大人が観賞して満足出来る愛と官能のイタリア映画です。
最近は映画を見ながら睡魔と闘う作品も少なくないのですが、この作品は魅力
たっぷり見せてくれます。
と言ってもこの作品も賛否両論が激しいと思われますが、私は大好きです。
アカデミー賞女優のイギリス女優・ティルダ・スウィントンが、監督のルカ・グァダ
ニーノと11年にわたって企画を暖めていた作品で、彼女は全編イタリア語のセ
リフで、しかもロシア人でイタリアの富豪と結婚したという境遇の役どころに挑戦
しています。
従ってこの作品の一番の見どころは、ティルダ・スウィントンということになるので
すが、彼女の洗練された身のこなし、気品のある美貌、そして官能場面は中々
感動的です。
私なりに皆様へお薦めしますので、内容は詳しく述べませんが、ミラノ上流社会
の婦人エンマ(T・スウィントン)は、子どもたちも巣立ち始め、家庭では妻、そして
母として長年自分を押し殺してきた彼女でしたが、なんと息子の親友と恋に落ち
てしまうのです。
そした悲劇が起きます・・・。
物語は導入部からセリフを少なめにして、映像でもって簡潔にスマートに登場
人物の人となりや物語における立場を紹介して行きます。このトーンは最後ま
で守られ、加えて映像の鮮やかな色使い、音楽、衣装などがエレガントで素敵
さを増します。
加えて劇中に出てくる料理が重要な役割を果たすのですが、ミラノ料理界の第
一人者カルロ・クラッコが指導して効果を上げているのも見逃せません。
私が珍しく懸命に褒めているようにお感じになるかも知れませんが、最近のチャ
チな恋愛物に辟易していた私にとって、ハイセンスで見応えがある大人の作品
なので、この感想も私なりに楽しみながら書いています。