Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

「Green Wi-Fi」は途上国だけの技術ではない

2006-08-18 19:05:48 | Technology
 以前からたびたび100ドルPCプロジェクトの紹介をしています。
 途上国の貧しい子供達に、1台ずつPCを与えるというプロジェクトで、名前のとおり100ドルでのPCの提供を目指しており、現在実現まであと一歩の所まで来ています。

 この100ドルPCの仕様の中に、ワイヤレスネットワークがあります。現在のPC利用において、インターネットに接続できることはほぼ必須とも言える機能であり、100ドルPCの使用目的の中でも重きを置かれている部分です。

 しかしながら、大きな問題として、途上国の使用が想定されている地域の多くには回線が通っていないと言うことがあげられます。有線で回線を布設するには大きなコストがかかりますし、無線で整備したとしても、電力が安定して供給できないという問題があります。

 これらの問題を解決すべく立ち上げられたのが「Green Wi-Fi」プロジェクトです。

デジタルデバイド解消に挑む「Green Wi-Fi」プロジェクト CNet Japan

 Bruce BaikieとMarc Pomerleauの両氏は、ワイヤレスネットワークに地球に優しい技術を組み合わせようとしている。

 2人が運営する「Green Wi-Fi」は、太陽電池を使って安価にWi-Fiネットワークを構築し、途上国の学校にインターネットアクセスを提供することを目指す新しい非営利団体だ。Green Wi-Fiは多くの親が共感する願い--「人生には会社での出世競争より多くのものがある」ということを子どもたちに伝えたいという願いから生まれた。

-中略-

 Green Wi-Fiのネットワークは技術的にはとてもシンプルだ。各ノードはバッテリ駆動型のルータとバッテリを充電するための太陽電池パネルで構成されている。ノードは屋根に設置され、無線LAN規格「802.11b/g」を使ってネットワークのWi-Fi信号をグリッド経由で伝える。


 ノードというのは、誤解を恐れず言えばアクセスポイントのこと。200ドル程度の自家発電機能付きアクセスポイントを数珠繋ぎに設置していくことで、有線よりも遙かに安く、インターネット回線を提供する事がプロジェクトの目的です。
 無線ですので回線布設のコストが大幅に抑えられますし、自家発電機能を有すことで電気供給の問題をクリアでき、かつ不安定な電源問題もクリアできます。これなら山間部でも離島でも、設置スペースさえあれば回線を提供することが出来るでしょう。

 つまりは、日本においてまだ回線が整備されていない区域においても、それこそ数万円/kmで整備できる可能性があると言うことです。

 たとえば山間部の村や離島において、ダイヤルアップは提供できてもブロードバンド事業はコストの問題から敬遠されてきました。ところが、この技術を使うならば、少なくともダイヤルアップよりは速い速度で、低コストにインターネット環境を整備することができる事でしょう。

 このように、先進国においてもインターネット難民を救う可能性があるこのプロジェクト。100ドルPCにもあったように、先進国には寄付を含んだ値段で提供することが、双方にとっての利益になるのではないでしょうか。