Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

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再生医療に新たな道

2007-11-22 20:54:12 | Science

 再生医療という言葉をご存じでしょうか?簡単に説明するならば、体の失われた組織を新たに作り直して、元の状態に戻す医療技術のことです。

 今までに施術されている例としては、あごの骨を失った人に対して、人工的な骨の”骨組み”を埋め込み、骨を骨組みに合わせて再生させ、顔の形を戻す等と言うことが行われています。

 しかしながら、もっと複雑な器官、心臓とか腎臓、肝臓などの内臓や目などは、さすがに作り出すことは出来ません。

 そこで熱い注目を集めていたのが「ES細胞」と呼ばれるものです。

 ES細胞は、初期段階の受精卵から取り出される細胞です。ご存じの通り、受精卵は最初たった一つの細胞でしかありませんが、徐々に細胞分裂していく過程で、手とか足、心臓、脳と言った、様々な器官を作っていきます。つまり、最初のたった一つの細胞が、人間を作るあらゆる器官に「化ける」と言うこと。
 ですから、この細胞をうまくコントロールしてやれば、移植用の様々な臓器を「生産」することができると言うわけです。

 ですが、この万能に見えるES細胞にも様々な問題がありました。

 ES細胞の原料が受精卵、つまり、将来的にヒトになるであろうものの可能性を奪ってを使って作られるという倫理的な問題。そして、ES細胞で「作った臓器」といえど、移植される側からすれば、それは「他人の臓器」と一緒な訳で、必ず拒絶反応が出ると言うことです。

 では、それらの問題をクリアできた「万能細胞」が出来たとしたら?

ヒトの皮膚から「万能細胞」 日米の研究者が別々に CNN

日本と米国の研究者がそれぞれ別々に、ヒトの皮膚から胚性幹細胞(ES細胞)と同等の全能性を持つ「万能細胞」をつくり出すことに成功したと発表した。

 すでに生きているヒトの皮膚細胞から、と言うことは、まず受精卵を入手しなくても利用が出来ますし、何より、患者の皮膚から新たな臓器を作り出せることで、DNAレベルで同じ、つまり拒否反応のでない代替臓器を作ることが出来るわけです。

 この画期的な研究が大成するならば、現時点では他人からの移植しか直る手だてが無く、ドナーをひたすら待つだけという状況が一変しますし、臓器売買の闇ルートも壊滅に追い込むことが出来るかも知れません。本当にたくさんのヒトの命を救い、安心を与える研究だと思います。

 こういう研究こそ、国を挙げてバックアップして欲しいものです。それこそ、特殊法人を10や20つぶしてでもですね。



追記:
 国からの支援策が発表されましたね。よかった、まだこの国は大丈夫かも知れない。
 今後の展開に期待しましょう。

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