映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

映画 「悪童日記」

2014年10月14日 | 日記

  

     第2次世界大戦下、ハンガリーの小さな町へ疎開した双子の兄弟が、時に残
     酷な手段を講じても生き抜いていく姿を描いて、1986年に刊行されて世界に
     衝撃を与えたハンガリー生れの亡命作家アゴタ・クリストフの同名ベストセラー
     を、クリストフの母国ハンガリーでヤノーシュ・サース監督により映画化された
     ものです。

     第2次世界大戦末期。双子の兄弟が、親元を離れ祖母が暮らす農園へ疎開し
     てきます。
     二人は村人たちから魔女と呼ばれる超意地悪な祖母に重労働を強いられ、碌
     な食事も与えられませんが、あらゆる方法で肉体的・精神的鍛錬を積み重ね
     て行きます。

     やがて戦争が終わり、双子に親切にしてくれた外国人将校が村を去り、入れ
     替わって戦勝国が進駐してきたものの平和はおぼつかない状況が続き、隣家
     の女の子、迎えにきた母は無残な死を、そして祖母は病死。そこに現れた父
     は地雷だらけの国境を越えようとしますが・・・。

     この作品がデビュー作となるアンドラーシュ&ラースロー・ジェーマントが双子
     の役を鮮烈に演じ、祖母役を「タクシデルミア ある剥製師の遺言」のピロシュ
     カ・モルナール、外国人将校には「ある愛の風景」のウルリッヒ・トムセンらベテ
     ラン勢が脇を固めています。

     今まで何人もの監督が映画化を計画しながら実現しなかったそうで、なるほど
     と思うくらい重たい内容ですが、最後までどのように展開するのか考えながら
     緊張して見続けました。画面外の状況を想像させる巧みな演出と映像にも感
     心しきりです。

     原作を読まれていないと少々判り辛い挿話もありますし、当時の情勢を知らな
     い人は、父親がなぜ国境を越えようとするのかなども判らないかも知れません
     ので、原作を読まなくとも理解出来るようにの親切が必要だったと思います。
     また原作の痩せた祖母は巨体になっているとかは映画の方がピタリです。

     私は質的にも満足していますし、好きな映画の範疇ですが、これとて好き嫌い
     はあると思います。
     最近は邦画・洋画とも質の低下した作品が多く、段々映画館に足が遠のく傾向
     ですが、「バルフィ!人生に唄えば」「柘榴坂の仇討」「蜩ノ記」「悪童日記」と続
     きますと『やっぱり映画っていいなー』の気持ちになっている私です。

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大映宣伝部・番外編の番外 (35) 二代目 中村鴈治郎さん +

2014年10月13日 | 日記

   

  

     

     大映が製作した文芸ものには必ずと言っても良いほど出演し、ユニークな演
     技を見せてくれたのが中村鴈治郎さんです。
     記憶に残っている作品は「大阪物語」「炎上」「鍵」「浮草」「ぼんち」「好色一代
     男」「雁の寺」「破戒」「女系家族」「越前竹人形」などでしょうか、大映で撮った
     作品は18本ですが、彼の一癖ある老人役は絶品でした。

     私は撮影所で何回かお会いしたことがあるくらいで、深いお付き合いこそあり
     ませんが、鴈治郎さんの愛娘が玉緒さんであり、その旦那が勝ちゃんですから、
     私的には一方的に近い間柄という感覚がありました。

     明治35年(1902)年の鴈治郎さんは、昭和を代表する歌舞伎役者の一人で、立
     役、女形、敵役、老役と、幅広い芸域を誇った方です。
     昭和27年に演じた、近松門左衛門の「曽根崎心中」は生涯の当たり役といわ
     れましたが、その頃になると関西歌舞伎が凋落、歌舞伎の興行方針を巡って
     松竹とのゴタゴタもあって長男の二代目中村扇雀(現・坂田藤十郎)とともに松
     竹を離脱したのです。

     その後は扇雀さんとともに映画やテレビに仕事場を移し、映画は大映を中心
     に活躍されました。
     また途中から映画に並行して東京での歌舞伎に出演され、昭和42年(1967)に
     は人間国宝となり、その他に紫綬褒章など多くの顕彰歴があります。
     先に勝・玉緒夫妻のことを書きましたが、お兄さんが二代目林又一郎、妹の
     たみさんは長谷川一夫先生の奥さんです。

     ご本人は実に庶民的で気さくな方で、パチンコや競馬が大好きだったし、人
     間国宝になった時に「国宝なったら競馬したらアカンのか」と本気で心配した
     ことは、今でも語り草になっています。
     亡くなったのは昭和58年4月13日で正四位勲二等瑞宝章が追贈されました。

 
 


     <追伸> 
     このブログで今年の3月10日に「三木裕子さん」のことを書きましたが、本
     日、三木裕子さんの娘さんからお便りをいただきました。
     ご本人の了解を取っていませんが、ご紹介したいと思います。お許しくださ
     いね。遅ればせながら、お母様のご冥福をお祈り申し上げます。

     (いただいたお便り)
     はじめまして三木裕子の娘です。時々覗かせて頂いております。
     母の持っていた思い出の品には無かった写真や、初めて聞く母との思い出
     話など、いまでも女優三木裕子、として記憶してくださっている方がいて下さ
     るのだと思うと、とても嬉しく、新鮮な気持ちで読ませて頂いております。
 
     ほんの数年の間だけ女優のお仕事をし、結婚を機に芸能界とはスッパリ縁
     を切り、三人の娘を生み育て、普通の主婦として生活していました。その後
     波乱万丈な人生でしたが、数年前に亡くなりました。

     生きているうちに知ってたら、見せてあげたかったなととても残念です。
     いつか、もし機会がありましたら私の知らない母の女優時代のお話、聞かせ
     ていただける事が出来たら、そんな嬉しい事はありません。これからも楽しみ
     にしております。突然失礼致しました。

      
         ↑ 三木裕子さん(長崎にて)



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映画 「アバウト・タイム 愛おしい時間について」

2014年10月11日 | 日記

   

     もともとは脚本家として「ブリジット・ジョーンズ」などを書き、「ラブ・アクチュア
     リー」で監督デビューを果たしたリチャード・カーティスです。
     タイムトラベルを繰り返す青年が本当の愛や幸せとは何かに気づく姿を描い
     たロマンティックコメディですが、リチャード・カーティスは、何故かこの作品で
     もって監督業は辞めるそうで気になっています。

     イギリス南西部に住む青年ティムは自分に自信がなく、ずっと恋人が出来ず
     にいました。
     21歳の誕生日に、父親から一家に生まれた男には、代々タイムトラベル能力
     があることを告げられます。そこでティムは、恋人を得るためタイムトラベルを
     繰り返すようになり、やがて魅力的な女性メアリーと出会うのです。

     しかし、父の友人の危機にタイムトラベル能力を使ったため、肝心な二人の
     出会いが無かったことになってしまい、再び時間をやり直したティムはなんと
     か彼女の愛を取り戻そうとしますが・・・。

     主人公ティム役は「ハリー・ポッターと死の秘宝」「アンナ・カレーニナ」のドー
     ナル・グリーソン、ヒロインのメアリー役に「恋とニュースのつくり方」のレイチ
     ェル・マクアダムス、ティムの父親役にビル・ナイです。

     これは楽しい大人のおとぎ話ですから、もっと軽く明るく展開させた方が良か
     ったと思います。
     必要以上に現実的というか生々しくなり過ぎていることと、お話の展開が何れ
     も予測されることが弱点です。それに124分という長尺もいただけません。

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映画 「ジャージー・ボーイズ」

2014年10月10日 | 日記

   

     巨匠クリント・イーストウッド監督が、1960年代に世界的な人気だった伝説
     の米ポップスグループ「ザ・フォー・シーズンズ」と、そのリードボーカルを務
     めたフランキー・バリの代表曲として知られる「君の瞳に恋してる」の誕生秘
     話を描いています。
     2006年トニー賞でミュージカル作品賞を含む4部門を受賞した、人気ブロー
     ドウェイミュージカルの映画化です。

     アメリカ東部ニュージャージー州にある、イタリア移民が集まる貧しい町に
     生まれた4人の若者たち。その中で理髪店見習いとして働く16歳のフランキ
     ー(ジョン・ロイド・ヤング)は、ケチな犯罪で刑務所を出たり入ったりでしたが、
     美しいファルセットボイスの持ち主で、友人に誘われてバンドに加わることに
     なります。

     金もコネもない者が町から逃げ出すには、軍隊に入るかギャングになるしか
     なかった境遇で、彼らには類まれな美声と曲作りの才能があったのです。
     4人は息の合った完璧なハーモニーを武器に、スターダムを駆けあがって行
     きますが、メンバー間での嫉妬、家族との愛情問題、借金問題、ドラッグ問
     題などが噴出して崩壊しますが・・・。

     ミュージカル版にも主演し、トニー賞でミュージカル男優賞を受賞したジョン・
     ロイド・ヤングが、映画版でも主演を務めています。
     クリント・イーストウッド監督は、どんな分野の作品でもこなすと、まずは感心
     します。四人のそれぞれの描き方がシャープで上手いし、映像の色彩設計が、
     年代とともに少しずつ変わって行く演出など、見るべき点が沢山あります。

     しかしそれは名匠クリント・イーストウッドならば当たり前の演出だと思います
     し、勿論お薦めしますが、彼の作品としては中の出来でしょう。
     ラストに登場人物全員による歌と踊りのシーンがありますが、それもインド
     映画で良く見るシーンであり、特に新鮮とは思えません。

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周・辺・雑・記 ~ 珍しい神仏混淆形式の 「高塚愛宕地蔵尊」

2014年10月09日 | 日記


         ↑↓ よく見ていただけると神仏混淆がよく判ります
   
     

     昨日、大分県日田市天瀬町にある「高塚愛宕地蔵尊」へ行って参りました。福岡
     から車で約一時間半です。

     「高塚愛宕地蔵尊」は奈良時代に僧・行基が開山したといわれている由緒ある地
     蔵尊で、ここは願い事なら何でも叶えてくれるという諸願成就の神として広く信仰
     を集め、自分の年の数だけ願いごとを書いて奉納すれば、より霊験あらたかだと
     言われています。特に受験シーズンには、合格祈願の名所として知られていて、
     福岡県の太宰府天満宮と大分県の高塚愛宕地蔵尊はお願い先の双璧です。

     今回は、このブログにも時折登場する親友のTが、一年近い入院加療からやっと
     退院出来たので、お礼の参詣に同行したものです。
     Tは歩行が少々おぼつかないので私が介添役といったところで私が運転して参り
     ました。

     地蔵菩薩を本尊としながら鳥居があり、鐘とともに鈴が下がっており、さらに境内
     には天照大神の摂社がある隣は空海上人を祀ってあるあるなど、神仏混淆(しん
     ぶつこんこう)の信仰形態を残しているのも珍しい所です。
     地元では「高塚さん」の愛称で呼ばれていますが、もともとは乳の出をよくする地
     蔵として知られていたのが、次第に病気平癒、学業成就、商売繁盛などの諸願成
     就に利益があると評判となり、多くの参拝客を集めるようになって、現在では、年
     間200万人を越す参拝客が訪れているそうです。

     地蔵尊の伝承をお伝えすると超長くなりますので省略させていただきますが、昭
     和59年には、ペギー葉山さんが歌う高塚地蔵尊の歌2曲が作られています。

  

  

         
          ↑ ご覧のように栓を捻るとお神酒が出てきて飲み放題です
     
          ↑ 神仏どちらかで迷う私
  

  
  ↑ 天照大神の摂社の隣は空海上人です
     

 
     
          ↑ 帰りは原鶴温泉でひと休み・・・ 

    
        
 
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