Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

Web2.0の正体

2007-11-15 20:30:19 | Thinkings

 Web2.0・・・いわゆるネットバブルが終わって、企業が淘汰され始めてから、こぞって使われ始めた便利な言葉。しかしながら、使っている当人たち以外には(も含めて?)何が2.0なのかさっぱり分からない「バズワード」、つまりハッタリ的な言葉とされているものです。
 この言葉を初めて使ったのはティム・オライリーというコンピューター関連出版会社の社長。彼が、自著の中で語ったのが最初だと言われています。

 で、Web2.0って結局バズワードだったのか、初めて使った人が分かっているなら、その人に聞いてみるのが一番早いんじゃない?という企画が紹介されています。ちなみに聞き手は、2chとニコニコ動画で有名なひろゆき氏。元々Web2.0について否定的な態度をとり続けている彼が、一体どんな形で聞いていくのか注目して見てみました。

 以下の引用はこの記事から。

ひろゆきがティム・オライリーに直接きいた、「Web2.0ってなんだったの?」 CNET

 さて、結局Web2.0は何だったのか、という事を、結論ありきではしょってしまうと、たぶん分からない。で、オライリー氏の言葉を少しずつ引用しつつ、解説を入れていこうと思います。とはいえ、元の記事もすこぶるわかりやすいので、蛇足にしかならないと思いますけれど。

 まず、彼の言うWeb2.0という呼び方は、ものすごく単純な意味だったと言うこと。

 そのキーワードは、彼曰く“Return of the Web”。帰ってきたWebと訳せばいいでしょうか。

ばからしい名前だよ。ウェブの新しいバージョンだと思っている人が多いし、そういう意味で使ったんじゃないのに。この言葉を使ったのは、みんな、ドットコムバブルの後、ウェブが終わったと思っていたからだ。でもウェブは戻ってきた。「Return of the Web」なんだ。

 Webは一度死んで、生まれ変わった。だからWeb2.0だって事ですね。単純にそういう事で名前を付けられたわけで、別にWebが劇的に変わったとかいうポジティブな意味は全くないって事です。わかりやすい例を挙げれば、欧米で某”2世”を名乗るようなものでしょうかね。

 でも、一度死んだものが生まれ変わるには、やはりそれ相応の理由がいります。
 そこででてくるのが価値の転換。別にWeb自体が変わったわけではなくて、ビジネスとか、人々のWebのとらえ方が変わったんだ、っていう考え方です。

 インターネット上ではみんな同じソフトを使ってるんだから。Apacheとかブラウザとか、みんなフリーでしょ。価値が無くなったかというとそうではない。IBMのPCのときは、価値のあるところがハードからソフトに変化したってこと。つまり、インターネットはソフトウェアの価値を何か違うところに持っていこうとしてる。それは何か。それが、Web 2.0なんだ。

 すっごい抽象的な話なんですけれど、それがWeb2.0らしいですよ?まあ、一番インパクトのある部分を引用してきたんで分かりづらいのも仕方ないですけれど・・・
 IBMがDOS/Vを作ってから、PCのハードウェアで「会社ごとの独自仕様」ってのは全くはやらなくなってしまった訳ですよ。そして、Windows、Linuxが出てきて、「どんなハードウェアを買うか」ではなくって、「どのソフトウェアを使うか」に興味が移っていったわけです。それと同様に、フリーのブラウザやメーラーが選び放題で、機能的にもどれも必要十分になった今、「どのソフトウェアを使うか」から「どんなWebサービスを使うか」に世間がシフトした。

私が考えているのは、まず、ユーザーが中心となって巨大データベースを作り、多くの人が使えば使うほどそのデータベースは良くなっていってるってこと。

 つまり、世間様がWebサービスに目を向けた時、ハードウェアからソフトウェアに価値が移ったように、次はどこに価値が移るかを考えたとき、次に来るのはデータの蓄積と運用であろう言っている訳です。

 Googleは、その膨大な検索結果から、巨大なナレッジデータベースを構築し、商売に使っている。Amazonも、カタログにユーザーがコメントを付けることで、ただの商品を並べているだけの他社のカタログに比べてずっと有用な情報をユーザーに提供している。これらは、データベースを日々動的に、不特定多数が手を入れられる(入れている)Webありきのサービスで、そこがまさにWeb2.0だという言うわけです。
 そういう意味では、Wikipediaなんかも間違いなくそう。Linuxとかのオープンソース「コミュニティ」もそれに含まれるかもしれません。

 結局のところ、Web2.0は、Webの「概念」に名前を付けたに過ぎません。
 何でもかんでもWebに載せていくだけという「静的な世代」から、外部からの知識を蓄えて、うまいこと使っていく「動的な世代」に入ったみたい。でもWebの技術とか仕組みとか、そういう根本的なところは何も変わっていないし、サービスのあり方も今までの延長が多くて、変わったと思うのはデータベースの使い方とかいうすっごい抽象的なことしか言えないから、とりあえずWeb2.0って名前を付けたって寸法です。

 要するに、Web2.0って安易に言っているサービスとか企業に対しては、まず身構えておいた方がいいですよ?ってことらしい。そんな抽象的な事をウリにするよりも、もっと具体的なサービスの内容を前面に出して勝負している会社の方が、ずっと信用できそうだって事です。

 そう考えると、やっぱりWeb2.0っていうのは「まずバズワードありき」だって思っておいた方がいいのかも知れませんね。