Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

20年後の語り草

2006-08-12 09:18:38 | Thinkings
 私の住んでいるところで、生まれてこの方一度も起きたことのない出来事が起こりました。

 渇水です。

 連日の猛暑で水瓶が底をつき・・・という訳ではなく、連日の猛暑で水道の使用水量が飛躍的に増え、給水能力が追いつかなくなったという事らしいです。
 と言うわけで、昨晩は徹夜で復旧のお手伝いに行ってきました。

 渇水の影響は、合併前の旧市部全域にお呼びはしたのですけれど、とりあえず家庭での水使用にはそこまで影響は出ていませんでした。裏で職員はバタバタしていたわけですが。
 しかし、管路の末端部ではどうしても影響が出てしまいます。
 昨日は東西の2カ所で水圧低下を起こし、大事を取って給水車が出動する事態に。中には水がほとんど出ないところもあり、ポリタンクで水を配ったり、配水池に給水車で水を補給したりと、さながら災害の様相を呈してきました。

 普段「当たり前」のある水道ですが、いったんそれが崩れてしまうと、本当に不便になってしまう。夕方5時頃からじゃんじゃん鳴り響いたという苦情電話に思いました。「どう補償するんだ!」と言い放った輩もいたと聞きますが・・・それはなんか違うような気がしますけれど。

 何にせよ、このむかつくくらい良い天気が、そろそろぐずぐずの雨模様になってくれないものかな、と本気で思っている次第です。

ならば、日本は永遠に屈してはならない

2006-08-10 20:52:44 | Thinkings
 あまり、こういう政治問題を扱うのは好きではないのですが、ちょっと目に余る内容でしたので取り上げます。

 と言うのは、前中国国家主席、江沢民の論説にこのような文面が発見されたと言うからです。

「歴史問題、永遠に言い続けよ」江沢民氏、会議で指示 Yomiuri Online

中国の江沢民・前国家主席(前共産党総書記)が在任中の1998年8月、在外大使ら外交当局者を一堂に集めた会議の席上、「日本に対しては歴史問題を永遠に言い続けなければならない」と指示し、事実上、歴史問題を対日外交圧力の重要カードと位置付けていたことが、中国で10日発売された「江沢民文選」の記述で明らかになった。

 中国は胡錦濤政権に移行した後も一貫して歴史問題を武器に対日圧力をかけ続けており、江氏の指針が現在も継承されているとすれば、歴史問題をめぐる中国の対日姿勢には今後も大きな変化が期待できないことになりそうだ。


 永遠に、歴史問題を武器に圧力をかけると言うことは、「靖国参拝をやめても中国が圧力の手をゆるめることはない」ということ。つまり、靖国は目先の材料の一つであり、それが解決しても、また新たな武器を、ご丁寧にも60年前から発掘し、外交カードに仕立てると言うことです。

 状況が変わらないというならば、何故中国に妥協して、靖国批判を巻き起こす必要があるのですか?
 自分たちは公然と反日教育をやっている国に対して、教科書問題で何故配慮をする必要があるのですか?

 そんな中、これを狙ったわけではないでしょうが、小泉首相がなんともタイミング良くコメントを出しました。

「マスコミは目を覚ませ」 首相、靖国参拝報道を批判 (共同通信)

 小泉純一郎首相は10日朝、自身の靖国神社参拝をめぐる報道機関の論調について「メディアは公約を守らないと批判する。自分たちの意見に(公約の内容が)反対だと、守らなくてもいいのではないかと批判する」と指摘、その上で「日本のマスコミもちょっと目を覚まさないと(いけない)」と不快感を表明した。

 首相は2001年の自民党総裁選で8月15日の終戦記念日に靖国参拝すると明言したが、これまでは見送っている。

 首相はさらに「賛否両論があるのに、いつも首相を批判すればいい(のか)」と強調。「よくわたしを批判するテレビの評論家とコメンテーターに意見を聴いてみたい。首相を批判すれば格好良く見えるのだろうが、少しは冷静に目を覚ましてもらわないと」と重ねて指摘した。


 その批評家やコメンテーターは、今回の「永遠に言い続ける」という主張に対し、一体どんな反応を見せるのでしょうかね。

 中国が永遠に言い続けるというのなら、日本は永遠に屈してはならない。一度屈してしまったら、ますます要求はエスカレートしてしまうことは明白です。そして、残念ながら、日本は土下座外交で何度も屈してしまっています。ならば、中国、韓国に対する不信感が盛り上がっている今から、中国の要求を突っぱね続けなければいけない。

 そうでなかったら、日本は永遠に敗戦国になってしまうことでしょう。例え、その自覚がなかったとしても。

クリック型広告サービス成熟の証拠

2006-08-09 20:39:42 | Weblog
 例えば、googleで何かしら検索をしたとすると、多くの場合、それに関連した広告が画面の隅っこの方に表示されます。広告を出している企業は、その広告がクリックされたら、掲載しているgoogleに広告料を支払うことになります。
 この広告システムのことを、「ペイパークリック(Pay/Click)型広告システム」といい、現在のWeb広告のメインストリームとなっています。

 しかしながら、このシステムは「クリックした分だけ課金」という形式を取っているため、例え売り上げにつながらないクリックでも、支払いが膨らんでしまうと言う一面も持っています。一般的な新聞広告やテレビCMの様に、最初の見積もりどおりという訳にはいかないのです。
 つまり、広告を出している企業を疎ましく思っている者が、集中的にクリックを繰り返すことにより、企業の懐にダメージを与えることができると言うことになります。

 それを調査した第三者、つまりgoogleの様な広告掲載者でも、広告主でもない調査会社の調査によると、そのような「敵対的クリック」は、全体の35%にのぼる・・・と発表しています。

 ところが、ペイパークリック広告運営の最大手であるGoogleは、その調査について反論を発表しました。

「第三者企業のクリック詐欺レポートは誇張されている」--グーグルが反論 CNET Japan

  Googleは、同社の収益の柱であるペイパークリック型広告システム上で行われているクリック詐欺について、第三者企業が提示した詐欺的クリック数の推計は誇張されているとし、反論を開始した。

 調査会社が正しいのか、それともgoogleが正しいのか、そんなことは些細なことなんです。重要なことは、ペイパークリック広告システムが、このような議論が生まれるまで成熟したと言うことです。
 この事は、ペイパークリックというシステムが順調にシェアを伸ばしていることを如実に表していますし、テレビや新聞など既存メディアに、広告媒体としてWebが並んだと言うことを示しているものです。

 今後もWebでの広告市場は伸びていくでしょうし、今回の様な議論も手を変え品を変え、交わされていくことでしょう。しかしながら、それはWebの広告媒体やメディアとしての「健全な」成長の表れだと言えるのです。

 ところで、ペイパークリックの”次”はどんな広告システムがWeb上に現れるのでしょうか。テレビや雑誌のような単方向のメディアと違い、Webは双方向。可能性はまだきっと、あるはずです。

ありそうで無かった「コーヒーバッグ」

2006-08-08 22:17:38 | Technology
 ティーバッグは、皆さん一度は使われたことがあると思います。と言うよりも、紅茶の茶葉はあまり一般的ではないですので、家庭で紅茶を飲むときは、大方ティーバッグを使うはずです。
 ティーバッグは、本式の入れ方と同じように、実際の紅茶の茶葉を使っているため、きちんとした手順を守れば、相当においしい紅茶を入れることができます。

 では珈琲はどうでしょうか。
 珈琲をまじめに入れようとすると、豆をひいてドリップして・・・と存外に手間がかかります。もっと手軽に入れる方法だとインスタントコーヒーとなり、「粉末を溶かす」という、全く別物の方法になってしまいます。

 もっと簡単に、ドリップコーヒーを入れる方法・・・
 一つの答えがドリップオン方式のもの。容器を開くと、すぐドリップできるよう、一杯分ずつ、ドリッパーごと個包装されている物です。しかしながら、この方式だと、捨てるときに豆がらが散らばってしまったり、結局上からゆっくり注ぎ込むという手間が残されてしまいます。

 そこで、ちょっと冴えたやり方をUCCが開発したようです。

UCC上島珈琲、ティーバッグで本格コーヒー  フジサンケイ ビジネスアイ

 業界初のティーバッグタイプのコーヒーが売り出される。UCC上島珈琲(神戸市中央区)が開発し、お湯に浸すだけで香りやコクのある本格的なコーヒーが抽出できる。「ディップイン」の商品名で9月4日に発売する。

 考えてみれば、ティーバッグタイプのコーヒーって見たことがありません。ティーバッグと同じ感覚でコーヒーが入れられるのなら、確かに簡単、便利かもしれません。何より、ドリッパーごと個包装するよりもずっと省資源だし経済的のような気がします。
 ただ、

レギュラーコーヒーにインスタントコーヒーを約15%配合し、独自開発の三角型のコーヒーバッグを使用することで、短時間で簡単においしいコーヒーを抽出することを可能にした。

というインスタントコーヒーとのブレンドという性質上、ティーバッグの様に、「最悪3杯分抽出」という力業はできなさそうですね。 

無線LANがやってきた

2006-08-07 01:02:43 | Dialy
 無線LANがようやく我が家にも導入されました。昨日の、有線ルータが2つ余っているというのはこのためです。

 事の発端は、私の父が、「自分の部屋でもインターネットがやりたい」と言ったことからでした。
 現在のうちのインターネット環境は離れに集中しており、父の部屋は道路を一本挟んだ建物の中にあるのです。当初はケーブルテレビの配線が有線で行われていたので、その経路にはわせる形で増設しようと思っていたのですが、「やっぱ、壁に穴を開けたくない」などとのたまったため、中止に。結局、安価で工事不要な無線LANの採用と相成りました。

 しかし、不安も無いわけではありませんでした。離れは鉄骨ですし、距離もそれなり。正直つながるかどうか・・・と言ったところです。
 ですが、その心配も杞憂に終わりました。
 MIMOと言う新技術を採用した製品だった為か、あっさり使えました。MIMO恐るべし。

 現在我が家でのPC構成において、モバイルとか、移動しながらなどのニーズは全くありません。あくまで離れから飛ばすだけ。
 しかしある物は使わなければ。何に使うかは全く未定ですけれど。

旅行カバンにもセキュリティ

2006-08-06 20:51:46 | Thinkings
 この間海外旅行に行ってきました。チップ社会に辟易とはしたものの、大変おもしろく過ごせて良かったのですが、旅行中常に心配していた事がありました。

 それは、荷物についてです。と言いますのも、その国ではスリが多いという話を聞いていましたし、航空会社に預ける荷物にしても、いろいろと心配だったからです。
 幸いにもスリの被害には遭いませんでしたが、空港で荷物を取るときに、私のバッグは非常にポピュラーな物でしたので、本当に自分の荷物か取ってみないと分からなかったり、コンベヤーに乗せられて出てきたのが最後近くでしたので、すでに間違えて取られてしまったのではないかと内心冷や冷やしていました。

 そんな訳で、次買うときはもうちょっと個性的な物を買おうかと思うのですけれど、最近は海外旅行もずいぶんとお手軽になったようで、旅行カバンについてニュースにも取り上げられているくらい、需要が盛り上がっているようですね。

旅行者急増時代のスーツケース事情 特殊鍵タイプ主流 Sankei Web

  今夏の国内・海外旅行者の大幅増に伴い、旅行かばんの売れ行きが好調だ。特に海外旅行でお世話になるのがスーツケース。今年は軽さと丈夫さを程よく両立させた新素材や、米国などの厳しい荷物検査に対応した特殊な鍵を標準装備したタイプが主流になっている。色も以前のように地味ではなく、預けた荷物を受け取るときに見分けのつきやすい明るいものに人気が集まっている。

 その、「軽くて、丈夫で、カラフル」を実現した新素材はポリカーボネイド。
 ポリカーボネイドは今更新素材か?なんて疑問もありますけれど、軽くて丈夫で、デザインも柔軟にできるため、旅行カバンにも続々採用と言うことらしいです。確かに、空港では預かった客の荷物を投げたりして積み込む事が多々あるという話を聞きますと、ちょっと布製ではふあんかなあ、等と思います。
 その点ポリカーボネイドなら、その当たりの心配は無用。嘘だと思うならCD-Rメディアを無理矢理たたき割ってご覧なさい。存外に丈夫ですから。
 もっとも、細かい傷は盛大に付きそうですけれど。

 そしてもう一点。特殊鍵について。
 私が今使っているのは、ちゃちな南京錠がついているもので、その気になれば簡単に破壊できます。そして、アメリカなどテロの脅威にさらされているところでは、実際に鍵を破壊して調べたりもするらしい・・・
 壊されるのはイヤだけど、鍵はつけたい。その要求に応えるのが、

米国連邦航空省運輸保安局(TSA)が公認する「TSAロック」

なるもの。なんでも、空港では特殊な器具で鍵を壊すことなく開けることができるという特殊な鍵だそうです。これならいざ調べられても、鍵が壊されていてがっかりなんて事にはならずに済みそうです。
 ただ、その「特殊な器具」が、裏で出回らないことを祈るばかりです。

 カバン一つとっても日進月歩なんですねえ。とりあえず「次の旅行が決まったら」新しいカバンを物色しましょうかねえ。


 ところで・・・今現在有線LANルータが二つも余っています。誰か欲しい人いませんかね?

光の見えないワンセグ

2006-08-05 22:33:01 | Technology
 正直な話をすると、私もワンセグ携帯に変えようと思ったことはあります。でも実物を見てやめました。だって、でかくて重かったんですもの。
 私は携帯をポケットに入れて持ち歩きます。ポケットに入らなかったり、入っても邪魔になってもらうと困るわけですよ。もちろん、それは私だけではなく、他の人たちも考えていたことだったから、こんな記事が出てくるわけですよ。

ワンセグ、浸透にハードル Sankei.web

 携帯電話などでテレビの地上デジタル放送が受信できる「ワンセグ」(ワンセグメント放送)が始まってから4カ月。NTTドコモなど携帯電話会社は対応機種を投入してきたが、今のところ、「普及」というには程遠い状況だ。「価格の高さ」が障害になってきたほか、「かさばる」ことや、現行法上では独自番組が放送できないなど、浸透にはいくつかのハードルが残っている。

 ワンセグで一番有名な機種と言えば、間違いなくvodafoneのAQUOS携帯でしょう。画面が横長になるヒンジのギミックは、なかなかのインパクト。しかし、分厚く、重い。
 他にもauの携帯も店頭で見てきましたけれど、AQUOS携帯に輪をかけてでかいんです。これでは、ちょっと持ち歩きたくないなあと言うのが正直な感想。今持っている携帯が小さいせいもあると思うんですけれどね。

 このようなワンセグ携帯にまつわる、「高い」「大きい」「重い」の三重苦は、記事曰く「時代に逆行している」ということ。価格は置いておいても、「より小さく」「より軽く」は正当進化でしょう。もっとも、小さすぎてもメールが打ちにくい等、デメリットはありますけれど。

 「地上波テレビ放送と同じ番組しか見られない、現行のワンセグ放送自体に魅力が乏しい」という意見もあるようですが、アナログに比べて圧倒的とも言える画質で、どこでもテレビ放送が見えるのはやっぱり魅力だと思うんですけれどね。おとといの亀田の試合中に出かけなければならなかった時には、本当に「欲しい」と思いましたよ。

 ワンセグが今後どう広がっていくか。やはり鍵は携帯でしょう。
 各社とも打開案を練っている様ですけれど、ダウンサイジングと価格、この二つが現行のメイン機種並みにならないと、なかなか普及は難しいのでは?やっぱり携帯の本文は、「通話とメール」テレビはおまけですからね。

AOLが支払うツケ

2006-08-04 19:02:20 | PC
 America On Lineというと、あまりピンとこないかもしれません。しかし、AOLならほとんどのPCを使っている人が、デスクトップで見たことがあったり、タイムワーナーとの絡みで聞いたことがあるのではないでしょうか。

 そのAOLの業績が低下の一途をたどっています。原因としてあげられるのはブロードバンドへの対応の遅れです。
 日本では、ダイヤルアップの使用者が、ADSLやCATV、光の影響で、すっかり隅に追いやられてしまった感がありますが、アメリカではまだまだメインストリームの一角を形成しているようです。
 とはいえ、あくまで「一角」。アメリカにおいても、インターネット回線のブロードバンドへのシフトが進んでおり、ダイヤルアップに注力するあまりに、ブロードバンドへの対応が後手に回ってしまったAOLは、ユーザーの大幅な減少という窮地に立たされています。

 AOLは倒れたままなのか。
 状況を打開するためにAOLが採った戦略は、広告収入へのシフトと無料サービスの拡充という”お決まり”のものでした。

AOL、電子メールやIMサービスを無償で提供へ CNET Japan

 AOLを傘下に持つTime Warnerは米国時間8月2日、オンライン広告の売り上げを伸ばすために、高速インターネット利用者に電子メールなどの同社ウェブサービスを無料で提供する予定であることを発表した。

-中略-

 AOLの転換は9月初めに完了する見込みである。無料で提供されるサービスには電子メール、インスタントメッセージング、無制限の着信通話が可能でセキュリティ機能を備えた市内電話サービスが含まれる。AOLは、ダイヤルアップインターネット接続を提供し続けるが、同サービスを積極的に販売し続けるつもりはないと述べている。


 Yahoo!やGoogleを追いかける形での最後初として、AOLに課せられたのはそれらを超える無料サービスでした。
 結果としてAOLは、続けざまに次の一手も打つことになります。

米AOL、5Gバイトの無料オンラインストレージを提供 ITmedia News

 米AOLは8月3日、5Gバイトのオンラインストレージを無償提供すると発表した。9月初めにスタートの予定。

 Xdrive Serviceの技術を採用したもので、Webに接続できるPC、PDAからアクセスでき、写真、ドキュメント、音楽、ビデオなどさまざまなファイルの保存に利用できる。

 自動バックアップ、ファイルおよびフォルダのパーミッション設定、メール添付書類の自動アップロードも可能。アップロード、ダウンロードのいずれにも料金はかからない。


 先のメールやIMなどと、XDriveを併せることで、ほぼ.Macと同じようなサービスを無料で提供することになります。
  ユーザーにしてみると、5Gというほぼ無制限に使え、写真等の制限の無いオンラインストレージは大変魅力的です。今までGmailやYahoo!メールをストレージ代わりに使っていたユーザーがずいぶん流れるかもしれません。

 このAOLの新サービスは、同様のISP及びポータルサイト競合他社にとっても脅威ですが、AOL自身に対しても、多大な負荷を課すことになることは明白です。
 最大のセールスポイントであるXDriveは、月額10ドル弱で提供していたサービスをすべて広告収入で補うことになり、さらに無料化によってユーザーが爆発的に増える事が予想されるからです。

 以前、Blog市場が拡大し続けているとき、Blogの負荷が思った以上にサーバーに負担をかけ、さらに無料であるために、ふくらみ続ける管理費の補填が難しいという記事を書いたことがあります。
 今回のAOLのサービスは、一度にやりとりされる情報量がBlogの比ではなく、また管理するユーザースペースが膨大なことから、サーバーの規模も肥大化せざるを得ません。ある程度広告収入のめどが付くまでは、大変苦しい運営が予想されます。

 これ以上の顧客離れを防ぐため、ポータルとしての失地回復のため、AOLが支払わなければならないツケは、消費者にとっては魅力的でも、AOLにはずいぶんと大きなものになりそうです。しかしながら、これを乗り越えることができなければ、AOLは過去のISP、ポータルとして、表舞台から姿を消していくことになるでしょう。

音楽と「出会う」新しい方法

2006-08-03 23:38:27 | Weblog
 私は割と音楽を聴きます。デスクトップのiTunesに入っている楽曲は3,000を超えていて、ジャンルも様々。ポップスにパンク、メロコア、ジャズピアノにボサノヴァ、クラシック、映画のサントラなど、あまり選り好みとかは無く、シャッフル若しくはその時の気分で適当に聞くことが多いです。

 しかしながら、私が新しく音楽を仕入れる時に得る情報は、ずいぶんと限られています。
 まずラジオで流れていた曲。たまたま入った店の有線で聞いた曲。テレビ番組で使われたBGM。友達に勧められたアーティスト。アマゾンやiTunesMusicStoreでのランキング。好きなアーティストの新譜。そして、レコードショップでのジャケ買い・・・これだけ聞くと多いように思えますけれど、それらがすべて購入に至るかと言いますと、そうでもありません。

 ラジオや有線、テレビは、そもそも曲名がわからないか、聞いても覚えていないことが多いですし、アマゾンやiTunes、ジャケ買いは全く知らないアーティストのCDを買うのには抵抗があります。
 となると、結局は既存のジャンルやすでに知っているアーティストとなってしまい、全く新しい出会いとなると、なかなか機会が限られてしまいます。

 AmazonやiTunesでも、曲を探す場合、まず曲名を知っているかアーティストを知っていることが前提となることが多いですので、全く知らないジャンル、アーティストを開拓するには自ずと限界が出てくるところです。

 このように感じている人は案外多いのかもしれません。既存のサービスでは難しい、新しい音楽と「出会う」場について、新たな提案を掲げたサービスが紹介されていました。
音楽と人の“出会い系” 「monstar.fm」

 「monstar.fm」を運営するベンチャー企業、モンスター・ラボ(東京・小金井市)は「色」と「キーワード」を媒介に、インディーズの楽曲と人とのマッチングを試みる。楽曲のダウンロード販売は、MP3形式でDRMフリー。価格はリスナーが決める。「多様な音楽を多様な人に届け、自由に聞いてほしい」――サービスからそんな思いがにじむ。
「ニッチな市場でも、必ず自分の音楽を求める人はいる」
「私が求める音楽はメジャーなものとは少しずれている」
 この二つの符号がぴったり合わさっていたときに、出会えないのは双方にとって不幸なことです。
 しかし、現在の「マスコミ主導」である音楽との出会いでは、悲しいかな、よほどの幸運が味方しない限り、両者が出会うことは無いでしょう。インディーズは元々露出が少ないし、CDでの流通量もかぎられているからです。

 しかし、monstar.fmでの「色」と「キーワード」を頼りに探していく出会いの場ならば、少なくともアーティストの知名度やプロモーションの金額に左右されずに、純粋に音楽の中身で、必要な人に必要な音楽を届けられるのではないか・・・そんな予感がするサービスです。

 これらのキーワードや色の登録は、リスナーが実際に楽曲を試聴して登録するもので、このあたりはAmazonのコメントとにている部分もあるけれど、それを検索対象にしてしまったところは実にWeb的ではないでしょうか。
 また、色を登録できるというのも、私はものすごく魅力的なことだと思います。
 音楽を言葉で表現しようとすると、どうしても抽象的にならざるを得ない。つまり難しいんです。でも、同じ抽象的な表現でも、”色”なら簡潔かつわかりやすい。何より、登録するのも簡単です。
 色は、確かに他人とのイメージの相違を招きやすいかもしれませんが、微妙な感覚を言葉で伝えきれない時、また感覚をより直感的に共有したいときに便利な表現です。キーワードと組み合わせて使うことで、検索の大きな武器になるのでは、と将来の可能性を感じさせるものだと思います。

 monstar.fmの取り組みは、「いかにして欲しい人に音楽を届けるか」を、需要と供給の双方から真剣に考えた、という努力がにじみ出ている用に思います。
 今後、音楽がどのようにリスナーに供給されていくか、オンライン販売が拡大の一途をたどっている昨今、メジャーも含めて未来がどうなっていくか予測が難しい状況です。
 そんななかmonstar.fmの取り組みが広がっていくにしろ、沈んでしまうにしろ、新たな音楽販売の試金石の一つとして、次の世代の糧になることを祈っています。

これは.Macからの警鐘ではないのか

2006-08-03 01:05:02 | Weblog
 AppleはOS9から移行する際、それまでのカーネルをばっさり捨て、UNIXベースのOS Xを採用しました。そして、OS Xと「Macの再生」のアピールのため、OS9までのクラシック環境ではなく、OS Xネイティブで動く新しいソフトウェア群を構築しました。
 そのソフトウェア群は、個人ユースに必要十分な機能+αを備え、ネットワーク時代の新たなPCの使い方の提案、OS Xへの移行の推進、そして新たな顧客の取り込みを狙うため、革新的な機能と、スタイリッシュなインターフェイス、そしてリーズナブルな価格を高い次元で融合させるという命題を持っていました。
 そのために用意されたソリューションが、iLifeと.Macです。

 iLifeは単体で使っても大変有用なソフトウェア群でしたが、.Macとの組み合わせは実に使い勝手がよく、iLifeのデータを.Macで提供されるiDriveオンラインストレージに自動でバックアップを取るなど、ネットワークとのシームレスな連携を実現したものでした。

 私たちWindowsユーザーも、ローカルのデータと、オンライン上のストアを同じ感覚で扱えるiTunes等のアプリケーションによって、「ローカルとオンラインとのシームレスなインターフェイス」が如何に便利であるか体験しています。
 iLifeと.Macは、正に次世代のPCの使い方を体験できる環境の一つといえるでしょう。

 しかし、この便利さが如何に危うい物であるか、Appleとその顧客は身をもって実感していることでしょう。

サービス停止に見舞われた「.Mac」ユーザー、アップルの新スローガンに怒りあらわ CNET Japan

 ここ4日間にわたり、.Macのパブリッシング機能「iWeb」とこれに関連するファイル共有機能「iDisk」が停止し、ユーザーに影響を及ぼしている。Appleのサイトに設置された掲示板に寄せられたユーザーの意見を見ると、サービス停止が長期化していることばかりでなく、.Macテクニカルサポートチームの対応の遅れにも不満が噴出しているようだ。

 オンラインストレージであるiDiskがビジネスにおいてもパーソナルにおいても最も有効な機能であることは疑う余地がなく、今回の不具合は致命的といえます。さらにサポート及び復旧の遅延が、ユーザーの怒りに拍車をかけているようです。

 ちなみに.Macの不具合について、アップルの日本語及び英語ページでは報告、および言及はありませんでした。不具合報告の最終日付は7月25日となっていましたので、現在もまだ調査中であるようですね。

 今回の件は、シェアにして僅か5%の世界での出来事です。しかしながら、今後のPCにおけるネットワーク依存度はますます高くなるでしょう。また、次世代コンシューマーゲームプラットフォーム、PS3、XBOX360、Wiiはいずれもネットワーク機能を持っており、 決してMacだけで終わる話ではないのです。
 今後、ネットワークを「前提」とするサービスやアプリケーションはどんどん増えてくるでしょう。しかし、今までの「売ったら終わり」という販売形態ではなく、「売って管理」という形になったときの難しさを、今回の.Macは、オンラインゲーム以外での大規模な前例の一つとして、今後のサービスに向かって警鐘を鳴らしているのです。是非アップル側には今回の事件の詳細を明らかにし、今後の参考としていただきたいところです。

 ところで、怒りを買ったAppleの新しいスローガンとは何だったかと言いますと、

「It just works(とにかく使える)」

ですって。皮肉なことに、この5日間で、Apple自らが”だいなし”にしてしまいましたね。