CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】うつ病九段

2018-11-20 21:09:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
うつ病九段  著:先崎 学

先崎先生が、うつ病にかかり、それがやがて回復してきたと思しき頃に書いた
貴重な手記であります、将棋のこともあるけど、
それ以上にうつ病というものが、どれほど大変なものか
それがありあり伝わったようで、大変勉強になった
いい一冊を読んだと思うのでありました

ある日突然、朝起き上がれなくなる、
そして死ぬということについて、引き寄せられるようになる
この発症した頃の様子をこの本とは別のブログか何かで見て、
結構衝撃を受けたのでありますが、
内容として一番恐ろしかったのが、
あの先崎九段が七手詰めの詰め将棋を解けなくなっていたということでありました
ただ、これをもってして、脳の病気であるということを
はっきりと自覚できているのがまた凄いところで、
このあと、少しずつ回復していく様を
後輩たちとの対局で手ごたえを覚えていくというのがステキでありました
ただ、この弱くなるという恐怖は、
へぼ将棋指しの自分ですら覚えるというのに
プロとなったら、どれほどだったんだろうかと
物凄く衝撃を受けたのでありました

しかし、さすがは天才先崎というべきか、
取り戻してみると、だんだんと強さも戻ってくる
しかし体力が著しく衰えているというところやらが、
様々な難題となってくるというのもなるほどと思うところ
これを読んで、うつ病大変だというのと、将棋指しも大変だというののほかに
年齢を重ねて、体力が落ちるということが
どれほど大変なことかというのがよくわかって、
そちらもひしひし感じるところがあったのであります
最近、腹が出てきたとか嘆いていたが
根本的に体力が落ちてきてんじゃねぇか
仕事できないの、それじゃないの
なんて思ったりもするんだが
そういうことすらも、できなくなるほど衰えるというか
病気になるというのは恐ろしいことだと
しみじみ考えさせられたのでありました

お兄さんが精神科医というところが
大変恵まれた環境であったと思うし、
鈴木八段が相当に世話をされたらしいというのもわかって
なんというか、とてもいいことだと惚れ惚れしたのだが、
あまり詳しくないからわからんが、
羽生、森内、佐藤(康)という同期について語る口調が、
佐藤だけ優しげで、あと二人は添え物みたいな感じなのが
いつもそうなのか、実は仲悪いのか
判別つかなかったのだけども
気になってしまったのでありました

将棋棋士としての先崎九段の文章を始めて読んだけども
とりわけ、名文が多いというか、読みやすいと聞いていたのは
まさにと思えたので、もう少しほかの本も読んでみたいと思いつつ
まずは回復をおめでたいと喜ぶのでありました