CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】死にがいを求めて生きているの

2019-12-03 21:05:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
死にがいを求めて生きているの  作:浅井 リョウ

相変わらず、誰の心にもありそうな、
身に覚えがありそうな事柄を抉り出した
ステキな小説でありました
途中で、なんかSF?とか思ったりして、
正直、その部分はよくわからんなと思っていたんだが
最後まで読んで、様々な作家による大きな物語の一部だと知って
なるほどなと思った次第、面白かったのでよいが、
ほかのも読まなくてはならないじゃないか

さて、相変わらず、自分の気持ちというか、
自己顕示欲をもてあました若者を書かせると当代随一だという筆力で、
クラスで目立つ存在だけども、よく考えてみるとうざい奴というのが
とても克明に描かれていて嘆息を見舞った
そうそう、そういう人いるし、自分にもそういう部分が多々あったから
痛いほどよくわかるわ、
タイトルの通りだったのかはわからないけども、
何か、甲斐のようなものを求めている以上、
それを安易に手に入れるため対立をあおるというのが
ある種、多くの人間に備わったそれこれなのかもと
不思議と納得できるところが山ほどあったのである

特に、女性で、そういう傾向があるという話が
物凄く深くというか、なるほど、そういうもんかと
足の引っ張り合いとまでは言わないけど、
誰かのせいで、なんか全体の雰囲気が悪くなるというか、
大きな諍いが起こるようになるというのは、
ある種天才的な能力だよなとも思ってしまう

そんな不思議な、あるいは、不快な男の生き様が、
小学校、中学校、高校、大学と進むにつれて
次第に、周りが成長することで許容の仕方が違ってくる
勘違いしている奴というのを
どのように扱うか、それがこなれてきて、
そこに気付いた自分は、それでも変えることができない
だから、より先鋭化していくしかないという
このもてあました感じが、最高に響いた小説でありました
こういうの凄いわかるわ、恐ろしい、おぞましい
自分がそうであったと、声を荒げてしまいたくなるくらいわかる

そんなお話で、もっと煮詰まった恐ろしいことになるかと思いきや、
最終的には、冒頭の通り、大きなプロジェクト話の一環ということもあってか、
なんとなし、ふわっと着地してしまっていて、
正直、その要素なく、いつもの作者の小説として読みたかったな、
もっと、酷いではないが、克明に描かれたそれこれを読みたかったと
嫌なものを見たい気持ちをくすぐられるところが
やや、おとなしい感じながら
楽しく読み終えたのでありました

読書に何を求めているんだ