かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

松本清張の昭和史

2024年07月24日 | Books
今日も関西。
今、竜巻注意報発令中。



本書は、本屋で見つけて即ゲット。
単行本は、あまり買わないので、見つけるのが遅れて、早くも再版本。

松本清張については、小説読んだり、古代史シリーズ読んだり、映画で見たり、TVのノンフィクションやドラマ見たりと、大好きだが、作品数が膨大で、キリがないというのが実情。
小倉の記念館にも行った。
その時は、古代史関連本に興味があったのだが。
その中で、本書は、保坂さんが、昭和史発掘というシリーズの内容、面白さを、丹念に分析・論評した本で、たいへん面白かった。
早速、昭和史発掘シリーズ9巻を注文してしまったほど。

日本の黒い霧シリーズも面白いが、戦後を扱っており、本書によればややバイアスもかかっている。
例えば、朝鮮戦争は、アメリカ側の謀略としているが、現在は否定されている。
一方、帝銀事件、下山事件、松川事件などを扱ったドキュメンタリーが最近放送されているが、近過去の話としてたいへん面白かった。
たまたまこの3事件とは、若干縁もある。
戦後のGHQ統治時代の未解決?事件を清張さんの眼を通して推理している。
もっと近い時期の事件が、ロッキード事件だったのかもしれない。
これもアメリカの謀略だったのか?
日航機墜落事故も?

昭和初期から、2.26事件までを中心に扱った昭和史発掘シリーズの方が、資料を丹念に読みとき、帰納法で分析しており、貴重という。
特に2.26事件にかかわった若手とは、年代も近く、シリーズの後半をすべて本事件に費やしている。
資料を集めた方や編集者の証言もあり、その作成手法や、その時の清張さんの思いもうかがい知れる。
国内中心の資料によっているが、保坂さんは、それが当時海外でどう解釈されていたかも知りたかったという。
確かに、当時の日本の危険性を外国はどの程度シリアスに感じていたのだろうか。

それにしても恐ろしいのは、ファッショだ。
半藤利一さんの昭和史でも繰り返し述べられているが、2.26以降、抑えが効かなくなり、暴力が支配する世界となり、言論が封じられ全く文民統制が効かなった時の、庶民の無力さ。
特に清張さんのような本当の庶民だった立場から見ると、やりきれないものがあっただろうし、それに怒りを感じるなと言っても無理かもしれない。
ただ、清張さんは、その中で、戦後10年以上たったタイミングだったからこそ集められる証拠、証言を丹念に集め、その時点で、最高レベルで事件の考察をした。
以降、それ以上の有力証拠は出ず、今でも最高レベルの分析となっているという。

今起きているウクライナや、パレスティナでの戦争も、当時の日本を振り返ると、残念ながら歴史は繰り返している。
反省すべきことが起こったら、清張さんのように、事実を調べ上げて将来のために役立てるべきなのだが、今も不祥事隠しが横行しているのは、残念としかいいようがない。
なぜ、日本が戦争に加担していったのか、そして、終戦後、今の日本がどう作られていったのかというのは、まさに今の日本につながる近過去の話で、常に念頭に置いて、生きていくことが必要だと考えさせられる。
特に、世界がこのような状況では。



いつもの、定点観測。
コメント
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