CLASS3103 三十三組

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【読書】熱風団地

2024-06-24 21:05:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
熱風団地  作:大沢在昌

日本を舞台にしているけども、東南アジアの怪しげな路地裏を舞台にしたような
サスペンス、いや、エンタメ小説でありました
中国にほど近い、架空の小民族国家を扱う内容で、
モチーフがいくつかあって混淆されているのかわからんが、
実際にそういうところがあったら、こんな感じになるんだろうなという
国家間の紛争と、個人の解決の相容れないところなんかが
とてもわかりやすく描かれていて、楽しく読み終えた
まあ、あまりにも架空のそれすぎるので、
あくまでそんな話になるかもなという、国際情勢への批判でもないが、
大義と事なかれ主義が描かれていて、主人公の静かな生活も含めて
面白いエンタメになってて、ずっとひきつけられて読むことになった

相棒が元女子プロレスラーというのも面白くて、
だからといって、その相棒が大暴れするかといえば、そうでもなく、
意外と小回りが利く、知恵を働かせる展開ばかりなのがよくて、
腕力をうまく使っている感じ、格闘のプロの矜持みたいなものが、
実にうまく、色々なことをセーブしているような展開になっているのも
ある種のリアリティが感じられて楽しい
ご都合でそうなったというでもないし、実際そのあたりだろうなというのが
どの事象をとっても、ことごとくとられているのが
変なひっかかりを覚えないゆえんなのかと思ったりする

架空の小国家について、
いかにもそこに詳しい教授というのもいそうだし、
その珍しい言語についての会話、それをしゃべられるということが、
どの程度安心や、親近感をわかせるかというのも
別に説明的でなく、なんとなく、それくらいになりそうだなと
一つも確定要素がないけど、すんなり信じられてしまうようになってるのもよいのが
なんとも楽しいのであった

舞台設定が、日本国内にある、アジア人の集合住宅になっていて、
まるで東南アジアみたいな夜市が展開されていたり、
自治区の独特の慣習だとか、そういった異文化が
まさにごたまぜになってて、東南アジアというひとくくりにしたあり得ない国家的なものが
見事に形成されているのも魅力的だったわけだけど
そんなところがこのご時世あったならば、Youtuberやらの
格好の餌食になるだろうなと、夢のないことも思ってしまうんだけど
有って欲しいというでもないけど、遠くなりし昭和や平成のころには
ドヤ街が実はこんな感じだったんじゃないかと思ったりすると
これもまた楽しかったのである

主人公がおとなしいけどよく切れるというのも気持ちがいいし、
相棒も腕力という武器があるけど、その行使がほとんどないというのが
物語を荒唐無稽なアクションものにしないのがよかったと
満足して読み終えたのでありました


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