Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

開かずの踏切がなくなるという希望的観測

2006-08-24 18:47:50 | Weblog
 私の住んでいる町に通っていた鉄道が、二年ほど前廃線になってしまいました。そのころには、私は車に乗るようになっていましたので、単線各駅停車の、自転車と同じくらいの区間速度しか出ていなかったこの電車を使うことは全くありませんでした。
 しかしながら、途中に高校があったこともあり、市民の足として長らく親しまれていた列車がなくなったことは、インフラ的には間違いなく大きな後退でした。

 しかしながら、廃線になったことによって、改善された部分もあります。道路におけるボトルネックの解消です。
 その路線は、市を南北にばっさりと分けており、主要道路はほぼ、その線路を横切ることになっていました。私の住んでいる市は、周辺地域の交通の要的なところがあり、その主要道路は朝夕は常に混雑していました。その一要因としてあげられていたのが踏切です。これが廃止されることによって、市の道路事情は大幅に改善されることになってのです。

 私の地元では、せいぜい「1時間中5~10分程度」の閉鎖時間だった踏切。混雑中でなければ、閉まっていたらアンラッキーくらいの感覚でしたが、全国に目を向けてみると、「1時間中40分が閉鎖」なんていう、冗談みたいな開かずの踏切がそこかしこにあるようです。
 私も名古屋の神宮前駅脇の踏切で、そのような現状を見ていましたけど、とにかくひっきりなしに電車がくるので、大概は通行不可。通れる時間も1分あるかな?という有様でした。まだそこは歩道橋が付いていましたので、影響が出るのは車だけでしたけど、それすらないところでは、遮断機を無理矢理くぐって横断し、はねられるケースも多々報告されています。
 次はいつ開くかわからない、電車の姿が見えないのに遮断機はけたたましく鳴っている、遠回りはしたくないし・・・くぐりたくなる気持ちもわからなくは無いですが、きわめて危険です。

 そのような現状を鑑み、国土交通省が重い腰を上げたようです。

踏切1820カ所で対策急務 5年以内の解消要求 東京新聞

 国土交通省は二十二日、ピーク時に遮断機が一時間のうち四十分以上下りている「開かずの踏切」や、歩道が狭く危険な踏切など全国二千六百カ所を対象とした実態調査で、優先的に対策をとる必要があるのが岩手、宮崎、沖縄県を除く四十四都道府県、千八百二十カ所に上ったとする結果を発表した。

-中略-

 千八百二十カ所のうち、開かずの踏切が五百八十七カ所。交通量に対して遮断機が下りている時間が長く、自動車や歩行者が滞留しやすい「ボトルネック踏切」が千八十八カ所。歩道が狭く、歩行者が歩きにくい踏切が五百三十四カ所だった。複数の問題を抱える踏切もあった。


 全国には36,000箇所踏切があると記事には書いてありますが、そのうちの「問題があるかもしれない」と目星をつけた2,600箇所について、調査を実施したと言うことらしいですけれど・・・問題ありとされた踏切が1,820箇所、44都道府県に所在と言うことは、ほとんどの地域が対象になっているということです。具体的に言えば、100箇所に5箇所は危険だったり、なかなか通れなかったりするところがあると言うこと。先に問題になっていた「シンドラーエレベーター」くらいの遭遇率ではないでしょうか。

 これらの踏切の対策として、立体交差への切り替え工事、歩道の拡充、歩道橋の新設などで今後5年間で80箇所と、これまでの倍のペースで改修を進めるとしています。
 5年で80件だと、概算で年間16件ですか。現在報告されている問題のある交差点が1,820箇所ですから・・・ざっと114年かかる計算になりますね。こういう事を、昔の人は「焼け石に水」と言ってことわざに残しています。

 報道番組でもたまに特集が組まれる開かずの踏切。交通のボトルネックとして以前からずっと問題になってきていますが、今回の元記事からでも「行政だけの対応では限界がある」という事が容易に見て取れます。

 私たちは100年も待っていられません。

 鉄道各社は、国土交通省から問題のリストを入手し、積極的な対応をするべきでしょう。鉄道も陸上交通インフラの一つ。特権的に道路を遮断できるのですから、他の陸上交通手段に対して、その分の配慮をしなくてはならないと思いますけれどね。