桜庭一樹の第138回直木賞受賞作の映画化で、今まで劇中にどうしても必要な
流氷シーンの映像化が難しいと言われてきた作品です。
奥尻島地震による津波で家族を失い孤児となった10歳の花(山田望叶)は、遠い
親戚にあたる淳悟(浅野忠信)が引き取り、二人は親子のように仲良く暮らしてい
ました。
そして、花(二階堂ふみ)が高校生になったころ、今まで二人を気にかけ見守って
くれていた遠縁の大塩(藤竜也)が二人はただならぬ関係だと気づき、花に淳悟
から離れるように助言します。
そしてある日、流氷の上で起こった大塩の死亡事故が報じられ、そのニュースを
聞いた淳悟と花は、逃げるように町を後にして東京へ・・・。
監督は「海炭市叙景」「夏の終り」の熊切和嘉で、二人が内に空虚を抱えながら
もぴったり寄り添って生きて行く姿を、北海道の雄大な自然を背景に上手く描出
しています。
花役の二階堂ふみの表現力、淳悟役の東京に出る前までの好演も大いに買え
るし、オーホック海の流氷が、きしみながら迫ってくる状景でのシーンは、特に素
晴らしいと思います。
反してシャワーのように降る血の中でのセックス・シーンは監督の一人よがり、東
京に出てからの描写が薄く、更にラストは肩透かしを食ったような気がします。
原作との相違云々と言うより、後半の脚色にもうひと捻りあったら・・・と少々残念
です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます