぼの(笑)。
<07/11/28>
そんな彼の元に、かつての上司から持ち込まれたプラスチックの箱の中身は、“冬の室内”といった趣の舞台装置と、その右の方で行儀よく椅子に腰かけている少女の人形。しかしそのつま先は粉々に砕けていた。上司は、撮影の為に借りてきて破損したのだが、何とかならないかと相談にやってきたのだ。しかもその後、持ち主は敬典が壊したのだと勘違い、家に乗り込んでくるが……『人形の部屋』、
敬典への、妻と娘からの恒例のクリスマスプレゼントは、2日間の自由な時間。今年は銀座の街へと買い物に。
そこでペリカンの万年筆を買った彼に、声をかけてきたひとりの紳士……“ビスマルク”氏。能登からやって来たという彼は、とある食品会社に勤めているという。ずっと仕えていた先代の社長が半年前に急逝し、26歳になるその息子が後を継いだが、古くからの関係を大切にせず、革新的なその態度に危惧感を抱いていた。そんなある日、ペリカンのペンが欲しいといった若社長に、ビスマルク氏は万年筆を贈ったのだが、若社長はそんなものは頼んでないといい……『外泊1 銀座のビスマルク』、
1週間前に隣に越してきた奥さんは花が嫌いだと、敬典に語った。しかも彼女は敬典の大学時代の知人・伊村朝美を知っているらしい。彼女の言葉の真意を確かめるべく、久しぶりに朝美に問い合わせのメールを送った敬典だったが、彼女から届いた返信に記されていたのは「麝香連理草天竺牡丹 菖蒲 飛燕草鶏頭鬱金香」という謎のメッセージで……『お花当番』、
今年の休暇で、奈良に出かけることにした敬典。
筆と墨を買った彼の様子を見込んで、若者・泉田啓輔が声をかけてきた。この前までレンズ製造会社の営業をしていたという彼は会社を辞め、書家・安井樹峯に入門しようと志しているという。そこで安井に渡された“手本”を書き、持参したのだが、安井は受けとらず、それを切り裂いたという……『外泊2 夢みる人の奈良』、
娘・つばめが、グリーン、三日月、星という言葉を書き残して、家出した。原因はどうやら彼が作ったお子様ランチらしい。その行方を案じる敬典は……『お子様ランチで晩酌を』の5編収録の連作短編集。
前作同様、薀蓄盛りだくさんな作品ですが、思春期のつばめちゃんとの関わり方がちょっとほのぼの(笑)。
<07/11/28>