今回は、大映最後の社員名簿に、ちゃんと名前が残っている笠原玲子です。
大映が倒産せずに俳優をじっくり育てることが出来ていれば、中堅どころ以上と
とて活躍出来た子だと思いますし、残念に思う一人です。
彼女は名古屋の出身で、高校を中退して東宝芸能学校に入り、本来なら東宝に
入る筈が病気で中断して、改めて大映の演技研究所に入って勉強をやり直しま
した。正式に大映に入ったのは昭和41年(1966)で、もちろんチョイ役からスタート
しました。
彼女の身長は163㎝で、当時としては背が高くて相手の男優とバランスが取れな
いと言われたのですが、性格が明るくさっぱりしているので、所内ではみんなに可
愛がられていたようです。私も東京撮影所で何回か会いましたが、笑い方が良く
破顔一笑という言葉がありますが、彼女の顔の相が変わるくらいの笑顔が印象
的でした。
そんな彼女は無類のダンス、それもゴーゴーダンス好き。スキーはプロに近いと
いう活発派。撮影所の連中は撮影所一の大酒飲み女優だと言っていましたが、
真偽のほどは判りません。
彼女は芸能界から引退するまでに50本に近い映画に出ていますが、大映では37
本です。大映が落ち目になった時代ですから作品の質量が落ちていて、回ってく
る役はハレンチな役が多かったのですが、そんな中でも彼女の存在感はいつも
目立っていました。
一番覚えている作品は「空中戦ガメラ対ギャオス」「ガメラ対大悪獣ギロン」「ガメ
ラ対深海怪獣ジグラ」と、ガメラ・シリーズには3本出ています。
大映倒産後はフリーとなり東宝や東映作品に何本か出演、テレビは「キカイダー
01」「狼無頼控」「プレイガール」「ゴレンジャー」などに出ていたのですが、昭和
50年(1975)に結婚して引退してしまいました。彼女は昭和20年(1945)の生れです
から、今年で69歳。元気だといいなと思っています。
一番右が笠原玲子、左端は別府市出身の甲斐弘子
笠原さんも、私のようなガメラ世代にとっては懐かしい方です。少し大きくなってから、「ギャオス」の優しいお姉さんと、「ギロン」の人食いお姉さんが同じ女優さんだったことを知り、驚きました。メイク1つで相当印象が変わるものですね。あとは、「女賭博師」シリーズで何本か江波さんに対抗する壺振り役がありましたね。「女賭博師」シリーズは、東映の「緋牡丹博徒」シリーズと違って、江波さんの銀子が喧嘩の方は全くダメというところにリアリティを感じました。峰岸さん、天知さん、島田正吾さん、長門勇さん、大坂志郎さん、久保菜穂子さん、佐藤允さんと、毎回の相手役もバラエティに富んでいて、ガメラに次いで好きなシリーズです。本気で手本引きの札を買おうかな?と思ったほどです。
本文でも書きましたが、タイプとしては叶順子型で、もっと活躍が出来た女優さん
だったと思います。
このように大映の倒産につれて消えて行った人が多く、本当に残念で仕方が
ありません。
話は変わるけど川崎あかねもとっくに引退したものと思ってたら、昨年だったかテレビの「鬼平犯科帳スペシャル」に出ていてびっくりしました。出演場面は少なかったけどすぐにわかりましたよ。
本当に気の毒な時期に出くわした女優さんの一人で、済まないと思います。
その鬼平犯科帳は私も見ました。あっ出てると驚きました。
私も川崎あかねさんに反応しました。大映倒産後も地道に女優を続けていらして、今では出番は少ないながらも時代劇の婆や役でご活躍ですね。
時代劇といえば、私が大映最後の大作時代劇と勝手に考えている「尻啖らえ孫市」では、ヒロインの栗原小巻さんのほか、梓英子さん・南美川洋子さん・しめぎしかこさん(どこで切れるお名前でしょう?)と、当時の大映の中堅どころの女優さんが多く出演され、作品を支えていました。また、私の好きな夏木さんが雑賀孫市の小頭?役で、いつになくかっこよかったです。
この作品についても、中島様のご意見を伺いたいことがあります。いずれ折を見てお願いします。
大映の倒産後に伸びた俳優、逆にしぼんだ人と色々ありますので、
一概には言えないのかも知れませんね。
「尻啖え孫市」は、製作が永田社長で監督が三隅さん、撮影は宮川さん、
俳優も大映では珍しい中村錦之助に栗原小巻、勝、本郷などで、当時の大映
では大作扱いでした。
でも題名に大作感がないことや、内容がいま一つ当時のファンに共感されず、
興行的に見事失敗した記憶だけしかありません。
公開当時をリアルタイムで知らないのですが、当たらなかったとは意外でした。オールスター作品で、でも翌年の東宝の「待ち伏せ」のように散漫な感じはしなくて、まとまった作品だと思っています。ラストが少々尻切れトンボのような気がしますが、好きな作品です。「待ち伏せ」を見ると、スターをずらっと揃えれば良いというものではないことがよくわかります。DVD等でこの作品がもっと知られるようになれば良いと思います。
大映が倒産してもう半世紀が近づいています。私の頭の中から当時の記憶が
どんどん消えて行くような気がしてならない昨今です。
そんなことも今度本を出す気になったのですが、これからも覚えていることは、
出来るだけ思い出しながら皆様にお伝えしようと思っています。
ワタシの心の中の「ギャオスのおねえさん」 笠原玲子さんを取り上げて頂き、本当に感謝です。
あの頬がふっくらした優しい おねえさんのイメージ感が、今でも忘れられません。
「ガメラ対ジグラ」での今時女子大生役も良いですが、1970年「おんな牢秘図」での、先輩の島送り女囚役なのに牢内で一番健康的だったのが素敵でした。(^。+;
もう既に引退されたなんて寂しいですね。
川崎あかねさんや弓恵子さんみたいに、時々一寸した役でドラマや映画でお目に掛かれると嬉しいんですけどねぇ。
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