【読書】トッカン -特別国税徴収官-

トッカン -特別国税徴収官-　　作：高殿 円

脱税する輩から、税金をふんだくる！
そんな具合かしらと読んでみたわけでありますが、
だいたいそういう感じだけども、意外とウエットというか
軽率で、軽薄なコメディではなかったのが意外でありました
真相の部分は意外と重い

世の中で最も多くの人に迷惑がかかる犯罪だかなんだかに、
脱税が当てはまるという話はなるほどなぁと思いつつ
公務員として指導にまわるというお話で、
さまざまな人がいるわなぁと思いつつ
もっとマルサの女的なものかと思いきや
もうちょっと下ったというか、大きな法人相手ではなく
中小企業や、個人相手に悪戦苦闘というのが
コミカルでもあり、悲哀もありと楽しめたのであります

もっとも、税金関係のお話は添え物といってはなんだけども
物語をまわすツールでしかなく、
根本的な部分は、主人公の成長物語でありまして、
社会人も数年経ってきて、人間的に成長するそのきっかけや、
出来事なんかも盛り込まれていて
やるせない気分を味わったりしつつも、よかったねと思える
いい塩梅のオチに満足するのでありました

本質の部分である、自分では気づかない、
あるいは気づこうとしなかった事実に目を向けるというのは、
読んでいても、重たいものを心に抱えるようで、
でもそれを克服していくストーリーというのは、
どの手でやられても、楽しいというか痛快なもので
かくありたいなどと、思ったりしながら
にやにや読むのでありました
まぁ、主人公がうらわかい女性なので、
そもそも共感できないのだけどもさ

そんなことを感じつつ、エンタメ小説だと思っていたら
ちゃんとした人情を描いていた内容に
なんとも満足したのでありましたとさ