黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『タルト・タタンの夢』近藤史恵(東京創元社)

2007-11-17 | 読了本(小説、エッセイ等)
下町の片隅にある小さなフレンチ・レストラン、ビストロ<パ・マル>。
無精髭をはやし、長い髪を後ろで束ねた無口なシェフ・三舟忍は、10年以上もフランスの田舎のオーベルジュやレストランを転々としてきたという変わり者。そんな彼の元で働いているのは、料理人の志村洋二、俳句好きなソムリエの金子ゆき、そしてギャルソンの高築智行の4人きり。彼らの店にやってくるお客さんたちの抱える問題を、シェフが解決する連作短編集。

常連の画廊オーナー・西田が連れてきた、婚約者の女性・串本法子。彼女は、“プロメテウス少女歌劇団”という女性だけの小劇団で“北斗なつみ”という芸名で活躍する女優。彼らが来店して2週間後、別の客と再び店を訪れた西田の様子がおかしい。彼女の手料理を食べ過ぎたからだというのだが……『タルト・タタンの夢』、
偏食がひどく、メニューに毎回苦労させられる粕屋が、女性連れで来店。その際出した、手間のかかるロニョン・ド・ヴォーがきっかけで、件の女性…彼の秘書で愛人の桶谷百合子が、彼の妻と戦うことを決めたというのだが……『ロニョン・ド・ヴォーの決意』、
クリスマス。シャンソン歌手をしている志村の妻・麻美が急遽店で歌うことに。終わってから、シェフが出したガレット・デ・ロワをきっかけに、フランス滞在時に起きたフェーブ消失の謎を語り……『ガレット・デ・ロワの秘密』、
以前は妻と一緒に来店した、チーズ好きの脇田がひとりで来店。事情を聞くと、何が原因かはわからないが、彼女が突然実家に戻ってしまったという。心当たりといえば、彼女がフランス土産に買ってきたジャムを人に上げてしまったことくらいだというのだが……『オッソ・イラティをめぐる不和』、
同じ商店街にある甘味屋<はぎのや>の主人・萩野氏が古い友人たちとやってきた。かつて野球をしていたという彼ら。高校3年の時に、2年生が合宿の際、飲酒の上暴れて不祥事を起こした為、最後の試合に出場出来なかったのだが、その2年生が飲んだ酒がどこから出てきたのかわからないという……『理不尽な酔っぱらい』、
甲陽出版の編集者・御木本が、人気エッセイスト・寺門小雪を連れてくるというのだが、彼女のリクエストしたのは“鵞鳥のコンフィのカスレ”。そのエピソードを綴ったエッセイによると、かつてフランスに住んでいた彼女は、その料理が原因で恋人と別れたという……『ぬけがらのカスレ』、
店で出したタルト・オ・ショコラの味の低下を指摘した男性は、有名な高級チョコレート店<ノンブル・プルミエ>のショコラティエ・鶴岡正だった。彼には病の母がいるのだが、妹がいくら頼んでも見舞ってくれないらしく……『割り切れないチョコレート』の7編収録。

ひとつひとつの話は短めであっさりした感じ。
今回は志村さんと奥さんの話がありましたが、他のメンバーがらみのお話も読んでみたいかも♪

<07/11/17>