巨匠クリント・イーストウッド監督が、1960年代に世界的な人気だった伝説
の米ポップスグループ「ザ・フォー・シーズンズ」と、そのリードボーカルを務
めたフランキー・バリの代表曲として知られる「君の瞳に恋してる」の誕生秘
話を描いています。
2006年トニー賞でミュージカル作品賞を含む4部門を受賞した、人気ブロー
ドウェイミュージカルの映画化です。
アメリカ東部ニュージャージー州にある、イタリア移民が集まる貧しい町に
生まれた4人の若者たち。その中で理髪店見習いとして働く16歳のフランキ
ー(ジョン・ロイド・ヤング)は、ケチな犯罪で刑務所を出たり入ったりでしたが、
美しいファルセットボイスの持ち主で、友人に誘われてバンドに加わることに
なります。
金もコネもない者が町から逃げ出すには、軍隊に入るかギャングになるしか
なかった境遇で、彼らには類まれな美声と曲作りの才能があったのです。
4人は息の合った完璧なハーモニーを武器に、スターダムを駆けあがって行
きますが、メンバー間での嫉妬、家族との愛情問題、借金問題、ドラッグ問
題などが噴出して崩壊しますが・・・。
ミュージカル版にも主演し、トニー賞でミュージカル男優賞を受賞したジョン・
ロイド・ヤングが、映画版でも主演を務めています。
クリント・イーストウッド監督は、どんな分野の作品でもこなすと、まずは感心
します。四人のそれぞれの描き方がシャープで上手いし、映像の色彩設計が、
年代とともに少しずつ変わって行く演出など、見るべき点が沢山あります。
しかしそれは名匠クリント・イーストウッドならば当たり前の演出だと思います
し、勿論お薦めしますが、彼の作品としては中の出来でしょう。
ラストに登場人物全員による歌と踊りのシーンがありますが、それもインド
映画で良く見るシーンであり、特に新鮮とは思えません。