黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『密室と奇蹟 J・D・カー生誕百周年記念アンソロジー』芦辺拓、桜庭一樹ほか(東京創元社)

2007-02-19 | 読了本(小説、エッセイ等)
1943年、ラジオドラオ化される自作の放送に立ち会う為、BBC放送会館を訪れていたジョン・ディクスン・カー。ところが、重要な役どころを務める女優ルイーズが、その最中に姿を消してしまい……芦辺拓『ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う』、
1900年、パリ。ムーラン・ルージュで踊り子をしている姉アロワイヨを持つ少年アンリ・バンコラン。ある日、踊り子ルリジューズが首なし死体で発見され……桜庭一樹『少年バンコラン! 夜歩く犬』、
主君・浅野内匠頭の仇である吉良上野介を討つべく吉良邸に討ち入った赤穂浪士たち。ところが、追いつめたはずの吉良は炭小屋の中で既に死んでいた。しかもそこは雪の密室状態。大石内蔵助の長男・主税からの手紙で知った母・りくは……田中啓文『忠臣蔵の密室』、
急行列車・青い流星号に乗り込んだギデオン・フェル博士。そこには悪名高いダイヤモンド密輸犯を追って旧知のハドリイ警視が部下とともに乗っていた。しかし、件の男が首なし死体で発見され、彼を殺した犯人は複数の目撃者の前から忽然と姿を消したという……加賀美雅之『鉄路に消えた断頭吏』、
貧しい北方の村で、迫害されつつ苛酷な環境に耐え、生活してきた少年ゴードン・クロス。その唯一の心の支えであった心優しき少女マリー。しかし彼女は無法者ロイスの手によって、悲惨な死を遂げ、ゴードンはその復讐を誓う。数々の苦境を潜り抜け、ついに仇を見つけた彼は……小林泰三『ロイス殺し』、
綾鹿市交通課、通称・D3課の名物婦警3人組…怪奇・超常現象が大好きな佐野由利子警部、現実的な性格の佐倉桜警部補、そして不合理な状況から鮮やかに論理的解決を導き出す、マーチ大佐こと佐々井弥生巡査部長。ある日、一直線のトンネルから、忽然と消え失せる幽霊自動車の謎が持ち込まれ……鳥飼否宇『幽霊トンネルの怪』、
カー・マニアの学生サークルの面々は、その合宿で、生前カーが実際に起きた未解決事件をファイルし、そこに解決編を書き記した『カーの問答詩集』の中に残された一つだけ解決に至っていない事件について、ヒントの言葉から推理を繰り広げる。そんな中、事件が起き……柄刀一『ジョン・D・カーの最終定理』、
10年前、衆人環視の中で起きた雪密室の殺人。その凶器は〈魔女発見人の短剣〉と呼ばれる、実際の魔女狩りに使用された短剣だった。その短剣を代々伝えるゲディングス家の屋敷で行われる降霊会を前に、青年記者ホレスは伯父であるH・M卿を訪ねるが、彼の不安を裏付けるかのように、再び密室で霊媒が殺され……二階堂黎人『亡霊館の殺人』の8編収録のアンソロジー。

カーの生誕100周年記念のアンソロジーです。
本格的パスティーシュあり、笑えるパロディありのラインナップでバランスはよいかも。
田中さんの『忠臣蔵~』は読みながら、何故ここに忠臣蔵?と思っていたのですが、最後であまりの馬鹿馬鹿しさに爆笑してしまいました(笑)。

<07/2/18,19>