CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】三体

2019-12-23 21:26:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
三体  作:劉慈欣

話題作といっていいんだろう、
SF業界と呼ぶものが存在すれば、
そこで超絶話題になっているという触れ込みで、
私は認識している本だったわけだが、
中国で書かれたSF小説でありました

三体という、まったく未知の地球外知的生命体についてのお話

とまとめてしまうには、あまりにもあれこれありすぎて
なかなか読むのに難儀をした一冊でありました
最初、天安門事件から始まり、知識階層の弾圧とそこから逃れる生き方、
その時に生まれた様々な悲しみからの連鎖とか
どこまで本当がまぎれこんでいるかわからない
政府弾圧の姿が生々しいというか、恐ろしい密度で描かれていて
SFというか、なんか、凄いもの見たという感じでありました

そこから、苦難の状況が進み、だんだんとSF味が増してくるのが
また非常に面白いのだけども、SFといいつつも、
いかにも中国っぽいというか、想像しやすい、兄貴分という存在感の男が、
まるで推理小説のたたき上げ刑事のような役回りで
きりきり物語を動かしていって、凄く面白いのでありました
SFを間違いなく読んでいるんだが、
どこか任侠とまではいわないが、中国舞台の物語だと感じる
この配役とムードがとても楽しかったのでありました
名前が、史強というあたりが、どっか、史進あたりを想起させるというか、
水滸伝っぽいかっこよさみたいなのをこのキャラクタに見たりして
まぁ、そんな立ち回りで大活躍というほどでもないんだが
SF的な超絶知識に対して、知恵と勇気というか、
実地からの反逆といった様子で戦う姿がかっこよくてよかったのでありました

最終的にというか、どうも、この本だけで終わらず
さらに続きがあるんだそうで、それにも衝撃を受けたのだけども
東洋哲学を交えつつのSF感覚というのが
かなり面白くて、もっとSF素養が高いとさらに楽しめたんじゃないかと
思ったり感じたりしつつ、時間はかかったが
満足だという感想を抱いた次第でありました