CLASS3103 三十三組

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【読書】挑み続ける人生

2018-07-21 21:00:53 | 読書感想文とか読み物レビウー
挑み続ける人生  著:加藤 一二三

ひふみん先生の本であります
引退してから出版されたもののようで
かなり新しいという印象でありました
まだ四段だった頃の藤井さんについても言及していて
将棋の方面でも興味深いけども、
最近テレビに出たりと、新しいことに挑戦している先生の感想が
非常に読み応えというか、面白く読めて
楽しい一冊でありました

生涯の部分や、将棋の部分については、
既刊の内容とさほどに変わりはないものの
やっぱり、大山先生と羽生先生に対する思いいれが尋常ではない様子で、
その天才っぷりについて、方向性が違うとしながらも
強かった理由に言及していて面白いのでありました
本の通りかわかりませんが、加藤先生は
また違うタイプであったようで、純粋でもないが、
腕一本に恐ろしく自信と力を持った人なんだと改めて思い知るのであります
相手が嫌がる指し方ではなく、最善手というのが
加藤先生の答えのようで、なかなか考えさせられる
大山先生は、嫌がる手を一に考えたというのもよくよくわかるし
このあたり、羽生先生もそうじゃないかと
思えてならんのでありました

将棋部分については、ひふみん伝説の有名どころである
神谷八段とのかみ合わない会話だったりが紹介されていて
安定して楽しめるのでありますけども、
先生がこれだと思った1手がいくつかピックアップされていて、
最後のひとつが、最高齢勝利の手だったのが印象的でありました
相がかりで棒銀とはしない手というのが
新しい加藤流であったというのがいいところであります

また、人間味あふれるところもいっぱいで、
あまり知らない人に、藤井四段に負けた人といわれるのは
事実だが、嫌だなという正直なところも書かれていて
そりゃそうだよなぁと思いつつも、
やっぱりこの人も負けたということは嫌なんだなと
当たり前のことながら、将棋棋士としての自負というか
強い心を見たように感じたのであります

羽生先生を語るときに、羽生さんは何度も駒を取って清算するという将棋が好きと
そんなことが書かれていて、それが強さの秘密だよなと
思い知ったりなのであります
細々と指している身分としては、何度も清算があると
もういいわいと疲れてしまうんだが、それが楽しいというのが
大きく違うところなんだと思い知るのでありました
加藤先生がどうなのかは語られていないので残念であるが
長いことは苦にしないようなので、多分同じなんだろう

キリスト教への言及も細かにたくさんあって
伝道師としても素晴らしいなと感心しながら、
詰め将棋については、あれはあれでよいものだが、
本将棋とはまったく別物で、いつまでもやるものではないと
持論をぶっているのが衝撃的でありました
実際そうなんだろうが、必要以上に取り組むものではないと
バッサリなのが意外に感じたのでありました
ゲームと勝負は違うということを端的にあらわしたことのように思えて
意義深い一冊でありました

まだまだ、自身の名局集を作る予定をしていたり、
本当に挑戦を続けようという気力が充実していると思われるところでありました
とはいえ、ご高齢なのは確かなので、長く楽しく、
続けていただけると励みになるなと読みながら思ったのでありました
過去本よりも随分読みやすくて面白い一冊でありました


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