Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

Second Lifeで騒ぐのはもう終わり

2007-11-24 21:22:16 | Thinkings

 そろそろみんな目が覚めてきたのだと思いますけれど、Second Lifeの報道が徐々に少なくなってきました。かつてはこぞって「新たなビジネススペースの誕生だ」と報道され、大企業が続々と参入を決めたことで、大きなムーブメントが起きていると”思われた”ものです。

 実際には全くそんなことはなく、企業ブースは常に閑散としており、日本のアクティブユーザー数は相変わらず3万人止まりです。

 報道機関も「ネタにならない」事が分かってきたのか、このような記事も散見されるようになりました。

なぜ「ニコ動」は盛り上がり、「Second Life」は過疎化するのか ITmedia

 「Second Lifeは、描画が3Dになり、見た目上は進化しているように見える。だが、その進化は本当に、ユーザーが求めているものだろうか。見た目にだまされず、見えないもの――時間に着目すれば、なぜSecond Lifeがバッシングされ、ニコニコ動画が受け入れられたか分かってくるだろう」

 この記事では、ニコニコ動画の共有する時間軸と、Second Lifeの時間軸は違うモノ・・・具体的には、前者はいつ何時でも、「動画のなかで現実の時間軸を超えて空気を共有できること」そして、後者は「同時期にアクセスしていなければ、時間軸を共有できないこと」から結論を出しています。

 対して、Secound Lifeを養護している人ももちろんいます。

Second Lifeは本当に「閑散として」いるのか。---ネガ報道の裏側と「時間の問題」 CNET BLOG IT's Big Bang! -- ITビジネスの宇宙的観察誌

Second Lifeについてはこの時間軸を「疑似同期できない」点が、人気のない要因とされているのだが、それは一面的な見方ではないだろうか。というのは、 Second Lifeでは「3次元空間の共有」という重要な特徴があり、それは「時間軸のマネージメントに優れた」とされた先の2つのサービスでは、絶対に体験することのできない機能であるからである。つまり、これは時間と空間のどちらが大切かというような議論に近いものであり、であれば答は「どちらも大切であり」「どちらも捨てることはできない」という回答にしかならない。

 とはいえこのエントリは、あくまで、時間軸だけで語っていいの?という前の記事への反論で、

ここでやっぱりSecond Lifeだと言い張るつもりもない

とも言っておられます。

 個人的にはどちらの言い分も分かるのだけれど、やっぱりユニークユーザーが3万人というのはマーケティング対象としては非常に問題があると思いますし、同時にSimに入れる人数=イベントに参加できる人数=80人程度というのは、テーマパーク的なものとしても人数が少なすぎないか?とも思います。

早速移動して、デモの参加者にも超満員のコンサート会場をお見せすることができ、「これは凄い世界だ」という感嘆の声が会場から上がっていた。

いくらイベント会場が超満員に見えても、せいぜい80人程度ですよ?これはかなり「プレミアム」なイベントじゃないでしょうか。

 最大の問題は、Second Lifeを”ビジネスの場”として過剰に報道したマスコミにあるのでは?無理にマーケティングに使うのではなく、コミュニティ・サービスという形ならば画期的でおもしろいサービスだと思いますけれどね。新しいサービスを、ユーザーに根付く前にマスコミと企業が食い荒らした典型でしょう。あれだけ報道を繰り返したにもかかわらずアクティブユーザーが大して増えていないことからも、今後、日本では静かにフェードアウトしていくことが予想されます。

 SonyがPS3でHomeという新しいメタバースを売り出そうとしていますけれど・・・変に商業主義に走るとSecond Lifeの二の舞になるような気がする。報道ラッシュとか大企業続々参入とかいうニュースが流れないといいですけれどね。