2001年に発生したアメリカ同時多発テロを背景に取り上げ、2005年に出版
されたジョナサン・サフラン・フォアの小説を、「リトル・ダンサー」「めぐりあう
時間たち」「愛を読む人」のスティーブン・ダルドリー監督により映画化された
ものです。
トム・ハンクス、サンドラ・ブロックの共演で見事なお芝居を見せてくれるだろ
うと期待して見たのですが、息子の存在と彼の行動が上手くミックスされて
いることを映画を見るまで忘れていました。
9・11の同時多発テロで、理不尽にも少年オスカー(T・ホーン)は大好きな父
親(T・ハンクス)を失います。
繊細で生きることに不器用な彼は、一種の自閉症症状になるのですが、どう
しても父の死を受け入れられず、父が残した1本の鍵にメッセージが秘めら
れていると信じ、母親の心配を無視して鍵穴を探す行動に出ます。
封筒に書かれていた文字を頼りに、色んな出来事に遭遇しながらニューヨー
ク中を探し回る少年を、母親(S・ブロック)はうまく接することが出来ず・・・。
この少年に扮するのは、小学校で寸劇しか経験の無いトーマス・ホーン少年
が抜擢されたのですが、ひたむきな少年を好演です。
トム・ハンクスはいつものようにいい味を出しているし、サンドラ・ブロックは特
に後半が素晴らしいです。
演出がアカデミー賞ノミネート常連のスティーブン・ダルドリーですから繊細で、
先刻公開のクリント・イーストウッド監督作品「J・エドガー」もそうですが、アメ
リカ映画では珍しいほどの心理描写が上手いし、過去と現在が並行して物語
を進展していく手法の成功も似ています。
正直言って、見初めは普通の出来かなーと思っていたのですが、どんどん面
白くなって遂には画面に釘付けになり最後は感嘆で終わりました。
私はこんな映画が見たかったの一本でもあります。是非とも皆様ご覧ください。