「ゆれる」「ディア・ドクター」「夢売るふたり」の西川美和監督が、第153回直木賞候補作
にもなった自著をもとにオリジナル脚本化し、自身の監督により映画化した作品です。
交通事故で妻が他界したものの悲しみを表せない小説家が、同じ事故で命を落とした
妻の親友の遺族との交流を深める様子を描いた内容です。主演に「おくりびと」などの
本木雅弘を迎え、共演は深津絵里とミュージシャン兼俳優の竹原ピストル、黒木華、池
松壮亮などを配しています。繊細で鋭い心理描写に定評のある西川監督が、最近では
珍しいくらいの9ヶ月をかけて撮影したとのことと、私的に好きな題材でもあることから期
待して見ました。
最初から結論じみたことを書いてしまいますが、構成の細やかさに欠けているし、動機
付けも弱く演出にキメの細やかさが見られず、独り善がりに終わっています。演技陣も
力が入っている割には冴えないし、黒木華なんてなんのための出演か判らないくらい。
それに反して子供たちの上手さが目立ったのは皮肉な話です。残念作。