この作品は、私の"この映画を見よう"・・・のリストから洩れていて、危うく見逃す
ところ、危ない危ないです。そして満足の１本でした。
「マイウエイ」で韓国映画のパワーを見せつけられて感心していた私ですが、この
作品も韓国映画人の情熱をひしひしと感じさせる作品です。
「チェイサー」で注目を浴びたナ・ホンジン監督の第２作目の作品で、演出のタッチ
が、「息もできない」のヤン・イクチュンに一寸似ているといると感じました。
中国は延辺朝鮮族自治州の延吉でタクシー運転手をやってるグナム(ハ・ジョンウ)
は生活が苦しく、妻は韓国に出稼ぎにいったまま音沙汰なし。積る借金を返そうと
賭麻雀にのめり込み更に借金を大きくしてしまいます。
そんな時に延吉の犬商人で地下社会のボスミョン(キム・ユンソク)に、韓国に行って
ある人間を殺せば借金を帳消しにすると言われ承諾、黄海を渡って韓国に密入国、
行方不明の妻を探しながらターゲットを追いますが・・・。
主人公役のハ・ジョンウは体当たり演技で唸らせてくれるし、悪の権化のようなボス
役をキム・ユンソクがこれまた大熱演で、手斧を使った残酷な殺人で死体の山を築
きます。
怖い映画が苦手な方も多いとは思いますが、次から次へと場面が変わり、次はどう
なるのだろの興味で最後まで飽かせず見せてくれるのは結果面白いですよ。
これも脚本・演出・演技良しの成果で、怖さを忘れ思い切ってご覧になることをお薦
めします。
この作品には20世紀フォックスの傘下プロダクションから出資を受けているし、ハリ
ウドでのリメイク権を同監督で獲得しているそうです。
韓国映画が脚本の段階でアメリカのメジャー映画会社の出資を受けるのは初めて
で、それだけ期待された作品と言えるのでしよう。
言い忘れましたが、この映画のラストシーンがこれまた素晴らしいのです・・・。
