CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

冥土めぐり

2012-09-12 21:42:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
冥土めぐり  作:鹿島田真希

先日たまたま見かけた、文芸春秋かなんかに掲載されてたのを
ひっそりと読んでみました
ああ、そうだ、この暗い感じ、芥川賞だな
そういう感想であります

なんだかんだと、短編なので読んでしまうというそれですが、
今回は単行本じゃなくて雑誌掲載のそれで読んだせいか
なんというかな、より短く感じたのであります
内容は、薄暗い人生をたどるというか、
なんだろうな、さして目ざとい不幸でもないんだが、
やっぱりベクトルとしては大きい不幸に身をやっして
その不幸は、外的要因というべきか、
身内というそれこれが起因するもので、
また、その不幸は滑稽であり、退廃的でありというか
なんとも、後ろ暗い気分になるバックボーンがありました

そこを、打破というのか、逃げるようでもあった
そんな感じで結婚という手段によって何かれできた、
そう思ったり、思わなかったり不安を抱えたまま、
その打破の道具として使った夫とともに、
そのうしろぐらい家族との思い出の地をまわる、めぐる
そんな旅行記のようでもあり、
珍しく、未来がほのかに明るいまでいかない、
暗闇がそれ以上暗くならないような気分で終わるといった
なかなか、読後もよい作品だったと思うのでありました

文学賞をとるような文章の凄いところだよなと
改めて感じ入ったんですが、まぁ、言葉選びが洒脱というか、
うまいの一言であります
読んでいてまるでひっかかるところがない、
ひっかかってくるのは、その精緻に描写された後ろ暗さ、
そこが感情をひっかきまわすようでもあるんだが、
決して筆というか、文章自体は荒れない、
まるで淡々なのであります
それでも、その淡々がひっそりこっそり、深みをえぐっていき
やがて、開いた闇のそれを見せるといったような
そんな展開までもいかず、
平行線というでもなし、平衡を保っているように見せかけて
思ったよりも、ずっとずっと暗いところにつれていかれる
だけど、それも、なんだかぼやけているというか
漠然としているといった感じで
本当、疲労を覚えるような文章とは対極にあって、
ものすごく脳が働くといった感じでステキなのでありました

描写がありありと浮かんで、
感情がまざまざと伝わって、
ざわめきを己の中に作るような
そういう短編小説でありまして、
暇つぶしに読んで、なんか、物思いにふけりたいなんて
そういう秋の夜長にベストではなかろうか
そんな感想を書いておくのでありました

本当に読んだのかよという感じですが、
ちゃんと読みました
凄いホテルが落ちぶれてしまうあたりとか、
10万円という単語が連続されたというあたりの効果とか
そのあたりはちゃんと読んだ、つもりだ
そんな誰に宛てるでもないメモを記しつつ
読んだと語るのであります


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