CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

八日目の蝉

2010-06-21 23:00:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
八日目の蝉 作:角田 光代

NHKの同名ドラマがあまりも面白かったので、
ついつい原作にも手を出してしまったという次第です
これがまた、原作のほうもとてもステキでありました

第一印象というでもないですが、どうにも、女が、男が、
なんていうことをうずうずやる小説のように思えてしまいますが、
実際は、確かにそういう側面もあるんですが、
ずっとずっと読みやすくて、ドラマで感じたのと同じ、
ただ、親子の愛情というのを描いたそれでありました

原作は二部構成になっておりまして、
一部がきわこの話、二部が薫の話で
二部の終わりで、わずかだけすれ違うという感じ
このあたりは、ドラマのほうが分厚く描かれてたなと
感じたりしながら、いつだかの時と同じように
ドラマと見比べての読みになってしまいました

ドラマは本当によくできていたと
いつかの別作品と同じことを言ってしまいますが、
凄く綺麗にまとめられていて、そして
全く過不足なく、原作と同じ物語で、
それでいてドラマとしても完成していたと
読んでみて改めて感動した次第
テーマというのか、愛情というのがとても綺麗というか
ステキで、切なすぎて、ほろほろしてしまう感じで、
おっさんが真面目に読んではいけないと思ったのであります

原作版は、ドラマ版と違って
二部構成がしっかりしているおかげもあって
薫の気持ちというか、薫側も描いているので
より深く、愛情というものに接していく感じが
ステキに彫り込まれていたように思います
なんというか、この事件のやるかたなさも
全てを静かに見つめて、どうしようもないが
そこにあったのは、とてもよいことだったような、
そんな錯覚とも、なんともつかないものが
見事に描き出されていたように思えたのであります
本当に秀逸きわまりない物語

エンゼルさんのところが、ドラマよりも
少しばかり俗世的になっておったのは興味深い
ところでありましたが、それはそれとして
どこを抜いても成り立たないとまではいわないが、
深みがなくなってしまうような
全体がからみあったストーリーというべきか、
全ての出来事が、テーマを描いていたのが
ステキすぎた、見事な小説でありました

人情物というジャンルとは違うと思いましたが、
本当に、面白い小説だと脱帽したのであります


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